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【投資ノウハウ】アフターコロナの株式投資の手掛かりを探る。

 バイデン政権が始まって約5カ月が経過しました。バイデン大統領は、新型コロナウイルス向けの経済対策として、1月に第1弾となる1兆9000億ドル規模の米国救済計画を発表し、これが3月に法案として成立しました。
 その後、3月末には第2弾となるインフラ投資を主体とした2兆2500億ドル規模の米国雇用計画、4月末には育児や教育などの支援に1兆8000億ドルを回す第3弾の米国家族計画と矢継ぎ早に経済対策を発表、今後、これら2つの経済対策の法案審議が始まります。

 バイデン大統領は、これらの計画を踏まえ、5月28日に戦後最大規模となる6兆ドルの歳出規模の予算教書を米議会に提出しました。
 連邦政府の予算成立には議会の同意が必要であり、これだけの巨大な予算案となれば、歳入の問題もあり、議会が大揉めになるのは必至です。ただ、この予算案が議会の方向性を決め、たたき台的な役割にはなります。

 このため、予算が多く振り分けられる業界、業種にとっては株価上昇が見込まれます。また、米国企業とつながりの深い日本企業にとっても支援材料になるでしょう。今回は、この巨大予算案の中でも、アフターコロナ向けの財政出動の意味合いが強い米国雇用計画の中身を中心に見ながら、株式投資の手掛りを探してみます。

1. 半導体関係

半導体

 半導体製造は、これまで中国、台湾に依存するところが大きい分野でした。しかし、米中関係の緊迫化により、米国は安全保障上の理由から国内での半導体の設計・製造が急務となっています。
 バイデン大統領は、国内の研究と生産に500億ドルの補助金の拠出を計画しています。また、この分野は、超党派での合意が得やすく、すでに半導体の設計・製造を促進する法案作成で協力しています。
 具体的な銘柄としては、ザイリンクス(XLNX)、インテル(INTC)、エヌビディア(NVDA)などの半導体メーカーに加え、半導体製造装置メーカーのアプライド・マテリアルズ(AMAT)、東京エレクトロン(8035)が注目されます。また、半導体素材や各工程においては、日本企業も力を持っており、シリコンウエハーの信越化学工業(4063)、SUMCO(3436)なども物色の対象となりそうです。

2. ブロードバンド関連

ブロードバンド

 バイデン大統領は、米国の全世帯がブロードバンドに接続できるよう、1000億ドルの設備投資を予定しています。光ファイバーの需要やプロバイダーにとって恩恵がありそうです。
 その意味では、コムキャスト(CMCSA)、AT&T(T)、ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)あたりは注目されます。ただ、バイデン大統領は、米国のインターネット料金は高額だとしており、何らかの形で料金をキャップする可能性があり、注意は必要でしょう。

3. EV関連

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 EV関連については、自動車メーカーだけでなく、多岐にわたり補助金・助成金が計画されており、総額1740億ドルにのぼるとみられています。
 テスラ(TSLA)やGM(GM)などのEVメーカーへの補助金に加え、購入者への税額控除などの優遇制度、また、約50万ケ所におよぶ充電ステーションの新設などが含まれます。

4. 製薬会社

製薬会社

 また、注目したいのが、製薬会社です。この分野には、4年間で300億ドルの資金が充てられる可能性があります。
 新型コロナウイルスでも明らかになったように、ワクチンや治療薬の開発には多大なコストが掛かります。また、生産を海外に移管したことにより、必要な医薬品や医薬品原料が不足する事態が発生しました。
 安全保障上の観点から、これらの国内生産を増やし、備蓄するなどし、次のパンデミック等に備える施策がとられます。ファイザー(PFE)、ギリアド・サイエンシズ(GILD)、メルク(MRK)、モデルナ(MRNA)、ジョンソンエンドジョンソン(JNJ)などには追い風となりそうです。

5. 防衛関係

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 最後に防衛関連を見てみましょう。予算教書では、22年度の国防費は、前年比1.6%増の7530億ドルを要求しています。
 物価上昇より低い数値ですが、米国のGDPが21兆ドル超ですから、GDPの約3%に当たります。トランプ前政権と同規模と言えます。
 対中関係の緊張から、一部では、50億ドル程度が太平洋での抑止力に使われるとみられています。洋上での抑止力となると、レイセオン・テクノロジーズ(RTX)の巡航ミサイル「トマホーク」や迎撃ミサイル「SM-6」、ロッキード・マーティン(LMT)が開発したイージスシステムなどへの投資が拡大しそうです。
 また、同じくロッキード・マーティン(LMT)が開発したステルス戦闘機「F35」の要求機数が21年度の79機から22年度は85機に引き上げられました。なお、核弾道を搭載したミサイルの近代化に277億ドルの予算が向けられています。

記事作成:2021年6月23日

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