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マイクロソフトがアジア圏で担うセキュリティ分野での役割とは

※このインタビューは2022年12月6日に収録されました。

プライバシーへの関心が高まるに伴い、テクノロジー企業も幅広くプライバシー対策を始めています。

今回はマイクロソフトアジアでセキュリティとプライバシー戦略のトップを務める、マンダナさんにマイクロソフトのセキュリティやプライバシーついての考え方とアジアの可能性についてお話をお伺いしていきたいと思います。

Kohei: 皆さんPrivacy Talkにお越しいただきありがとうございます。本日はシンガポールからマンダナさんに参加いただいています。彼女はシンガポールに限らず、これまでに世界各国で活躍しています。

改めて、本日はマンダナさんの活動や取り組みについて伺っていきたいと思います。本日はインタビューにお越しいただきありがとうございます。

Mandana: もちろんです。本日は招待いただきありがとうございます、宏平さん。とても感謝しています。これまでの私の経歴やとても大切なプライバシーについての考えを紹介したいと思います。

Kohei: ありがとうございます。始めにマンダナさんのプロフィールを紹介したいと思います。

マンダナさんはマイクロソフトアジアのセキュリティとビジネス部門のゼネラルマネージャーを務めています。彼女はセキュリティ専門家と顧客向けにセキュリティ戦略支援やビジネス環境の改善を支援するトラスティッド アドバイザー チームを率いています。

ゼネラルマネージャーとして活動する前には、全世界のマイクロソフトセキュリティ、コンプライアンス、アイデンティティパートナー開発チームを率いていました。

これまでにネットワークフォレンジック企業Savvius社でCTO及びテクノロジーアライアンスのトップを務めプロダクトやテクノロジー戦略の定義から、戦略的パートナーシップの連携、プロダクト管理からマネジメントまで幅広い役割を担っていました。

Rutgers社やKUDO社、WireX社でアドバイザリーボードも務めています。マンダナさんはイスラーム自由大学で電子エンジニアリングの学位を取得し、サンフランシスコ州立大学で経営修士を取得し、ファイナンスやマネジメントに加えて、セキュリティやM&A、プロダクト開発やリーダーシップの証明を取得しています。現在はシンガポールに拠点を移して活動しています。

ここまでプロフィールを紹介させていただきました。本日はインタビューでご一緒でき、とても光栄です。

Mandana:ご紹介いただきありがとうございます。

Kohei: ありがとうございます。早速本日のアジェンダに移っていきたいと思います。マンダナさんはサイバーセキュリティを始めとして、これまでに様々な分野を経験されてきていると思います。サイバーセキュリティ分野に関心を持つようになった理由を教えてもらえませんか?

サイバーセキュリティ分野に関心を持ったきっかけ

Mandana: わかりました。私のプロフィールで紹介いただいたように、私は元々イランで生まれテクノロジー分野で活動してきました。私は電子エンジニア分野で学位を取得し、18歳の頃に友人と産業自動化関連の会社を立ち上げ、食の産業で原材料を組み合わせる仕組みの効率化を行うような仕事を行っていました。

設立した会社は最終的にプライベートエクイティ企業に売却して、2社目を起業しました。起業のタイミングで経営学修士(MBA)取得を考えるようになりました。

そして、そのまま米国に残り20年近くサンフランシスコを拠点に活動を続けていました。こういった米国での経験から、私はネットワーク管理やネットワークパフォーマンス分野に関心を持って取り組むようになりました。

私はネットワーク分野で得た経験を活かして、ネットワークフォレンジックについて取り組み始めるようになり、特にネットワークのパフォーマンス管理はパケット調査と確認が主な対策になるため、パケット分析をもとにして管理を行うようにしています。

私は前職でCTOを務めていた時に、クライアントがネットワークパケットキャプチャーやディープパケットインスペクション(DPI)、ネットワークパフォーマンス技術を上手く活用することによって、組織が抱えているセキュリティ対策課題を解決できるか色々と思考錯誤していました。私がセキュリティ業界に飛び込み始めたのは、こういった経験がきっかけになっています。

ただ、私は仕事をする際に目的をとても大切にしています。もちろん、テクノロジー領域で活躍することは社会に大きな影響を与えることを目的にし、社会や国家、市民の生活を大きく変える力を持っています。

中でも私にとってセキュリティに取り組むことは、目的がとてもはっきりしています。サイバー犯罪はここ何年かで深刻な問題になりつつあります。そして、業界全体での人材不足が非常に大きな課題になっています。

人材不足に加えて、多様な才能を持った人たちが関わってくれることが大切だと考えています。私たちが直面している課題は、日々多様化と複雑化が進んでいる分野なので多様な才能を持った人たちの意見や新しい役割が生まれることが私たちの住む世界をより安全にしていくためにとても重要な意味を持っていると思います。これは私にとってセキュリティに取り組むべき重要な目的です。

