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最近じわじわ来ている「TechPM」「データ基盤PM」について(PM未経験からもアリ?)

みなさんこんにちは。クライス&カンパニーの松永です。
相変わらずプロダクトマネージャーにどっぷりな毎日を送っております。

はじめに

最近、求人の中でTechのバックグラウンドを求められることが多くなってきた印象があります。
PMの役割が細分化される中で、

「テクニカルプロダクトマネージャー」(以降、TechPM)

という求人名は以前からしばしば見かけましたが、

「データプロダクトマネージャー」
「プロダクトマネージャー/データ基盤」(以降、データ基盤PM)

などの表記も目にする頻度が増えてきました。

例えばこんな求人を目にしませんか?
以下はTechPMの求人の職務内容の例です。

プロダクト基盤チームでプロダクトマネージャーを担当。テクニカルプロダクトマネージャーの役割は、マルチプロダクト戦略実現に向けて、解決しなければいけない課題を整理し「何をつくるのか」「なぜつくるのか」に責任を持ち、開発チームと一緒に「どのようにつくるか」「どう実現するか」を考え、推進していくこと
・中長期ミッション達成のためのプロダクト基盤の目標やロードマップの作成
・新規の共通基盤や連携機能の企画や設計、推進
・既存の共通基盤やAPI改善のための企画や設計、推進
・上記の実現のための仮説検証
・各プロダクトチームと認識を揃えるためのドキュメント作成やコミュニケーション、調整

SmartHRさんの「テクニカルプロダクトマネージャー」求人募集内容より抜粋

データ基盤PMの職務内容の例はこんな感じです。

estieでは、Whole Product構想を掲げ、その根幹を担うコアデータとして、商業用不動産の建物・募集情報のパイプラインを構築してきました。このパイプラインを通して提供されるデータや機械学習モデルを通してさらに生み出されるデータは複数のプロダクトに価値を提供しているとともに、今後増え続けるプロダクト群の高速な立ち上がりを支えるものです。

これらの領域では、技術的専門性の高さが要求される領域が多いこともあり、ソフトウェアエンジニアがPOとしてユニットのプロダクト開発を推し進めてきました。しかし、特にプロダクト数やその提供する顧客数が増える中で、バーティカルSaaSでは業界を深く学び、データを通してプロダクト群の価値向上を戦略的に描くことの重要性が上がり、ソフトウェアエンジニアに一般に求められるcapabilityとは異なる部分が大きくなってきています。
(中略)
コアデータユニットのアウトカム最大化のために、以下をお願いしたいと思っています。
・コアデータチームの一員として、複数のプロダクトでのデータ改善による事業価値向上を理解し、データ戦略の企画・立案を行う
・データ品質改善を含めた開発の優先度決定を行い、提供先プロダクトチームのプロダクトマネージャーと協働しながらユーザに価値を届ける
・提供するデータ機能について、必要に応じてドキュメントを通して提供したい価値を整理しチームで議論出来る状態とする
・ユニット内のソフトウェアエンジニアと協働し、データに関連する課題の特定・解決までの筋道を立てる
・チーム全体の目標(定性/定量)を設定する

estieさんのプロダクトマネージャー(データ基盤/API基盤)求人募集内容より抜粋

私はこれらの求人を、是非

・テクノロジーやデータまわりに強みをもつ現役のプロダクトマネージャー
・以前から技術的な負債やデータの最適化に取り組んでいるエンジニアの方

といった方々に知っていただきたいと思っています。

今回は、これらの求人の中身や背景、ポジションを経験することで得られるキャリア形成上の価値などについて、私の見解をお伝えしてまいります。

何を期待されているポジションなのか

このnoteにおけるTechPM、データ基盤PMの定義

まずは本記事におけるTechPM、データ基盤PMの定義をしていきます。

世の中で使われている”TechPM”には大きく分けて3種類があると思います。
通常のPMとの棲み分けでお伝えすると、

①個別プロダクトを担当するPMと、横断的に技術領域を見るTechPM
②ディスカバリーを担当するPMと、デリバリーを担うTechPM
③プロダクトマネジメントをメインで行うPMと、プロジェクトマネジメントが主な業務となるTechPM

など、微妙に意味が異なってきます。
②③のパターンは最近求人が増えてきたというよりも、企業ごとの仕事の割り振り方として以前から存在していたポジションです。

さて、今回のnoteでは、最近増えてきたと感じる①を扱います。

つまりプロダクト全体の技術的な課題の解消に取り組む人であり、複数プロダクトを横断で見て技術的な観点からプロダクトの課題を見つけ、複数プロダクトの成長に寄与する人について解説します。

