ツイッターのスクショは著作権侵害?
他人のツイッター投稿をスクショで貼り付ける行為は、著作権侵害でしょうか?
結論を言うと、裁判所では「引用」として認められました(つまり、著作権侵害ではない)。
スクショされた投稿の1つです。
「@C アナタって僕にもう訴訟を起こされてアウトなのに全く危機感無くて心の底か らバカだと思いますけど,全く心配はしません。アナタの自業自得ですから。」
ツイッター投稿は著作物?
上記の投稿は著作物と裁判所で認められました。140字という文字制限のなかで、
「「アナタ」,「アウト」,「バカ」,「自業自得」という簡潔な表現をリズム良く使用して嘲笑するもの」「原告の個性が現れている」
と判断されました(令和3年(ワ)第15819号、東京地裁)。
しかし、上記を含む複数の投稿をスクショして添付した行為が「引用ではない」と一審の東京地裁では判断されました。
理由は、
「ツイッターは,他人のコンテンツを引用する手順として,引用ツイートという方法を設けている」
引用ツイートという手法があるのに、あえてスクショ画像を添付したのは、規約違反であり、引用の要件として規定されている「公正な慣行」にも合致しない、ということです。
また、スクショ画像が量的にも質的にも「主たる部分」であるため、引用が従という要件も充たさない
↓
つまり原告投稿のスクショ画像貼付は引用ではない、と判断されました(つまり著作権侵害)。
↓
この判断は知財高裁(二審)では覆りました。
上記投稿は、「他のユーザーを嘲笑する原告投稿4を受けて、それらを批評する目的でされた」と判断されました。
引用の要件とは?
・公表された著作物であること
・公正な慣行に合致こと
・報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれる
これらが引用の要件として規定されています(著32条)。
上記投稿4は、批評する目的で行われているから、引用の要件に合致すると判断されました。
他の投稿についても、同様に正当な引用であるとされています。
リツイートは元の投稿が削除されると、閲覧できなくなる
知財高裁では、リツイートは、「元のツイートが変更されたり削除されたりすると、・・・批評の趣旨を正しく把握したりその妥当性等を検討したりすることができなくなる」とも言及されています(令和4年(ネ)第10060号、知財高裁)。
つまり、リツイートするのはよいが、元の投稿が削除されたら、批評内容を正しく把握できなくなる、というのです。
引用するときは、一字一句違わずに引用する必要があり、引用する著作物「コピペ」する必要があります。
コピペもスクショも何ら変わるところはなく、この事件ではスクショがツイッター上で行われたことに問題があったのだと思います。
ツイッターは字数が限られているため、引用をもとに自分の意見を述べると言っても、字数が少なくならざるを得ません。またスクショ部分は画像なので、投稿のなかで目立ちます。
明らかに批判すべき他人の投稿は、引用が認められるべきです。知財高裁で引用と認められたのは私たちにとっても、表現の自由が保障される良い判断だと思います。