なんでもない日のミネストローネ

ミネストローネを作る。

玉ねぎはくし切り、ジャガイモは乱切りで12等分、セロリは茎だけ角切り。

にして全部大きな鍋に入れる。ル・クルーゼの赤い鍋はうちの小さな一口コンロを大きく覆ってしまう。冷蔵庫を漁るとウインナーがある。しかし開封済み。2/3は残っている。1週間前に賞味期限切れだ。しかし他にタンパク質ははない。切ってにおいを嗅いでセーフだからセーフ。セーフということにする。

今日はコンソメもない。何もないな。調べたら赤ワインを入れたらいいらしい。ローリエも。ない。酒はチャミスルがある。すももだけど赤いしアルコール入ってるからOKだ。とぽとぽとぽと流しいれると良い香りがする。あとは味の素と本だし。両方蓋の半分くらい。トマトも熟れているから切る。トマト缶も開ける。上ぶたのタブを引っ張るとタブだけ取れた。つまり開かない。今日はスムーズにいかないことばかりだ。でも缶切りがある。タブは取れても缶切りがあるならタブ取れてないも同然だ。ところでトマトとトマト缶は混ぜると味の区別はつかなくなるよね。空いたトマト缶に水入れてそのまま鍋に移すと明らかに水が多い。煮込めば大丈夫だろう。

ミネストローネを作るのは重い気分の日だ。嫌なことがあった、と言うほどではなく、なんだかどんより心が沈んでいる日。例えば北朝鮮のロケットが落ちると言われた夜、就活で一番行きたかったところの面接に失敗した夜、そして今夜は大切な人の大きな日の前の晩だ。何も考えずに野菜を切ってとにかく煮込む。全部赤に染められていく。ことことからぐつぐつになり、水分がなくなってごとごといいだす。今日は焦げた、けど美味しい。なにかある日をなんでもなくするために、私はミネストローネを作る。

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