今お話ししたこと以外に、物理的な犯罪学やフォレンジックについても関心を持っています。私は “forensic shows” シリーズがとても好きです。このシリーズは私がサイバーセキュリティにおけるフォレンジックとテクノロジーについて考えていることに非常に近い内容を描いています。私は今の役割で、自分がやりたいことに取り組めていることもありとても感謝しています。

Kohei: とても興味深いですね。マンダナさんは現在マイクロソフトでお仕事されていると思いますが、マイクロソフトに入社した理由を教えていただけますか?マイクロソフトではセキュリティやプライバシーに注力して取り組んでいることが理由だと思いますが、マイクロソフトを選んだ理由を教えてもらえると嬉しいです。

マイクロソフトがアジア圏で担うセキュリティ分野での役割とは

Mandana: わかりました。マイクロソフトに入社する前は、私はいつもスタートアップで仕事をしていました。米国に渡米したことから起業家としてキャリアをスタートし、これまでにいくつかのスタートアップで仕事を経験してきました。

私にとってマイクロソフトは初めての大企業での経験になります。私がマイクロソフトで働き始めたころに、サイバーセキュリティソリューショングループと呼ばれるマイクロソフト内のインキュベーション組織が立ちあがったのです。

セキュリティ対策は、私たちがDNAレベルで気にかけていることで、全てにおいてセキュリティを重要視しています。これはプライバシーについても同様で、私がマイクロソフトに参加する以前から一貫して変わらない基本的な考え方として根付いています。

2016年にはセキュリティ企業として、本格的にセキュリティ分野に取り組み始めることになります。私がマイクロソフトに入社したころ、”セキュリティに取り組む企業”として安心なプラットフォームを実現することを掲げていました。

勿論、私たちの活動ではセキュリティの開発や研究に取り組むことに加えて、プロダクトデザイン等にも取り組んでいます。私はありがたいことにここ6年間 ”セキュリティに取り組む企業 から”最大規模のセキュリティ組織” へと変革する過程に携わっています。

私が入社した当初は “マイクロソフトが世界のパートナー企業と取り組むセキュリティ戦略とは?”がテーマでした。勿論、セキュリティだけでなく、プライバシーやコンプライアンス等は一企業だけで実現できるものではありません。

私たちは初期段階からパートナー企業と連携して取り組むことが重要であると考えています。連携する際には、我々の競合となる製品やリソースを持っているかどうかは関係ありません。大切なことはお客様が競合となる製品を既に選ばれているということであり、私たちもお客様やパートナー企業様と一緒になって取り組むことが大切なのです。

さらに、サービスを統合していくことで、より生活が便利になっていくことも必要です。セキュリティやプライバシー、コンプライアンスはテクノロジーだけで達成できるものではありません。

人を軸に進めていくためには、アドバイザーやシステムインテグレーター、私たちの技術をサポートするセキュリティや感知機能、サービス対応も重要な要素です。私たちのお客様が求める課題解決に対して、幅広くサービス提供ができることが重要になります。

私が担う役割は全世界でパートナー連携のエコシステムを作っていくことです。このエコシステムはISV側と同様にサービス側でも連携を推進していくことが必要です。私たちにとってセキュリティ対策を推進することは、公共分野か私的分野のサービスか否かは特に関係ありません。私たちは政府機関との連携も徐々に進めてきています。

これまでの5年間でマイクロソフトは各国のパートナーと連携したエコシステム作りを進めており、私は主にアジア圏のセキュリティとビジネス部門での連携に関わっています。

私にとってアジアは多様な文化や言語が混じり合い、様々な形で人々が交流する素晴らしい地域です。アジア圏でビジネス展開を考える際には、お客様が抱えている各国の規制問題に継続して支援が必要な地域でもあります。

私たちが “Born in Asia” と呼んでいるアジア発の動きは、今起きているアジア圏全体の動きをどのように捉え、対策を準備していくかと言うことです。現在アジアでは様々な動きが生まれており、マイクロソフトが考える新しい機会のハブとなる重要な地域です。発展が進む地域で新しい動きに参画できることは、とてもエキサイティングですね。

Kohei: マンダナさんの現在の取り組みについて教えていただきありがとうございます。私がスタートアップ企業で活動していた時に、マイクロソフトさんのパートナープログラムはとても大切なサポートだったことを覚えています。

新しいテクノロジーが世の中に広がっていくためには、パートナーシップ連携が重要であると考えています。ここからは次の質問に移っていきたいと思います。先程の質問に対して、セキュリティは一社で完結しないため、パートナーシップを広げて協業することが必要であるとお話をいただきました。

次にお伺いしたいことは、マイクロソフトが取り組んできたこれまでの動きについてです。マイクロソフトのプライバシーやセキュリティに関する取り組みは、初期に実施していたセキュリティ管理の考え方とどのように変化してきているのでしょうか?

〈最後までご覧いただき、ありがとうございました。続きの中編は、次回お届けします。〉

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Interviewer, Translation and Edit 栗原宏平
Headline Image template author  山下夏姫

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