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春の山々へ

<トレーニングを欠かさないお客様と>
新型コロナの自粛で減った山のガイドの仕事も、春の訪れとともにお客様からの問い合わせも増え始め、まだ雪深い山々に出かることが多くなってきた。

2月下旬、八ヶ岳の編笠山。しばらく山から遠ざかっていたお客様と一緒にトレーニングを兼ねて登った。スキー場わきから登山道に入り、樹林帯を登る。日帰りで標高差1200m。

歩き始めるとすぐニホンジカの死骸に出くわした。目を見開いて登山道に横たわる屍の腹は大きく食いちぎられていた。クマだろうか。この冬、冬眠しないクマの話題を思い出す。

山頂直下まで樹林帯の編笠山は、最後の岩場に出た途端、烈風が吹いていた。飛ばされるほどではないが、時々耐風姿勢をとりながら山頂へたどり着くと、宇宙まで青い高い空の下、360度の展望がひらけた。北には権現岳、赤岳、阿弥陀岳が見える。

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久しぶりにやっとご一緒できたお客様と山頂を踏み、この一年の山の事を考える。1月に一緒に行くはずだった北アルプスは新型コロナ感染再拡大で中止にした。昨年も何回か中止変更を余儀なくされたが、取り返しがつくようでつかない時間とチャンスが、得体の知れないものに飲み込まれてきたような1年だった。

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(上:八ヶ岳阿弥陀岳御小屋尾根 下:御小屋尾根もあと少しで山頂)

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