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「その帯めっちゃかわいいですね!!!」

本当は前の記事でこの話をしようと思ったのに、序盤の祖母の着物の話が長くなってしまったので。

楽しみにしていた着物のレンタル。白黒のギンガムチェックの着物にクリーム色の個性的な柄の帯、オレンジや紫の小物を選んだ。夫は花柄や可愛らしい色合いのものをすすめていたような気もするけど気づかないふり。とはいえ、着物を選ぶ機会もあまりなく、自分に自信もないので、即決というわけではなく、店員さんのアドバイスを聞きつつなんとなく。

着付けてもらっていると、次に来たお客さんはさらっとした顔立ちの女の子2人。2人が選んだものは、薄いピンク地に控えめな花柄の着物に濃いピンクの帯、水色のおそらく無地の着物にピンクの帯という組み合わせ。え、清楚・・・!さらに女の子がもう1人入ってきて、その子は少しくすんだブルーの着物にからし色×茶色の帯、緑の帯締めとややレトロな組み合わせではあったものの、全体的に上品な柄を選んでいて、大人女子感・・・!
(え、みんな可愛いな。私も、もういい大人だしもっと落ち着いた組み合わせにすべきだったか?夫とふたりで歩くのに、もっと女性らしい色合いがよかったかも?)と思いつつ、着付けは終了。
隣でバッグ選んでね~、と言われて部屋をうつると、そこにはまた別の女の子が2人。彼女たちはまだ着物を悩んでいるようで、あーでもないこーでもないと盛り上がっている。この店に来ている中で、いちばん若くみえた。私が鏡の前でバッグを合わせていると、2人からの視線を感じる。”じろじろ”という言葉がぴったりな視線。前の部屋で勝手に着物の組み合わせに自信をなくしていたこともあって、居心地が悪い。

「あの、おねえさん」(え、話しかけられた・・・!?)
「その帯めっちゃかわいいですね!!!」
「え・・・・・・あ、はい、かわいいですよね」
「てゆーか、その着物との組み合わせめっちゃいいです!ね?」「うん、めっちゃかわいい~」「やっぱこれセンス必要ですね!わたしたちセンスないし、めっちゃ迷っちゃって~。な!」「ほんとそう。でもこういう感じもありですね!参考なります!かわいい~」

着物の着こなしは人それぞれですよ。上品にしたいか、モダンにしたいか、可愛らしくしたいか、かっこよくしたいか、など、どのようにされたいかによりますね。
私が選んでいるときに店員さんがお話ししてくれた。私の着物の着こなしがセンスがよかったとすれば、それは誘導してくれた店員さんのセンスがよかっただけであり、他のお客さんの清楚な着こなしもレトロで上品な着こなしもどれもとても素敵であった。
ここで言いたいことはそういうことではなく。

その若い女の子2人の言葉で、私の不安は解消され、自信がついた。他の誰よりも私の着物がいちばん可愛い!と思って、うきうきしながら、その日1日を過ごした。あまりに私がご機嫌だったので、夫は、そのふたりにお礼の品でも送らないとな~、なんて言っていた。

誰かの何気ないひとことで、こんなに気持ちが左右されるのか。

わたしも2人に「今選んでいる着物もとってもかわいいと思います!」って言えればよかった。あたふたしちゃって言えなかった。
2人が最終的に選んだ組み合わせ、絶対かわいいだろうな~。だって性格がかわいいもん。なんて思っちゃう私はたぶんいわゆるひっかけやすいチョロいタイプだ。

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