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ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展

国立西洋美術館で開催中の「ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展」へ行って来ました。

「ベルクグリューン美術館」は、ドイツ生まれの美術商 ハインツ・ベルクグリューンにちなんで名付けられた美術館。

ハインツ・ベルクグリューンとは、パリで画廊を経営する傍ら、自分の気に入った作品を収集し、世界有数の個人コレクションを作り上げた人。「ベルクグリューン美術館」は彼の個人コレクションで構成されています。

ベルクグリューンが同時代の最大の画家として心酔していたのがピカソ。ベルクグリューンは、ピカソ本人とも交流しながら、作品の収集に没頭し、コレクションを拡大させたそうなんです。

今回、この美術展の告知に書かれた「まだ見たことのないピカソ、 35点が日本初公開」という副題が気になります。
まだ見たことのないピカソの絵を見たくて、この展覧会に足を運びました。

ピカソの作品はこれまでいくつかの展覧会で見たことはありますが、2019年、NY旅行中にニューヨーク近代美術館(MoMa)で見た「アヴィニョンの娘たち」の絵が今でも強く印象に残っています。

NY旅行中のブログがこちら▽


この絵、バルセロナのアヴィニョン通りに存在した売春宿にいた5人の売春婦のヌードを描いた絵なのですが、まず、このキャンバスの大きさに圧倒されます。

《アヴィニョンの娘たち》


大きなキャンバスに負けないほど伸びやかで堂々たるポーズをとる裸婦たち。
描かれている女性たちのカラダは角ばっていて、美しいとは言い難く、おぞましさもあるほど。奇怪な絵です。裸婦としての女性らしさもまるでないのに、なぜかこの絵に惹きつけられて、絵の前でぼーっと立ちつくした記憶があります。不思議な魅力のある絵です。

今回の展覧会では、その「アヴィニョンの娘たち」の習作のうちの一枚も展示されていました。
それがこちらの絵。この絵も角ばった女性の不思議な顔。直線的で強さを感じます。

そうそう、この展覧会、ほとんどの作品で写真撮影がOKだったんです。
撮影OKの作品の中から、個人的に魅了された作品をいくつかご紹介いたしますね。

《座るアルルカン》
《座って足を拭く裸婦》

《緑色のマニュキアをつけたドラ・マール》
《花の冠をつけたドラ・マール》
《黄色のセーター》

《彫刻家と彼の彫像》

《眠る男》


ピカソの作品は生涯にわたってその作風が変化し続けたことは有名ですが、(愛人が代わるたびに)あらためてみると同一人物が書いたことを疑ってしまうくらい、作風が違うことに驚きますね。

展覧会で唯一の「青の時代」の作品がこちらの絵。

《ジャウメ・サバルテスの肖像》


ピカソは20歳くらいの頃、親友カサジェマスの自殺を機に、青色を基調とした暗い色で塗りこめるような作品ばかりを描いた時代があります。
画面から悲しみや寂しさが伝わってくるのに、美しさもある「青の時代」の作品。ピカソといえば、現実に存在するものを、大きく歪めた姿で堂々と描く作品の方が有名ですが、私は青の時代の作品が好きなので、もっと見たかった気もしますが、この1枚だけでした。

「ピカソとその時代」というピカソをメインに打ち出した展覧会名でありながら、マティスとクレーの作品もかなりのボリューム。マティスやクレーが好きな方にもおすすめの展覧会です。

ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展」は2023年1月22日(日)まで。
気になる方は、開催終了日までにぜひ足を運んでみてくださいね。

ここまで、読んで頂いて本当にありがとうございました♡


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