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ASUSの2024年度 新作ノートPC発表会、参加レポート(Zenbook、ROG Zephyrus G)

2024年2月、東京港区でASUSの「2024年春夏モデル 新製品内覧会」が開催されました。

ここで公開されたのは5つのノートパソコン。
どれも最新のCPU(Core Ultra、新型 Ryzen)と、非常に美しい OLED(有機ELディスプレイ)を搭載する、高性能・高機能なモデルです。
今回はその詳細をお伝えしたいと思います。

発表された5モデルのうち3つは、一般向けの製品。
・2画面のノートPC「Zenbook DUO」
・13型モバイルノート「Zenbook S 13 OLED」
・14型ノートPC「Zenbook 14 OLED」
中でも常識外れの2画面ノートPC、Zenbook DUO が異彩を放っています。

そして、以下の2つは軽量のゲーミングノート。
・GeForce RTX 4060/4070 と最新 Ryzen 搭載「ROG Zephyrus G14」
・Core Ultra と GeForce RTX 4060~4080 を搭載「ROG Zephyrus G16」

それぞれ14型と16型のノートPCですが、何より「軽量ゲーミングノート」という存在自体が特異なものと言えます。

展示会ではまず、ASUSの役員の方々によるプレゼンテーションが行われたのですが、そこで語られたのは「原点回帰」。

そして公開されたのが、前代未聞の2画面 OLED(有機ELディスプレイ)搭載 14型デュアルスクリーンノートPC「ASUS Zenbook DUO UX8406MA」。

「原点回帰してコレが出てくるなら、元々のASUSはどんなトンチキ企業だったねん」とか思ったのですが、ASUSはずっとノートPCでマルチモニターを実現するという無謀とも言える挑戦を続けていて、その末に産まれたもの、という意味だった模様。

そんな技術者魂と、ASUS が力を入れてきた OLED 搭載機の開発ノウハウ、さらに省電力性能に優れる新CPU Core Ultra の登場。
これが3身合体して出来あがったのが、今回の Zenbook DUO のようです。

展示されていた最新型(手前)と、過去のマルチモニターノート(奥)。
中央の見開きのものは Zenbook 17 Fold OLED という製品で、折り曲げ式モニターを使う画期的な製品でしたが、死ぬほど高かった(60万円以上)。
左端に見えるZenbook Pro Duo 14 OLED はサイズ半分の子画面を持つ画期的な製品でしたが、キーボードも縦半分になっていて手がはみ出た。
他にも大型ゲーミングノートに子画面を付けたり、タッチパッドをモニター兼用にしたり、死屍累々のあの手この手の工夫をしていました。

今回の ASUS Zenbook DUO は上下に2つの画面が並んでおり、雑誌のように縦向きに置くことも可能。キーボードは独立しています。

そして一方の画面の上にキーボードを重ねることで、ごく普通のノートパソコンと同じ外観にすることもできます。

人の多い場所で2画面ノートを使うのはメンタルを消耗しそうですが、本機なら普通のノートのスタイルに出来るので恥ずかしくありません。
もちろん普通のノート形態のときは画面は1つしか使えませんが。

様々な使用スタイル。右下の「普通の形態」があるのがポイント高い。

さらに全体が薄型・軽量に出来ており、キーボードと2つの画面を重ねても厚さは普通のノートPCとあまり変わらない約2cm。
重さも1.65kgと、一般的なノートパソコンと変わりません。

タッチパネルでペン付属のため、イラスト制作などにも利用可能。
CPU が Core Ultra 9 185H なので処理性能はもちろん高く、非常に高性能な内蔵グラフィック機能も持ちます。

そして、お値段は約35万円。
ノートPCとしては安くありませんが、以前のマルチモニターノートは45万とか50万とかの世界だったので、かなり安くなりました。
普通に購入を考慮できる価格になっています。

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13型モバイルノート「Zenbook S 13 OLED」は、薄型軽量をウリにした製品で、重量1kg、最薄部で1cmの薄さ。
それでいて十分な耐久性を持ち合わせています。
約24万円と安くはありませんが、モバイルノートとしては標準的な価格。

一方、14型ノート「Zenbook 14 OLED」の最大の特徴はコスパです。
Core Ultra 7 155H 搭載、超高画質の OLED(有機ELディスプレイ)を備え、こちらも 1.2kg の軽量、高品質のスピーカーやら大容量バッテリーやらも持ちながら、約16万5千円に抑えられています。

左は軽量モバイル Zenbook S13 OLED、右はコスパの良い Zenbook 14 OLED。
発表会ではさらっと流されてたけど、売れ筋なのはこちらだと思います。

Zenbook 14 OLED は2月中に発売されており、私はすでに貸し出しを受け、試用を行っていました。
その詳細は レビュー記事 をご覧ください。

Core Ultra は処理性能が特殊だったり、内蔵グラフィック機能(Intel Arc)にクセがあったりするのですが、その検証結果もレビューで解説しています。

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続いて、ゲーミングモデル「ROG Zephyrus G」シリーズの2024年モデルについて。(同名の旧モデルもあるので注意)

ASUS はゲーミングPCパーツのメーカーとして有名で、ゲーム向けのパソコンの方も得意分野としています。

ASUS のゲーミングノートには、スペック重視の ROG Strix、安価で高耐久な TUF Gaming など複数あるのですが、今回新モデルが発表された Zephyrus は軽くて薄い、携帯性重視のゲーミングPC。

