阿蘇野焼き(山焼き)体験レポ20240303

 私PTTは「公益財団法人阿蘇グリーンストック」を通じ、阿蘇で定期的に行われる野焼き(山焼き)に参加してまいりました。その記録をここに残します。


野焼き(山焼き)とは

 熊本県においては、2月から3月にかけて阿蘇周辺の草原地帯に火を放ち、枯草(主にかやなど)を燃やし尽くします。目的は草原の維持です。
 草原を燃やすことによって、植生をリセットします。燃やさずに放置していれば数年で木が生い茂り、森化し、豊かな草原がなくなってしまいます。
 豊かな草原を守る理由はダニなど人畜に有害な虫を駆除するとともに、牛馬の餌の草を育てることと言われています(今では景観維持の側面もありますが)。基本的には牧野(ボクヤ)維持のための伝統的活動です。


参加した理由

 社会人になり、時間的にも金銭的にも自立したため、以前から興味のあった野焼きに参加しようと思い今回初参加しました。高尚な理由はありません。参加していた人は、住んでいる地域も年齢も様々(40代以上が主)でした。最年少はおそらく高校一年生の男子学生(←非常にありがたい)です。
 若い人はいないです。もっと応募してください。寂しいです、私が。大学生や高校生の方、内申点稼ぎや就活のために参加してはいかが?

応募までの流れ

 野焼きボランティア(通称ノボラ)としての活動は、基本的に公益財団法人阿蘇グリーンストックを通して参加することになります。

公益財団法人 阿蘇グリーンストック - 野焼き 輪地切り 支援 (asogreenstock.com)

 まず、野焼きの活動に参加するためには、「初心者講習」を受ける必要があります。参加募集は数か月ごとにありますが、基本的には1月期の講習を受けることになるでしょう。ホームページからご応募ください。
 内容は火消し棒づくり、火消し棒の扱い方講座、ジェットシューター(水鉄砲)の使い方講座、その他座学です。朝9時ごろから3時頃ごろまであります。参加費はおそらく1000円(値上げしていなければ)。当日講習が終わった後に、グリーンストックの会員になる手続きをすることができます。
 会員手続きは任意ですが、実際のボランティアに参加する際に、会員特典があることで参加に有利に働きます。特典内容は、ボランティア実施日の日付リストとその案内書(参加申込書)が同封され郵送されることと、ヘルメット、ホイッスル、ゼッケンをもらえることです。実際のボランティアに参加する場合であっても、ヘルメットなどは必須装備であるため、法人側からいただけるのはありがたいことではないでしょうか。

 いざ初心者講習が終わったとなれば、次は参加申し込みです。参加申し込みは郵送されてきた参加申込書を提出するか、「ウェブ申込」ができます。
 ウェブ申込は草原マニアというサイトから申し込むことができます。

草原マニア (exblog.jp)

 グーグルフォームからの申し込みは非常に便利なため、こちら利用することを推奨します、個人的に。書類の郵送はめんどくさいですからね。ウェブ申込をするには、会員番号の入力が必要なため、必然的に会員しか利用できません。ちなみに非会員はわざわざ電話して応募する必要があります(めんどくさい)。会員万歳です。言ってませんでしたが、会員になるには年会費として2000円を手続きの際に収めます。高くないですよね?。。。?


参加の準備

 申し込みが済んだら、装備品を整えます。装備品は以下一例です。

  • 作業着(難燃性or綿製)

  • 作業靴(トレッキングシューズ、登山靴、現場作業用の靴)

  • 手袋(難燃性)

  • タオル(綿製、首元を覆います)

  • 昼食

  • 飲料

  • ゴーグル ※任意

  • 予備の消火用水(2L程度)

  • ヘルメット、ゼッケン、ホイッスル

  • リュックサック(消火用水、飲料が携帯できる大きさのもの)

 以上は例ですが、ゴーグル以外は必須アイテムです。参加までに準備しましょう。ほとんどの装備はワークマンでそろいます。全部そろえても2万円はしません。安さは正義(にしときましょう)。
 個人的には顔がめちゃくちゃ熱くなるので、顔を覆えるような装備があるといいと思います。泥棒の覆面みたいな。溶接する人が使う、顔を覆うものがあったはずです。また、リュックは小さめをお勧めします。ランナーが身に着けているような、小さいリュックだと取り回し?も楽だと思います。私は普通のリュックで行きましたが、泥で汚れるし、燃える可能性もあったので良くない感じがしました。

 活動日三日ほど前には、集合場所、集合時間が記載されたメールが送られてきます。集合場所の地図とマップコードが記載されているので、当日までに道順を確認しておくといいでしょう。私の場合集合時間は8時でした(遅刻しかけました)。余裕を持って行動しましょう(戒め)。

