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6ヶ月で「英語アタマ」を手に入れるには?

まずは現在地を知ろう(CEFRとは)

英語学習に興味がある人なら一度は目にしたことがあるかもしれない「CEFR」の文字。セファールと読みます。「ヨーロッパ言語共通参照枠」の訳がついています。平たくいうと「語学力のモノサシ」です。

CEFRは大きく3つのレベル(A、B、C)に分けられていて、それぞれがさらに2段階に分けられています。具体的なレベル分けに「できること(​​can-dodescriptor)」を使っているのが特徴です。英語力とは知識の量ではなく、何ができるかが大事だというのがCEFRのメッセージというわけです。

A : 基礎段階の言語使用者
B : 自立した言語使用者
C : 熟達した言語使用者

ほとんどの日本人は「A2」レベル

中学、高校と最低6年間、大学でも勉強した人は10年間、英語を勉強しています。その日本人の多くがどのレベルにいるかというと「A2」です。A2とは、

簡単なフレーズや文章を使い、ある程度の身近な話題に関して話すことができる

というレベルです。

A2レベルの思考プロセス

具体的なシーンで考えてみましょう。

例えば、知り合いと話をしていて、

My son passed the entrance exam for Keio University.

と言われたとします。A2レベルの人は頭の中で、

マイサン、My son… ああ息子さんね
パス?パス?pass… 合格ってことね
エントランスイグザム、あ、受験か
ケイオーユニバーシティ・・・ケイオー…慶応!慶応ね!

このように単語を一つ一つ、逐語的に日本語に訳しています。次に、英語で何か返そうとしますが頭に思い浮かぶのは日本語です。

おめでとうございますは、、、congratulation か!
息子さん、優秀なんですね!優秀?優秀って英語でなんて言うの?superior?
将来、安泰ね!安泰?安泰?未来が明るいってことか。明るい?shiny?

そして思い浮かんだ単語をそれっぽく並べます。

Congratulation!
He is superior.
His future is shiny!

A2レベルの思考プロセスの特徴

A2の人の思考プロセスの特徴を見てみると、

  • 受信時、単語を一つひとつ日本語に訳さないと意味が取れない

  • 発信時、まず日本語が思い浮かぶ

  • 思い浮かんだ日本語に対応する単語が思い浮かばない

  • 文法、語法の正確性に気を回す余裕がない (congratulationにsが必要、この文脈にsuperiorは使わない、など)

などの特徴が見てとれます。

逐語訳しながらでは円滑なコミュニケーションはむずかしい

英語→日本語、日本語→英語と一語一語訳しながらですから、相手が言っていることを理解するのも、何かを伝えるにも時間がかかります。それでも聞き手が英語の先生など、日本人の英語に慣れている人であれば、理解してくれます。しかし、ビジネスシーンでの円滑なコミュニケーションはむずかしいでしょう。

留学すればペラペラになる?

多くの日本人は、英語圏へ数年間留学してきた人の英語を聞いて「さすが、英語ペラペラ!」と感じると思います。留学経験者の英語はCEFRではどのレベルなのでしょうか?

実際に、留学から帰ってきた人たちの英語レベルを評価すると、多くの人は「B1」に位置します。

B1:幅広い単語、フレーズ、表現を使い、身近な話題に関してより詳細に伝えることができる

具体的にいうと、

受動:コンテクストが身近だったり、クリアな発音、辞書を使える環境であれば複雑な内容でも理解できる
能動:ニュースや仕事について、意見をシンプルな文章構造を用いて、情報交換することができる

といったレベルです。

B1レベル = 英語アタマの入口

A2レベルの説明でも使った例でみると、

My son passed the entrance exam for Keio University.

このレベルの文章であれば、日本語に訳さずに「へー、慶応に受かったんだ!すごい!」と英語のまま、イメージや意味で受け取ることができます。

そのうえで、日本語を介さずに、

Congratulations!
He passed the exam なのは、
He studied hard なんだろな。

と、日本語を介さずに伝えたいイメージや意味が、自分の使える表現と結びついて、

Wow! Congratulations! He studied hard for the exam, right?

とスムーズに発話が行われます。A2のように「英語→日本語」「日本語→英語」という翻訳プロセスを介していないので、コミュニケーションがスムーズに行われ、脳の負荷も格段に下がっていることがわかります。その分、より「何をいうか」の内容に脳のメモリを使うことができるようになります。英語を英語で理解・発信できる、いわゆる「英語アタマ」の入口がこのB1です。

24週間で留学経験レベルを達成する

ここで、あれ?と思う方も多いでしょう。留学から帰ってきて「英語アタマの『入口』」なの?」と不思議に思うのも無理はありません。

実は、B1レベルの説明に「辞書を使える環境」「シンプルな文章構造」とあるように、B1レベルは、ビジネス環境で議論や意見交換したり、ニュースや新聞・雑誌から自在に情報処理ができるというわけではありません。交渉やプレゼンテーションにおける質疑応答などのシーンでも、かなり「おっかなびっくり」しながらなんとか乗り切るというのが実感でしょう。

