見出し画像

オキシコンチンTRに慢性疼痛の適応が追加

おはようございます。早いもので今日から11月ですね。
今月から、不定期にではありますが、緩和ケア関連のニュースや論文の情報などもアップしていこうと思います。

今回は、10月29日からオキシコンチンTR錠が慢性疼痛に対しても使用できるようになったという話題です。
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/trend/202010/567713.html
オキシコンチンTR錠は、塩野義製薬が発売しているオキシコドンの徐放製剤、つまり1日2回飲めば、24時間鎮痛効果が続くという鎮痛薬です。

日本では、オピオイド鎮痛薬の種類が近年かなり増えてきましたが、その多くは「癌性疼痛」だけを適応としており、がんではない患者の鎮痛に使用することはできませんでした。
これは、アメリカやカナダなどで慢性疼痛患者のオピオイドの不適正使用が社会問題となっているためです。
日本では、慢性疼痛への使用が認められているブプレノルフィンやフェンタニルの貼付剤に関しても、製造販売業者が提供するe-learningを受講するなどの条件を満たさなければ、処方できない仕組みとなっている等、厳格に管理されています。

そんな中で新たに適応拡大が認められたオキシコンチンTR錠ですが、これは不適正使用を予防するため、噛み砕けない、潰せない、溶かせないという徹底した製剤工夫が成された代物です。そういった点が、経口の強オピオイド鎮痛薬として初めて(※塩酸モルヒネを除いて)慢性疼痛への使用が認められる理由になったのでしょう。

個人的には、がんの患者さんだけでなく、自己免疫疾患や心血管疾患など様々な理由で強い難治性の痛みを抱えている患者さんを診る機会もありますので、これはとても嬉しいニュースだと思います。しかし一方で、やはりオピオイド鎮痛薬の適正使用に関しては注意が必要です。

具体的には、
1)安易にオピオイド鎮痛薬を処方しない:非薬物的アプローチも含めた他の鎮痛手段の検討、オピオイド鎮痛薬を使用するメリット・デメリットの検討をしっかり行う
2)患者教育の徹底:医師、看護師、薬剤師がそれぞれどのような役割を担うか
3)出口戦略を意識する:何を目標にするか、どれくらいの期間で効果判定するか、どうなったら減量・中止を検討するか
という3点を徹底する必要があるかなと考えます。

また、オピオイド鎮痛薬を日常的に使用している緩和ケア医としては、オピオイド鎮痛薬を使い慣れていない非がん領域の医療者に向けた教育活動にも改めて力を入れる必要性を感じています。

今回の適応拡大が、多くの人の痛みを和らげる福音となるよう、現場レベルでも出来ることを考えていかなくてはならないでしょう。

【緩和ケアオンラインポータル】
緩和ケアに関する学習用コンテンツを無料公開しています!https://sites.google.com/view/p-c-onlineportal/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?