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センター試験で「中国語」を受験した話。

皆さま、センター試験本当にお疲れ様でした。そして、さよならセンター試験。

きっかけは、低すぎた英語の偏差値

私が高校生の頃は、本当に英語の偏差値が低く40に届くか届かないかというほどの劣等生でした。記述式のテストでも200点満点形式でも1桁スコアを取ってしまうほどのとんでもない魯鈍っぷりでした。

中国語を学んだのは中3から

英語の勉強がうまく行かなくて、他の外国語をやってみたい、という思いと漢検と漢文から延長して現代の中国語もやってみよう、と思って中国語を学び始めました。
準4級を取るまでは独学で学び、4級以上は先輩やネイティヴの力を借りながら学んでいました。ここで「漢文」が国語の授業にありましたが、これはほぼ「中国語の古典」であったため、科目わけノートでは「中国語」に綴っていました。

センター直前模試に…

英語を受けたところ、2割も行かないほどの低得点を取ってしまいました。これはもうダメだな、と見切ってセンター本番は中国語を選択することになりました。

白帝社から出版された過去問では、解説込みでまとめてくださった

直前になって問題形式を下見するために白帝社の参考書を買いました。中国語はリスニングを免除することができます。しかし、問題の出し方の中では一部漢字を隠した「ピンイン」という発音を表した欧文の表記で文章を著されることがあり、これがユニークだと思いました。リスニングがないかわりに「見えるリスニング」としてこんな形式で出されるんですね。

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発音問題が多い

中国語は、他の外国語と比べると発音を問う問題がずば抜けて数が多いです。というのも中国語は発音がミソな言語で声調(概ね第1声から第4声まである)や舌や歯の使い方での微妙な違いでも言葉が変わるというものがあります。「曹操」「熊猫」などでアクセントの違いで恥ずかしい思いをしてしまった、なんていう学習者もいるほどです。今年2020年は、母音、子音、声調、同音漢字を問う問題が2問ずつですが、1問ごとに5単語以上あげられていて全て調べなければ正解へたどり着くことができません。
発音問題でも、中国語普通話者でも地域差(黒龍江省と杭州の違いなど)で同じ普通話を話していても言葉により熟語の2文字目の漢字で「第1声」や「第4声」のとき「軽声」に変わる場合があるなど地域差による問題や、意味が複数ある場合意味による発音の使い分けがある、という熟語もあるなどの問題が生まれる事がありました。

見えるリスニング

先程説明した「見えるリスニング」は、漢字の文ではなくピンインで出される問題のことです。大問2の会話文、大問3の翻訳問題でその形式になっています。

穴埋め問題

大問2のピンイン会話問題以外の6問は、それぞれ「空欄にはまる適当な語」を選ぶ問題が3問ずつ、「空欄にはまらないダミーの語」を選ぶ問題が3問ずつでした。中国語には名詞にしか使えない熟語、動詞にしか使えない熟語、動詞・名詞どちらにも使える熟語があるため、これを絡めての問題が主でした。他には、ニュアンスの違いで使えるか使えないか、という言葉が絡んだり、助詞の使い方で離合する介詞が片方しかないのでこの単語はダミーである、というケースもありました。例えば、仮に助詞や離合詞、介詞絡みの問題で「ダミーを選んだ」時に中国人にその文を説明すると、「それがどういう理由で?」「そしたらどうなった?」「その前は?」というシナリオがありえます。

文並び替え問題にもダミーが!

中国語の並び替え問題は8つの選択肢の中に3つのダミーがあり、ダミーに気をつけながら5つを選んで文を完成させて日本語相当の文にする、というものです。並び替え問題にダミーがある外国語問題は、センター試験では中国語にしか出されませんでした。
今年2020年の問題は最初から、「文はあっているけど空欄が余っちゃうか足りなくなる」という誤りを誘うえげつないものになっておりました。過去にもこの手法はあり、私が大学合格した年も、本当にこれに惑わされてしまいました。
問題の趣旨は「日本語相当の文を作れ」だが、意味は噛み合うのに空欄が余っちゃう(または 足りない)… それなら別の表現に変えて、という作業をやっていました。

図や絵を絡める問題

これは、HSK(中国の政府公認語学資格)に近い問題形式でした。やっていて笑いを誘うような楽しかった問題も多く、英語におけるオーラルコミュニケーションと同じような感覚と言ってもいいです。2020年はケーキ屋さんのシーン、中国のホテル予約のシーン、デマゴーグに騙されそうになったシーンを取り上げていました。

語学試験にはうってつけな長文問題

概ね、ストーリー系と論述系が一つずつ出されます。HSKと中検(2級ぐらい)どちらとも近い感じですが、やはりピンインを文の中に混ぜてくる場合や文自体を並び替えさせられる、というひねった問題も多いです。更には、介詞や助詞などを複数隠されて隠された部分の単語の組み合わせで正しいものを選ぶ問題が出されており、これは入り得る言葉が2種類以上あり、本当に入れるのに適当でない言葉が見つかって選択肢が消えて間違いに気づく、というものもあり、かなり苦労しました。文章の内容理解問題に関しては年々難易度激しくぶれているようであり、今年は6択から内容と一致する日本語を選ぶ問題でした。しかし私が受けた年ではなんと8択もありました。他の言語とは異なり、選択肢は1つ多い5択あるのが普通で明らかに違うな、と思う答えが混じってるのがセンター国語と似ているような形式かもしれません。

