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【仮面ライダーリバイス考察】第44話:大二の物語が迎えたバッドエンド

本日第44話が放送された仮面ライダーリバイス。

大二の話が完結を迎えようやくギフ打倒に集中できると思いきや、そのままの勢いで封印までできてしまい正直理解が追いつかなかった感は否めない。

確かに大二は戻った。では、このモヤモヤはなんなのか?
今週はその部分について改めて考えていきたいと思う。

(少し否定的な内容になっています。不快に思われる方はここで閉じて頂ければと思います。)


カゲロウの復活タイミング

大二は今回、初めて"声に出して"カゲロウに助けを求めた。
加えてホーリーウイングバイスタンプに涙を落とした事でついにカゲロウが復活するに至る。

カゲロウは「大二が自分で間違いに気づくまでバイスタンプの中で待っていた」と言うが、これには流石に違和感がある。

違和感① もっと前に出て来られなかったのか
とにかくこれに尽きる。「自ら間違いに気づくまで待った」と言われても、視聴者からすれば大二は随分前から自分の間違いに気づいていたようにしか見えず、直接声に出したり涙を流さずとも、そもそも"大二自身"であるカゲロウにそれが感じられなかったとは考えにくい。

違和感② ギフとの契約
大二は先週と今週で2度、ギフに契約を持ちかけている。
もし契約が成立してしまえばカゲロウは本格的に消滅していたはずだが、それが分かっていて尚カゲロウは黙っていたという事だろうか。(やりそうではあるが。)

違和感③ 涙で変化するバイスタンプ
仮面ライダーリバイスの世界において、変身デバイスは常に科学者の手によって生み出されてきた。
非科学的な「悪魔」という存在を科学的な「力」に置き換える技術進歩の過程は、狩崎家のドラマと並行して描かれる事で今作の大きな魅力の一つを担ってきた。
だからこそ、今回の「落ちた涙が奇跡を起こす」というなんとも非科学的な奇跡の展開には強い違和感を覚えた。

これらの要素がノイズとなり感動的な再会にも残念ながらブレーキがかかってしまった。


大二が迎えたバッドエンド

なにより気になるのは「大二が物分かりの良い次男坊」に逆戻りし、家族も全員それを良しとしている事だ。

カゲロウが復活した事で、再び大二の中で心のバランスが取れるようになったのは分かる。
ただ、そもそもカゲロウは大二の中にある「一輝への嫉妬心」「一番になれない事への不満」から生まれた悪魔である事を忘れてはならない。カゲロウはいつから大二の単なる補助役として、いやむしろ大二にとって一種の呪いであるはずの「家」に彼を引き戻す為の装置としての存在にすり替わってしまったのか。

大二に笑顔が戻ったのは確かに喜ばしい事ではあるが、彼がもともと抱えていた問題は何一つ解決していない。

大二の考えは本当に間違っていたのか?一輝への負の感情が高まった時、例えば朱美が死亡した際にカゲロウを復活させた方が物語的な辻褄は合ったのではないか?そもそも朱美を殺したのは一輝だと誤解したままではないか?大二だけが謝っていたが、一輝やさくらが謝る必要はないのか?この問題は、ただ「大二がみんなに迷惑をかけた話」として終わってしまって良いのか?

今回、一つだけはっきりと分かった事がある。
本作において一輝は成長も変化もしない。どちらも強いられるのはいつも周りの人間/悪魔ばかりだ。
「一輝の成長に関しては全てバイスの成長に変換されている」という事情も理解はできるが、それにより一輝がどんどん空虚な存在になっている感は否めない。
実際今回も二度にわたり大二がギフと契約しそうになる場面があったが、それを体を張って阻止したのはバイスであり一輝はただただ傍観するのみだった。

記憶を失っていく事で人格自体が変わっていっているのだろうか?もはやそうでなければ説明不可能なほど、ここ数ヶ月の一輝のサイコぶりは際立っている。

大二の言う「かけた迷惑は闘いで返す」という言葉は、良くも悪くも"強大な力を得る事で目の前の問題を有耶無耶にしてきた"リバイスの世界観を端的に表しており、妙な虚しさだけが心に残った。


ヒロミの行動が意味するものは?

復帰後は落ち着いた雰囲気でウィークエンドの頼れる兄貴分的存在となっていたヒロミ。
彼が今回、ついにデモンズとして最後の変身をしてみせた。

ただその顛末はあまりに薄味で、本来であれば最高潮に燃える展開であるはずがほとんど印象に残らないシーンに成り下がった。
原因としては以下の3点が考えられる。

①目的の不明瞭さ
文字通り命懸けで変身してみたはいいものの、やっている事自体は「喧嘩して仲直りする」という一輝のやり方をただなぞっているに過ぎず、結局何を伝えたかったのかが今ひとつ伝わって来なかった。
何度話しても思いが伝わらなかったというヒロミの葛藤も分からなくはないが、そもそも闘いを通して伝えるというやり方が大二に効果的とはどうしても思えず、ただ考えるのが面倒臭くなってしまっただけに見えた。

②無責任さ
今回のヒロミの行動に無理矢理にでも理由をつけるとすれば「カゲロウの思い出を上書きしようとした」としか考えられない。
大二が自らトドメを刺したカゲロウの言葉に縛られているのなら、同じく自分が大二に倒され、死に際に話す言葉が大二に届くかもしれないという思考だ。
ただこれは、大二にもう一つ大きな十字架を背負わせる大変残酷で無責任な決断であり、ある意味最も悪質な力技と言える。
ヒロミに本当にそのつもりがあったかは分からない。ただ、結果的に"そうなりかねない"場面であった事は確かである以上、今回の彼のやり方には到底賛同できない。

③力を向ける方向の誤り
「最後の変身」というカードを使うのは良い。
ただ、本当に大二に道を示したいのなら、そのなけなしの力の矛先を大二に向けてどうする。
勝算が薄くてもギフに立ち向かう、もしくは五十嵐家がギフに歯向かう事で起きる被害の対処及び人命救助に使う方が百倍良かったように思えてならない。


今週は少し否定的な語り口になってしまったが、私だって大二に笑顔が戻った事は嬉しい。
ただ、だからこそしっかり感情移入してしっかり感動したかった。劇場版の公開を来週に控え、なんとしても今週で家族を修復し切ってしまいたかったという事情も分かるが、闇堕ちの過程が丁寧だった分今回のあまりに安易な更生物語には"雑さ"を感じざるを得ない。

一輝の目指す「みんなが笑って暮らせる世界」。
その響きに少しだけ"怖さ"のようなものを覚えるのは、果たして私だけなのだろうか。


(仮面ライダーリバイス公式サイト リンク)
https://www.tv-asahi.co.jp/revice

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