正しいアプローチで「英語学習資産」を活性化する

しかし、英語アタマの入口である「B1」に辿り着くのはそう簡単ではないのも事実です。しかし、不可能ではありません。必要なのは正しいアプローチとそれなりの時間です。

日本人の多くは中高で6年間、さらに大学も入れると10年間、英語を勉強してきています。さらに留学したとしても多くの人は「A2」レベルに止まっているのはなぜでしょうか。それは「話す」練習をしていないからです。いいかれば、知識を「口頭で運用する」トレーニングをしていないからです。

すでにほとんどの人は必要な知識は十分に備えています。知識に穴があればそこを埋めればいいだけの話です。それよりも大切なのは、そういった「知識=学習資産」を活性化して、口頭で運用するトレーニングをすることです。

そのために必要な期間は「24週間」。これがプロセスデザイン・イングリッシュのゴールデンゾーンです。半年で留学レベルの「英語アタマ」をつくるのです。

正しいアプローチで学習する

CEFRでレベルをひとつ上げるためには、200時間の学習が必要だとガイドラインで明記されています。しかし、200時間学習すれば全員がB1にたどり着けるわけではありません。学習には人それぞれにクセがあります。そのクセが邪魔をして、せっかくかけた時間に見合った学習効果を出せないケースが多々あるからです。時間に見合った成果を上げるには、正しいアプローチが必要です。

正しいシャドーイングとは

学習効率を高めるには、正しい練習方法があります。たとえば、英語の学習方法として「シャドーイング」が有名ですが、まちがったやり方でシャドーイングをしてしまって、効果がほとんど出ていない人も多いのです。効果的にシャドーイングするためには、

・音声変化のパターンを知ること
・音声変化を「再現」できるようになること
・いまの自分のレベルにあった教材を選択すること
・文字ではなく、耳から入ってきた音声を「再現」しようとすること

が必要です。

音声変化を再現できるか

英語の受信能力に「音声変化」が大きく関わっていることは広く知られるようになりました。しかし、A2レベルの方の傾向として音声変化の理屈は知っているのに、音声の中に「文字」を探そうとしてしまいます。たとえば、

The party must have ended already.(もうパーティーは終わってしまったにちがいない)

といったセンテンスは、

The party MUSTAVENDED(マスタヴェンデェッド) already.

と発音されます。それなのに「must have endedマスト ハヴ エンデッド」と聞こえないのは自分のリスニング能力が低いからだと考えてしまうのです。これは音声変化の理屈を知っていても、自分で再現できるように練習をしていないために起こることです。

音声変化のパターンの数には限りがあります。そのパターンを知った後、自分で発話して再現してみるという練習が非常に効果的です。知っている単語、フレーズと、実際に発話される音を頭の中でくっつけて、認識できるようにしていくのです。

むずかしすぎる教材に取り組んではいけない

また、かけた時間の割に成果がでない人に共通するワナが「むずかしすぎる教材に取り組んでいる」ことです。たとえば、A2レベルの人がいきなりニュース英語に取り組んだり、大学受験用のテキストを使うのは効果が望めないばかりか、挫折の要因になってしまいます。

A2レベルの人はまず中学レベルの英語を「口頭で運用する」練習から始めるのがよいでしょう。中学レベルといっても、口頭で運用するのは簡単ではないのです。

最近、忙しいみたいだね。
暑い日が続きそうだから、体には気をつけてね。
来週水曜日のミーティングは何時からだっけ?

こういった簡単な内容でも、英語でサッとは出てこないものなのです。

You seem to have been busy lately.
It’s going to be a hot day, so take care of yourself.
What time is the meeting next Wednesday?

英語アタマとは言い換えれば「英語のルールを口頭で操れる」ことです。このルールを頭にインストールするには「簡単な英語で繰り返し練習する」ことが非常に効果的です。むずかしい単語、文構造の英語で練習すれば、そちらに脳内メモリが消費されてしまい、英語回路を構築することに十分使えなくなってしまうのです。

ここまで見てきたように、日本にいながら英語アタマをつくるのは、簡単ではありませんが不可能ではありません。そのためには、正しいアプローチ(戦略)と質の高い練習が必要なのです。

B2達成が最終ゴール!

B1レベルを達成して「英語アタマ」の入口に立つことができれば「自立した言語使用者」の仲間入りです。ここからはよりナマの英語に接する機会を増やし、英語アタマに磨きをかけていきます。自分が使える日本語と英語のレベルギャップを埋めていく段階でもあります。

目標としてオススメするのが「B2」レベルです。B2レベルを達成すると、ビジネスで「この人は英語ができる、頼りになる」と評価されます。具体的には、

受動:論文や雑誌、書籍(TIME, The Economist)などの文字メディア、海外ニュースなどの音声メディアを問題なく理解できる。
能動:自分の意見、専門分野などのテーマで、流暢に、一貫性を持って表現できる。

より複雑で専門的な内容を扱えるようになってきますね。国際的人材、優秀だと世界的に認められるレベルをクリアしています。

効率的に目標のレベルを達成しよう

ここまで見てきたように、日本にいながら「英語アタマ」をつくり、高いレベルに到達するのは簡単ではありませんが、決して不可能ではありません。必要なのは、正しいアプローチと正しい努力(時間)です。

英語で話すことにためらいがなくなった!
事前に準備していなくても、質疑応答できるようになった!
いつの間にか英語で考えていた!

この目標に達するためにも、最初の短期間で集中して
「英語アタマ」を作ってみませんか?