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障がい児子育て奮闘記〜もうすぐ小学生だけど、箸を持ったことはありません!〜

先日、Twitterで「幼稚園・保育園でなんでも練習させようとしないでください、箸の練習をする道具が今はいっぱい可愛いのが売っているのですから、家庭で少しでいいんです。練習させてください」といったツイートを見てしまった。

正直、愕然とした。

本当に保育士・幼稚園教諭のツイートだろうか?と確認したほどだ。でも、これが保育園現場で少しだけだが、勤務したことがあるが現実だったりとする。
専門職とは名ばかりで、知識のなさを露呈してしまったツイートだ。
予想通り、炎上し、ツイートは削除されていた。

私は、こういったただ知らないだけで本当は子どもの事をすごく考えて一生懸命に頑張っている専門職や保護者に正しい発達の知識を知って欲しくて休職し約1年講師となるべく研修を積んだ。

これは、アウトプットの練習と少しでも障害児を持つ親の気持ちを知ってもらえればと思い記していく。

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「手は、第二の脳」

手は、運動機能だけでなく、感覚器でもあるといわれる。「手指は第二の脳」といわれるほど、手指を使うことは脳の広い範囲を使うことになる。

脳の発達がピークになるといわれる乳幼児期にひねる、押すなどさまざまな動きを経験し手指を使うことは脳を刺激し発達させるのである。
ここで大切なのは、やらされるではなく、子ども自身がやりたい!と思うモチベーションありきということである。大人もだが、イヤイヤやると伸びるものも伸びない。日常の遊びの中で楽しみながら経験を重ねることが大切なのである。

「箸を握るのに練習を始めるサインとは」

次に、では「楽しく箸を持つ練習をさせればいいんじゃない?」と思う人もなかにはいるだろう。よく療育施設で見かけることがある"たまうつし"
を例にとって考えてみる。ん?その握り方でたまうつし?早くない?といった例だ。早けりゃ良いというもんじゃないよ…と思わずにはいられない。

その"たまうつし"(療育におけるリハビリ)
まだ歩けないのに、走れと言ってはないだろうか?

以下に示すお箸をもちだすサインをだしているだろうか?

◯人差し指・親指でマル=OKのサインができるか?

◯指1本1本折り曲げて数えていけるか?

◯テーブルの上でお絵描きなどをするときの持ち手は、指3本で描いているか?

ちなみに、私は自分自身が発達障害者でお箸の握り方も随分おかしい。今更、矯正ができない。やろうと思うがかなりの苦痛で挫けた。私のように一度根付いてしまった方法を覆すことほど難しいことはない。

できれば、初めから正しい持ち方をすることで食べこぼしなどなく食事の時間が楽しく幸せなものとなってほしい。

「手の発達を促すには」

手の発達に関わらず、人間の発達は中枢→末梢に向かって発達していく。そのため、手先の発達が未熟なお子さんには、手先の運動を中心にさせるのはナンセンスである。

ダイナミックに体を動かしたり、触るような刺激を与えることが運動発達を促進させてくれる。

そして、骨や筋肉の発達には、荷重刺激が必要。つまり、たくさん歩いたり、手をついたりすることが骨や筋肉・神経の発達を促すといわれている。

しっかり手をついて体を支える経験が骨と筋肉を育てると言われていて、ハイハイや昔ながらのジャングルジムや登り棒などはこういった理由でもとても大切な成長発達を促す遊びになる。

また、手で体を支える経験からバランスをとる為に必要になる微細な筋肉を動かすことが手の繊細な動きの準備となっていく。

自分の体がどんなふうに動くのか?どこまであるのか?そういった感覚を固有覚といったりする。
お箸もだが、小学生になって苦労する子も少なくないリコーダーは、固有覚の経験の上にできていくボディイメージが未熟な為におこっていることも考えられる。

つまり、手のボディイメージが未熟な為リコーダーの穴と自分の手がうまく連動しない(協調運動)のだ。

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まだまだ、スプーンとフォークの障害児育児の中で

最後に、ここまで話してきましたが、我が子は、もう来年小学生。

ツイートされていた方に、「うちは、来年小学生ですが箸を握る段階に至っていません。発達障害児です。それでも、練習した方がいいのでしょうか」と意地悪なリプをした。

燃えていたので、返信はもちろんない。

保育士や幼稚園教諭といった先生方の大変さは私も経験者なのでよくわかっているつもりだ。「家で練習しとけよ!」と私も若い頃は思っていた。恥ずかしい話だ。

家で練習しなくても、定型発達の子は箸が握れるようになるのはなぜなのか?この子は、今、どの発達段階にあるのか?親御さんは頼れる人はいるのか?など大変な仕事だが、保育士の観察力と知識があれば早期発見が可能になる貴重な場所でもある。

ただ、「指摘しても受け入れてくれない」という声もよく聞くが、そりゃそうだ。最初は私も単なる個性だと思っていた。

それでも、信用している保育士さんや先生方にいわれると「病院に行ってみようかな」と少なくとも私はなった。

いつか、支援が必要になる時が来た時、どんなふうに対応するかスタッフ同士で話し合い支え合っていけるような保育園、幼稚園、こども園が増えれば発達障害児とその家族はすごく救われる。

どうか、家族を責めるような声かけだけはしないでほしい。些細なことで死にたくなるくらい、毎日必死だ。

障がい児育児にご理解を、せめて、現場の先生たちにはしていただきたい。

切なる願いを込めて。






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