センター試験の大トリは「くまモン」

最後のセンター試験最後の問題である論述系文章問題では、なんとゆるキャラの経済効果をテーマにしていて、「くまモン(中国語名:熊本熊)」が大トリを飾ってくださいました。
ここで我。てっきり現地中国によるSNSや中国から発信されたニュース記事から中国語名が「熊萌」か「萌熊」だと思っていましたが、のちに調べてみたところこれは「くまモン」の「モン」を中国語発音で「萌」の字を当てた愛称であるという事がわかりました。「ドラえもん」が当初“机器猫”や“小叮当” (「当」の字は「礑」や「噹」を簡体字として使った文字で、「当」の字には口偏がつくこともある)などとまちまちだった意訳名から “哆啦A梦” と世界共通で発音を当てたようなパターンとは逆のパターンなんですね。

注:文字セットの都合で字形が変わる都合で「器」の文字は実際には中国の文字セットで「大」は「犬」と表記されます

今年はなかなか面白い問題ばかりで、今年のセンター試験を時間をはかって自ら解いたところ171点をマークすることができました。最後のセンター試験にふさわしく、私にとってはハイスコアといってもいいくらいの有終の美を飾れた、と思いました。

中国語が導入されたばかりの頃は非難囂々

中国語は、センター試験では2000年代から受験可能になりましたが、導入したての問題を改めてみて解いてみると…
ん?あんなに簡単だったっけ?
という感覚で、初級中国語にプラスアルファしたぐらいの難易度で180点は軽くマークできる感じでした。これだと非難されるのも本当にわかる気がします。

私が大学時代の頃にネイティヴ老師によるセンター試験の特別講義を受けた話と他外国語との難易度格差

私が大学で第二外国語を学んだとき、日本に帰化した中国出身ネイティヴの老師(先生)とのタイマン講義でセンター試験(2012年度)の解説をしてくださる時間がありました。
そのとき、ネイティヴ出身の老師が「こんな試験は、日本人に解かせるのには難しすぎるのではないですか!中国語検定だと2級(中級〜上級レベル)以上です!死んじゃうほど苦労しますよ!」と問題視されており、私が受けた年のはその難しいレベルのピーク時の問題でした。留学生は、「最後の論述の文章題が中国の国語の問題のようだった…本当に中国語を学ぶ日本人向けの問題なの?」という評論をしてくださいました。今はそんなことなく落ち着いてきましたが、それは逆に私が受けた時より断然簡単になっているのでちょっと不平等を感じてしまったりします。中国語に限らず、やはり多言語でもああいう差があるのに得点の調整がないのは以前から問題視されていましたね。
第三外国語に韓国・朝鮮語を選択したため、初級ハングルを合格した後にセンター試験の問題を解いてみると、大学に合格した同年度の問題は中国語の難易度よりやさしく初級ハングルでは最初の問題のほとんどが解ける程度でした。易しさの格差で中国語の初期と同様に非難囂々が続いたと思いきや、韓国語の問題はそれとは逆にセンター試験では2019年の問題は非常に難しかったそうです。

中国語を受験した後にわかったこと

大学には中国語センターで入学できましたが、私が授かったメリットとして、大学で第二外国語の単位で中国語を必然的に選択するので初級2単位を免除することが可能でした。初級の単位を免除されたので、ギフテッド形式でフライング単位所得(2年次対象の講義を1年次から受けた)で中上級から中国語を受けることになりました。
しかし、この後に待っていた苦難は英語の単位を取ることでした。英語は高校時代超が付くほど劣等生で、自ら補習を申し込むほどの時間を要するほどでなんとかギリギリ合格にたどり着けて単位を取れました。大学生時代も、補講を教授に申し出るなどいろんな苦難があり、やはりギリギリ合格という単位の取り方でした。
原因がわからず、心療内科で発達検査も兼ねて脳の検査を受けてみたところ、欧文が文章になってしまうと読めなくなったり(現在はスクリーンや機械を通すことにより助けをもらっている)、文字が震える、誤読する、消えたように見えるということなどを医師に伝えた結果、脳の働き方に特異性が見られ、これは文字と絵として認知している脳の働き方といえることがわかり、「ディスレクシアの一種」ということがわかりました。中国語・漢字は絵から作られた文字であることを考えると、わたしにはこれが合っていたのかもしれません。つまり、中国語を受けたことによる自分の特性が一つわかった、という事を考えてスッキリした出来事もありました。そして長年悩んでいた「なんで欧文が読めないんだろうか」という悩みも解消されました。


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