高発熱で高消費電力になるゲーミングPCは、そもそも小型軽量化は困難で、携帯性重視のゲーミングPCというのは矛盾しているのですが……
ASUS はあふれる技術者魂で、そんな無謀に挑みかかっています。

そしてできたのが、GeForce RTX 4000 シリーズ(4060/4070)と、登場したばかりの最新 Ryzen(2024年型)を搭載し、重さ1.5kg、厚さ16mmという、だいぶムチャをやらかしている14型の ROG Zephyrus G14(GA403)。

GeForce RTX 4060/4070/4080 と Core Ultra を搭載し、1.85kgの重さに抑え、厚さも約15mmの16型ノート ROG Zephyrus G16(GU605)も登場しており、こちらのスペックもなかなかおかしいです。

「冷却どうなってんだ」とか思いますが、3つの独自ファンとヒートパイプで冷やす Tri Fan テクノロジー、G16 はさらにベイパーチャンバーと呼ばれる大型放熱板でどうにかしている模様。

正直、これはゲーミングパーツやマザーボードを作って世界中のメーカーに供給している ASUS じゃないと、無理な作りだと思います。

上の画像は G14 の冷却構造のスライド。下は展示されていた G16 の立体モデル。

1枚のアルミニウム合金から整形するCNCユニボディ技術で軽量化と耐久性を両立しており、スピーカー4つにウーハー2つの多重サウンド、キーボードも2000万回の打鍵に耐える高耐久仕様。

モニターも超高画質のOLED(有機ELディスプレイ)を搭載。
ASUS でも OLED のゲーミングノートは初のようです。リフレッシュレートは120Hz。(ただしG16の安価構成のみ普通の液晶)

天板には斜めラインの電飾を備えており、光り輝くゲーミングモデルのお約束を踏襲しています。

パッと見、ゲーミングノートには見えないほどスマート。

ただ、個人的に気になったのは採用CPU。
14型の G14 に Ryzen、16型の G16 に Core Ultra。
Core Ultra の方が省電力性能は良いだろうから、こちらを携帯向けの機種に積むべきで、逆じゃないのかと。

また、14型に Ryzen を積むんだったら、どうせゲーミングノートだと Core Ultra がウリとしている省電力性能や内蔵GPUはあまり活かせないのだから、G16 も Ryzen で良かった気がします。
この辺は新型 Ryzen の性能次第でもあるのですが……

価格は安めの構成にする場合、
Zephyrus G14 は(Ryzen 7 + GeForce 4060 で)で約33万円。
Zephyrus G16 は(Core Ultra 7 + GeForce 4060)で約27万円。

ただし GeForce RTX 4070 搭載モデルにすると、それぞれCPUが Ryzen 9 と Core Ultra 9 になり、G14 が約35万円、G16 が約40万円となります。

G16 の最小構成の約27万円が買いやすい印象ですが、OLED じゃない。
一方 G14 の最小構成は割高感があり、Ryzen 9 + GeForce RTX 4070 で35万円の方がコスパが良さそうです。

とは言え35万円はさすがに高いし、全体的に費用対性能は良いというほどではありません。
軽量薄型にするための技術・素材・作り込みの分だけ割高になっている印象で、ここは軽さと価格のトレードオフでしょうか。

これで安ければ…… って、さすがにそこまではムリ。

ただ、このレベルの軽量ゲーミングノートは他に存在しません。
その意味で、特に ROG Zephyrus G14(2024)は唯一無二なので、軽いゲーミングノートが欲しいなら他に選択肢はないと言って良いと思います。

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他にも会場には ASUS の既存製品や、冷却構造の立体モデルなどが展示されていました。
以前にレビューした、話題の小型携帯ゲームPC「ROG Ally」や、テンキーがあって割安なゲームノート「TUF Gaming」の姿も。

去年発売ですが、タブレットとしても使えるセパレート(分離型)の 2in1 で、GeForce RTX 4060 と Core i9 を搭載しているという、かなりムチャな ROG FLOW Z13 という製品もあり、個人的に注目しました。

高いけど(34万)Windows タブレット兼 持ち出し用PCとして欲しい……
でも、もうちょっと軽ければ……(画面側1.2kg、キーボード350g)
これの新型って出ないのかな……

この通り、キーボードとモニターが完全に分離するタブレットな 2in1。
それで Core i9 と GeForce 4060 搭載と言う、たぶん一番どうかしてるパソコン。

以上、2024年 ASUS 春夏モデル 新製品内覧会のレポートでした。

個人的にイチ押しと言うか、人にも勧められるのは、高性能・高機能でコスパも良い Zenbook 14 OLED ですね。
これと同格の機種はちょっと出てこなさそう。

1kg の Zenbook S13 OLED もいち早く Core Ultra 搭載モバイルノートが欲しい人に良いですが、同様の機種が国内メーカーからも出てくると思われるので、もうちょっと待ってライバル機と見比べたいところもあります。

2画面ノートは、個人的に好きだし、すごく進化しているのは感じるけど、あれを人前で使うのはなかなかに勇気が……

ゲーミングモデルの方は、ROG Zephyrus G14 に使われている新型 Ryzen、いわゆる Zen4 Hawk Point の実力を知りたいところ。
レビュー出来たらいいなぁ……

新製品の販売ページへのリンクは、おすすめノートパソコン や おすすめゲーミングPC のページに追加しているので、そちらから辿って頂ければと思います。

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という訳で、ASUS 機を買いたいと思っている方の参考になれば幸いです。

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