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お気に入りの山 北穂高岳

<北穂で珈琲はいかが>
北穂高小屋のテラスで飲む珈琲は最高だ。雨でも食堂の窓側の席に座って、ぼんやりと外の景色を想像しながら時を過ごす。だが同時に大概は、下山の時のことを考える。とくにガイド山行ならば、登山道や雪の状態に想いを巡らして、安全に下るにはどうしたらいいか、あれやこれやシミュレーションをしながら過ごすことが多い。なんといっても、そこは標高3100m。富士山を除けば、日本で一番高いところにある山小屋だ。
例年GW営業に合わせて穂高の稜線の山小屋は小屋開けを迎える。北穂高岳北峰の山頂直下の北穂高小屋は毎年GWから11月3日まで営業している。眼下に大キレット、涸沢を見下ろし、360°の絶景が楽しめる北峰山頂は、絶好の撮影ポイントでもあり、小屋から2分だから楽チンだ。なんなら小屋前のテラスからも槍ヶ岳から常念山脈がパノラミックな絶景を楽しむことができる。

無積雪期は涸沢から南稜ルートへ取り付き、尾根を登って行く。尾根の取り付きには鎖場と梯子があり、尾根に乗るとハイマツ帯の急登、岩場のトラバースもあり、緊張を強いられる登山道が、山頂まで続いている。滑落事故も多く、ヘルメット必須、悪天候の下りならロープ確保も必要なルートだ。

涸沢をベースに日帰りで登る人も多いが、できれば北穂高岳小屋で一泊することをお勧めする。昼までに涸沢を出発すれば夕食に間に合う時間に小屋に到着する。季節にもよるが、夏場なら夕食を食べてから山頂に上がると夕焼けに染まる穂高の峰々が出迎えてくれるだろう。ショータイムは日没直前からその後20分間くらい。三脚をセットして茜色の空と岩峰を写真に収めれば、思い出はさらに充実することだろう。

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<北穂へのルート>
涸沢からのルートは山頂を通って階段を下ってくるが、大キレットへのルートは山荘の北側、貯水タンクの先にある。マーキングがなければ、そこが登山道だとは到底思えない崖のような斜面だ。ルートへの下り口には小さなピナクル状の岩があって、そこに立つと大キレットの眺めが素晴らしい。その先は切れ落ちていて、落ちたら助からないから要注意だ。

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