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#一日一短歌 2021年12月分

 2021年の12月から、Twitterで1日1首短歌を詠む「#一日一短歌」という取り組みをひとりでやっています。数年前にも同じことを途切れ途切れになりながらやってたんですけど、当時よりも良質な短歌が詠めるように日々頑張っています。ここで言うところの「良質」ってのは、「見たものをそのまま三十一音にしないようにする」ってくらいのレベルのものなので、まだまだ精進の必要はありますが。

 仕事がある日は行き帰りの電車の中で、休みの日は思いついた時に、詠めない日があれば次の日に複数詠んだりしながら、12月は開始した日から26日まで欠かさずに詠めました。継続は力なり、になってくれるといいなあ。毎日続けていると、詠んだときに何を考えていたか、何を見ていたかという記録にもなるので、日記代わりにもなって楽しいです。興味がある方はぜひ#一日一短歌ハッシュタグつけて一緒にやりましょう。

 というわけで、12月に詠んだ20首に時々日記を添えてここにまとめておきます。今年一年続けられたらもうちと短歌うまくなるかな。


12/6 足枷か呪いかきみの制服は皴一つなくきみを包んで
娘の制服姿はぴかぴかで、少し誇らしそうで、でもそれが足枷になる日も来るのかなと思う。


12/7 リビングがひかりの予感を受け入れて夜のかけらを逃すカーテン

12/8 寄り添って眠るいのちがふたつある必然性を孕む寝室
子どもたちが眠る寝室を見たら、不思議な気持ちになる。大きくなったら「誰が生んでくれって頼んだよ!!」とかって言ったりするのかなあ。


12/9 くちづけはぬるいビールの味がする夜の甘さに酔ったふりして


12/10 甘すぎるきみの気配に守られてこの牢獄で夜を待ってる


12/11 いくたびも電車見送る街にいてほとんどの駅を知らないままで
電車で通勤してると、たくさんの人がいろんな駅で乗り降りするのを毎日見ることになる。それぞれの生活があって、でもそのどれもわたしは知らない。


12/13 名残惜しそうに去る背の真ん中にハートマークで鳴らす火打石
夫は早朝仕事に出かけていく。出来るだけ玄関まで見送る。いってらっしゃいのキスは早々にしなくなったけど、常に「ご武運を!」という気持ちでいるよ。


12/13 美しいエンドロールが近づいて涙をぜんぶ星にするきみ
ポルノグラフィティのライヴツアーの最終日が近づく。ライヴに行った人、行かなかった人、行けなかった人、みんなを満たそうとする彼らが好きだなあと思った。


12/14 見下ろした街の輪郭なぞる窓 ひとさし指の熱にぼやける
大阪の街が見渡せる電車に乗った。明るい冬の空と、温度差で曇る車窓と、「ハルカスがみえるね」と笑う息子。


12/16 同じように老いていくのを待っているきみの目尻の皴は明るい
夫とわたしは一回り離れている。まあでも40年も経ったらそんな変わらんでしょ、と言いながら結婚した。わたしはずっときみを待ってたから、今度はわたしが同じように老いていくのを待ってくれ。


12/17 くちづけでしか繋がれない愛だって笑ったきみの舌は青色


12/18 遠き地の茶葉揺らめかせほらこれがにっぽんのふゆ吐く息は白
スリランカかどこかの紅茶を飲んだ。わたしがスリランカの冬を知らないように、スリランカも日本の冬を知らないだろう。


12/19 かさついた林檎の頬を撫でていてほのかな愛が伝わればいい


12/20 だっこって伸ばされる手を宥めては重い娘の手足をさする
娘7歳はまだまだだっこをせがむんだけど、もうわたしの腕の耐荷重をオーバーしてしまっているので、座ったままだっこしたり手足を撫でたりして日々誤魔化している。


12/21 夕暮れで封をしたからぬくもりが消えないように開いて恋文
家から見えた冬の夕暮れがとても綺麗だった。


12/22 降り注ぐ星を瞳にきらめかせまぶしいきみの声を待ってる
ポルノグラフィティのツアー最終日、配信時間前。降り注ぐ星は大好きな曲たち。会いたい気持ちがはやってしかたなかった。


12/23 きみの目で夜の光を閉じ込める触れない指に熱が灯って


12/24 よこしまな指で触れてよあどけなく笑った頬を傷つけてみて


12/26 サプライズ苦手な娘の口端が今宵のサンタの正体暴く
娘は秘密を秘密にできない。すぐさま楽しさを共有したいのはきっと夫に似たんだろうね。


12/26 あの夜のひかりをこころに灯してるきみもどこかで生きている今日
ツアーも終わって、アーカイブ配信も終了日が近づいて、現実でも年末の忙しさに追われている。でも、きっときみもきみの人生を生きているから、わたしも頑張ろうと思うよ。今年は会えてよかった。ありがとう。


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