続いてデータ基盤PMですが、TechPMの役割の中でもデータ基盤にフォーカスしたポジションと考えるとわかりやすいです。
複数プロダクトにまたがる共通基盤をプロダクトとみなし、共通基盤を各個別プロダクトにとってより良い形に改善・成長させることで、自社で持つ複数のプロダクトの成長に寄与していくポジションです。

それぞれの期待役割

この2職種共通で期待されていることは、主にプロダクトを横断で見ることでリソースを最適化し、プロダクトの進化のスピードを上げることです。

個別に、まずはTechPMについて詳しくお話しします。
プロダクトAを担当するPMが発見できる技術的課題ももちろんありますが、全く同じ(もしくはかなり近しい)課題にプロダクトBのPMが取り組んでいるかもしれません。そうなってしまうと完全に二度手間。ただでさえ忙しいプロダクトマネージャーのリソースがどんどん圧迫されていきます。

TechPMは、技術的な観点で横断して課題をみつけ、それらを最小限のリソースで、最速で解決していきます。無駄は起こらず、早く、正確に解決に導いてくれます。
また、個別のプロダクトを見ているPMでは目が届かない他プロダクトとの連携部分の技術的な不備などに、技術に軸足を置きながら俯瞰した視点でいち早く気づくことができるのもTechPMです。

次にデータ基盤PMです。
複数のプロダクトを展開している以上、当然のことながら集められる顧客データはプロダクトによって違います。
複数の切り口から集めたデータをどう統合し、プロダクト全体のドライブに活用していくかが肝になります。既存の顧客データと新規プロダクトとの紐づけは大前提のこと、そこからどのような示唆を得るかが今はまだない新たな収益の柱を生むことにつながっていきます。

データ基盤PMは、各プロダクトが集めてくるデータの属性によってデータの持ち方を最適化したり、そのためのデータ基盤を整備することが求められます。さらに得られたデータの利活用をしやすい環境を整えることで、各プロダクトの進化のスピードは格段に上がり、プロダクト間のシナジーも生まれやすくなります。
データを見て、そこから示唆を得ることは全てのPMにほぼ必須とされるスキルです。ただその手前で、示唆のあるデータを得られる状態にするのはまた全く別のスキルで、ここを担うのがデータ基盤PMなのです。

これらのポジションを担うことはキャリア上どうなのか

結論、とてもおすすめです!

なぜなら、TechPM/データ基盤PMともに活躍の場が多く、さらに増えていくと思われるからです。
いくつかの例外を除いてほぼすべての企業が複数のプロダクトを展開していく流れになっています。LayerXさん、estieさんなど、複数プロダクトを展開するコンパウンドスタートアップもこれから増えていきそうです。

一方、これらのポジションは、ユーザー向けプロダクトを担当するPMでなくなってしまう点、プロダクトマネージャーとしての役割が限定されるように感じる可能性がある点などが、もしかしたらデメリットに感じるかもしれません。

しかし、複数のプロダクトを俯瞰し、全体のプロダクト戦略と照らし合わせながら最適な解を見つけ出していく経験は、単体サービスのプロダクトマネージャーだけでは決して得られないものです。そしてこの経験は、自社プロダクトのすべてを管掌するCPOやVPoPを目指すにあたり、必須と言えるのではないでしょうか。

終わりに

最近は未経験からPMになるハードルが以前より上がってきています。
しかしこのTechPMやデータ基盤PMは、未経験からPMになりたい皆さんにとってPMキャリアの入り口になっていく可能性があると思っています。
具体的には、

・エンジニアとして社内の技術的な課題を幅広く経験してきた方
・データアナリストやデータエンジニアとして活躍してきた方
・そしてこれらの経験がありながら、技術を目的にするのではなくユーザーの課題を解決することに関心が強い方

こんな方々が活躍できるフィールドになり得ると思っています。

また、現役PMの方にもおすすめです。
これまで一つのサービスの担当プロダクトマネージャーとしてサービスの成長にコミットしてきた方であれば、隣のプロダクトで何が起きているのかを理解することの大切さをご存じのはずです。そういった意味でこれまでの経験を活かしてコンバートは可能です。

また、今後のキャリアという意味でも
・自社の複数のプロダクトを俯瞰した目線で横断して見て
・各プロダクトのシナジー効果を生むために手を打ち
・リソースの最適化や全体のスピードアップに貢献する
という役割を担うことは、CPO、VPoPなど、自身の管掌範囲を広げていくキャリアにもつながる経験になります。

このnoteを読んだけど、まだイマイチTechPM、データ基盤PMのイメージわかない・・!という方がいらっしゃいましたら、是非ともお気軽にご連絡ください。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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