【仮面ライダーリバイス考察】第32話:「人間になる」事が救いであるという思い上がり。
本日、第32話が放送された仮面ライダーリバイス。
アギレラの決意とさくらの葛藤がぶつかり合う、物語としても非常に重要な回であったように思う。
ジャンヌとクイーンビー・デッドマンの戦闘も、「カッコいいアクション」と言うよりは「泥臭いキャットファイト」的な演出に寄っており、2人それぞれに迷いがある事を表現していて熱かった。
今週は、更に重要となりそうな次週への"前振り"的な展開が多く考察に関しても難しい部分はあるが、明かされた情報をもとにできる限り考察を進めていきたい。
アギレラの願い
先週、アギレラがさくらにこだわる理由を
・ギフと一つになる為の最終手段として、死んでギフに吸収される事を望んでいる。
・一輝では悪魔と分離させられてしまう為NG。
・大二もホーリーライブへの進化により分離能力を獲得している可能性がある為NG。
・唯一強化がないジャンヌ(さくら)なら、確実に自分を倒し、消滅させる事ができると考えた。
と考察した。
今週、玉置によって「悪の女王としての最後のプライドを守る為さくらに倒されようとしている」という推測が話されたが、前述の考察もあながち外れてはいないのかなと思う。
アギレラの本当の狙いや願いはさておき、ここまで来ればもはや必要なのは両者納得のいく決着だけであり、たとえそれがどのような結果を招いたとしても受け入れるという覚悟が今回さくら側に足りていなかったという事だろう。
ギリギリになってその事に気づいたさくらではあったが、だからと言って本当の意味で全員が幸せになる道などはじめから無い。
さくらが選んだ道は「ちゃんとアギレラと正面から向き合い、その上で倒す」というものだが、その道の先に人間としてのアギレラは存在しない。
狩崎真澄が言った「どの道を選んだとしても必ず悔やむ事だろう。正義はあっても正解はないのだ」という言葉がさくらの頭に残っていたとすれば、最後の最後で彼女は自分や一輝の正義、つまり「アギレラを人間に戻す事」よりも、誇り高い女王のままで死にたいというアギレラなりの正義を優先する方を選んだのだと解釈できる。
さくらはアギレラを抱きしめ、間一髪彼女の分離を防いだ。
自分の手でアギレラを倒し、彼女の死を背負い、たとえ悔やむとしてもその後悔と共に生きていく事を決めたのだ。
これはまさに1人の少女が本当の意味でヒーローに目覚める瞬間を捉えていたと言える。
玉置の願い
ビルの屋上にて、さくらよりも早くアギレラの姿を見つけた玉置は「一度でいいから僕のお願いを聞いてほしい」と言った。アギレラはその願いを聞かぬままさくらとの戦闘に赴いてしまったが、この時玉置が伝えようとしていた願いとは、一体なんだったのだろうか?
玉置はアギレラに遮られる前、「もちろん、アギレラ様の意志は尊重します。でもその前に…」と言っている。
つまりアギレラが死のうとしている事について、玉置の中で一応の納得はしているようだ。
ただ、死ぬ前にどうしてもお願いしたい事があると言う。
この玉置の願いについて、今週の放送から拾える情報をもとに考察してみる。
この後、さくら、光に次いで一輝が現場に到着。
ただでさえ邪魔が入る事に苛立つアギレラに対して更に追い討ちをかけるように一輝がこんな言葉をかける。
「人間に戻ったら、しあわせ湯に来ないか?」
これに激怒したアギレラは変身し、一輝たちに襲いかかるわけだが、この時の玉置の表情に注目してほしい。
怒り出すアギレラに驚いていると同時に、どこか気まずそうな表情にも見える。
もしかすると玉置も一輝同様、アギレラをしあわせ湯に誘おうとしていたのではないだろうか。
玉置がアギレラの「倒されたい」という意志を尊重している点を考慮すると、彼はアギレラが死ぬ前に自分の働いている姿、ちゃんと人間たちの中で不器用ながらも生きていけている姿を見せたかったのではないだろうか。
自分の掃除したお風呂に入ってもらい、手料理を振る舞いたかったのではないだろうか。
そうすれば、自分と同じようにアギレラの考えにも変化があるかもしれないと。
しかし、アギレラの決意は固かった。
女王として育てられた彼女にとっては、手を差し伸べられる事自体が屈辱的と捉えられてしまった。
そもそも途中からデッドマンズに入信した玉置と違い、物心ついた時からデッドマンズとして生きてきたアギレラにとって人間に戻る事は必ずしも救いとは言えない。なぜなら彼女は悪の女王としての生き方しか知らないからだ。
だからこそアギレラは悪役のまま散りたいと願う。大好きな相手(ギフ)と結ばれないのなら、せめて大好きな相手(さくら)に倒されて散りたいと。
ずっと側にいたからこそ、玉置は誰よりも、さくらよりも早くそれに気づいた。
さくらと一輝が頻繁に口にする「アギレラを救う」という言葉に対し、「それはアギレラ様の望んでる事じゃないんだ」と呟く玉置だが、激しい戦闘が繰り広げられる中でその声は誰にも届かない。変身能力を失った玉置にもう何もできる事はなかった。
なにより、「しあわせ湯に来てあったかいお風呂に浸かればアギレラ様の気持ちも少しは変わるかもしれない」などと一瞬でも思ってしまった自分に、もはや立ち入る資格は無いと思っていたのかもしれない。
五十嵐家に伝わる「人間、どんな事があっても熱い風呂に入れば復活できる」という教え。
玉置もこの教えに則り、アギレラをしあわせ湯に誘おうとしたのなら尚更切ない。
アギレラは人間という枠組みに入れられる事自体を拒絶していたのだから。
ともあれ、来週放送の33話で本当にデッドマンズまわりの物語は完結すると思われる。
アギレラはまず間違いなく退場となるだろうが、歴代仮面ライダーシリーズの中でもトップクラスに人気のあった悪役として、悪役のまま消えていくその美学を玉置同様に尊重しながら、しっかりと最期まで見届けていきたいと思う。
(仮面ライダーリバイス公式サイト リンク)
https://www.tv-asahi.co.jp/revice
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