活動日当日の様子

 私が今回活動した地域は西原村です。集合場所には現地住民で活動の主体になっている方々とボランティアの人が集まっていました。割合は現地住民1ボランティア1ぐらいです。実際のボランティアには地元消防団の方も参加したしていたので、活動実施中は1対1対1ぐらいの比でした。
 集合時刻になり、自己紹介や当日の流れなどの説明などがありました。活動場所は数か所あり、一か所ずつ回って担当地域の活動を行います。今回の範囲は11ヘクタールでした(多いかどうかはわかりません)。活動場所によって変わってくると思います。
 参加していたのは私からすれば年の上の方々ばかりです。高校生が一人いましたが(←ありがたい※二度目)。説明が終わると、活動場所に移動します。が、移動方法が問題でした。
 移動は軽トラックの荷台に乗ります。(は?私たちは貨物ではないぞという)突っ込みはなしです。問答無用で乗(載)せられます。断ればたぶん歩き移動です。きっとつらいですよ。。。

 活動場所に着き、いよいよ野焼きが始まります。地元の方々が枯草に火を入れます。火があっという間に燃え広がり、風下のほうに突き進んでいきます。初心者講習で学習することですが、風向きや傾斜、地形を考慮し事前に輪地焼き・輪地切りが行われているため、狙ったところだけに燃え広がるよう計画がなされています。今回は予定外のこともなく比較的安全に作業が行えているように感じました。
 火入れが始まれば、火が予定外のところに燃え広がらないように、輪地に沿って火消しの準備をします。消す必要のある火があれば火消し棒でたたいて火を消します。これがボランティアの主な役割です(言ってなかったですね)。予定通り私たちボランティアは輪地に沿って列をなし、火消し棒を持って行進しました(パレードか)。しかし当日は枯草が朝露や湿度の関係で燃えづらく、そこまで激しく燃えなかったため、実際のところ私たちの出番はなかったように思います。輪地に沿って突っ立ってる時間が大半でした。
 しかしながら、燃えるときはすごい勢いで燃えるため気を抜いてはいられません。実際私の目の前で大きな炎が上がり、顔をやけどするかと思いました。幸いにもやけどすることも延焼(予定外の場所に燃え移ること)もなく、無事に活動が続きました。

 そして、予定していた場所をあらかた焼き終わり、活動が終了しました。なんと活動時間はたったの三時間。私たちの担当箇所がおそらく最速でした。というのも、私の活動グループでは今回初参加の方(私含め)が多く、活動しやすい地域が選別されていたものと思われます。せっかくお弁当を用意しましたが、食べることもなくおうちに持ち帰ることになりました。実際は、そのあとピクニックがてら公園で食べることにしましたが。
 集合場所が解散場所になります。ほかの活動者の方と特に仲良くなることもなく(泣)(通常)、簡単な挨拶を終え、今生の別れです(嘘)。年が近い人がいれば連絡先ぐらい交換したかったですが、今後活動していくにしても無理そうです(高校生には手を出しませんよ)(迫真)。以上が活動の記録となります。今後も活動したいとは思いますが、、、ワコウド、コナイカナー


雑議

 地元の人とは少しお話しました。イノシシとか鹿とかが出て大変なんだよというお話ともう一つ、野焼きの問題点についてです。現状野焼きは地元の人たちが主体になっており、野焼きをするもしないも地元の人の気持ち次第です。実際、個人所有の土地は地元役場の意向関係なく地元の人が独自で処理をしています。地元民のやる気とやる理由がなければ、草原は失われつくすのです。
 また、そうでない地域(役場管理の地域)では管理担当者が存在しており、その方たちが管理を担っていますが、ここでも問題があります。管理担当者が高齢化によって役割を辞退する方がいることです。具体的な管理活動はわかりませんが、おそらく管理活動に割く時間を持っている人でなければできないことだと思います。若い人はフルタイムで働いていますし、ほかの担い手が見つからないことも、ほかにやろうという人がいないというのも問題です。このままでは、阿蘇の景観が失われる日も近いかもしれません。
 そして活動に際して必要なものが調達しづらいというお話も聞きました。
火消し棒の調達です。火消し棒には人が竹で作った人工のものと、天然のヒノキの枝を使うものがあります。このうちヒノキの枝が手に入りづらく調達が難航しているとおっしゃっていました。火消し棒は何回かしか使えませんし、そのたびに作るのも手間がかかります。ヒノキが手に入りやすい環境や新たな火消し棒の開発など、問題解決に取り組む必要があるでしょう。

 明るいお話も。西原村では八重桜、河津桜、ヨシノなど様々な種類の桜が植えられている場所があり、それらが時期を変えてきれいに咲き誇ります。
私が見たときは河津桜がすでに散ってしまっていましたが、ほかの桜がまだ咲くと思われますので、ぜひ時間のある方、足をお運びになってください。

 では次回の記事は、、、なんでしょうか


以下参考リンク
公益財団法人 阿蘇グリーンストック - 野焼き 輪地切り 支援 (asogreenstock.com)
草原マニア (exblog.jp)
野ボラの広場掲示板 (asogreenstock.com)
阿蘇草原再生 | 環境省 自然再生プロジェクト〜子どもたちへ引き継ぐ千年の草原〜 (aso-sougen.com)


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