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古代チーズ:蘇、作ってみた

【蘇】乳製品の一種。平城宮跡出土木簡(もっかん)に近江国の「生蘇(なまそ)三合」が確認されており,奈良時代には貴族を中心に摂取されていた。「延喜式」に記される製法によると,乳1斗を煮つめて蘇1升をえるとある(後略)(山川 日本史小辞典より)

「当時、私は仕事が忙しくて、家には寝るために帰るような状態でした。ある秋の夜のこと、その日も夜更けに我が家にたどり着いた私が目にしたのは、玄関の前に積み上げられた1リットルパックの牛乳20本でした。食材を買いに行く暇もなくて全て宅配にしていたんですが、多分2と20を間違えたんですね。冷蔵庫にはとても入りきらないし、困った挙句私は、煮詰めて『蘇』を作ってみようと考えました。一番大きな寸胴鍋に牛乳を入れたら10リットル入りましたので、そこからひたすら煮ていきましたけど、ちっとも量が減りません。数時間煮た時点でギブアップして、それでも少しは濃くなったようで、いつもより甘めのホットミルクを飲んで、ああラクトースだなあと思いつつ寝ました」
夏だったら本当のホラーだなとか、夜中に10リットルの牛乳を煮る女性ってのも結構魔女みがあるなとかツッコミどころは色々ありますが、これが昨日の授業で調理学の教官から聞いた話です。

さて、のてりあすは明日帰省します。正直、渡り鳥だって暖かい方に移動するだろうになんでわざわざ氷点下の地に行かなあかんねん寒いのいややーと似非関西弁ゴネモードになってますが、北海道の大晦日の夕飯は寿司です。法律で決まってます。我が家は手巻き寿司です。なのでサーモン、イクラ、ホタテのために帰ります。
で、冷蔵庫の整理をしようと扉を開けたら、牛乳が凍ってました。いや、牛乳以外の全ても凍りついてました。この冷蔵庫、なんでか冷蔵最強にすると庫内がすべて凍るという謎仕様です。普段はチェックしてたまに強度を緩めているのですが、飲み物専用に別の冷蔵庫を買った&最近自炊をサボっていたため、放置していました。しょうがないので、かっちかちの牛乳をとりあえず温めようとフライパンに開けたら、分離していました。水分が凍って、乳脂肪分の方が凍ってない。
、、、これ、煮詰めたら「蘇」になるんじゃね?

下の液体部分だけを煮詰めます
水っぽい方はミルクティーにして美味しくいただきました

おおよそ300ml、フライパンでちみちみ混ぜつつ中火で加熱していたのですが、ミルクパンに移してからは放置&弱火でトータル1時間半煮ました。

結構色が濃くなってきた

2時間経過。表面の膜が大分固くなってきました。

下に水分が溜まっている感じです

2時間半。水分はほとんどなくなった模様。

触ると結構硬い

3時間煮たところで、なんとなく固形になった気がしたので加熱終了。
他に蘇を作った人の体験をネットで見ると、冷やす、と書いてあったので、このまま放置で。

台所には暖房がなく天然冷蔵庫なので冷めるはず

2時間後。予想通り水気が飛んでます。

一かけ切り取ってみました。

それでも下の方は少しジューシーでした(タイトル画像)
味は、ほのかに甘い、コクをなくしたチーズ。
奈良時代では珍味だったんだと思います。しかし、哀しいかな私の舌は現代仕様。「食えなくはないがすごく美味しいかと言われると」な味。

・甘さ控えめ(牛乳内の糖のラクトースは、普通の砂糖=グルコースと比べると半分以下の甘さ)
・塩気なし
・うま味なし(チーズのうまみのアミノ酸は、熟成期間中に増えます)
であるため、インパクトがないんですね。
友達の一人が、前に蘇を作ろうとして普通に5時間煮詰めて「白いチーズのような何か」を作ったと聞いたので、確認してみました。
「蜂蜜かけたらおいしいよ」
なるほど。でも家に蜂蜜はない。いや、あったか?

投げ売りされてた時点でお察し

ご丁寧に「辛み成分が強いのでご注意ください」と注意喚起されているトウガラシエキス入りはちみつ。
いや、待て、落ち着け自分。お前はYouTuberじゃない。舌と胃と心を傷つけてもインプレッションは稼げないぞ。
というわけで諦めて普通に完食しました。
そして冷静に考えると、蘇+ミルクティーで結局牛乳全部消費したので、私のお腹の中には正味600mlの牛乳が入っています。100ml/63kcalとして、378kcal。ご飯は普通に食べているので、間食として400kcalって取り過ぎでは。昨日「クリスマスだし買おうか、でもカロリーがな」と迷ったセブンのシュークリーム2個分以上です。最近美食会食が過ぎて膨らんできた自覚があるので、節制しようと思っていたのに……

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