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「最近よくニュースで聞く金利」と株式市場の関係は?

最近、株式関連のニュースをみると、「ダウ平均株価が下落、米長期金利の上昇を嫌気」といったように、金利動向が株式相場の値動きを左右したという内容の記事が多くみられます。
コロナ禍の中、米連邦準備制度理事会(FRB)をはじめ日銀、欧州中央銀行(ECB)など、多くの中央銀行が昨年3月以降、景気対策として超緩和政策をとっています。この効果が徐々に表れ始め、企業業績の改善やインフレ期待が高まり始めています。
これらが長期金利の上昇という形で表れてきました。

今回は、金利と株式市場の関係を考えてみましょう。

【金利と株価】

なぜ、金利が上昇すると株価が下がるのか、投資行動の視点からみてみます。

現在、FRBは、新型コロナウイルス対策として、超低金利政策を採用しています。このせいもあり、日本と同様に米銀の普通預金の金利は極めて低いです。
たとえば、Bank of Americaの普通預金の年利は現在0.05%です。このような超低金利下では、銀行にお金を預けて受取利息(インカムゲイン)を得るよりも、多少のリスクを取っても株式投資を行い、値上がり益(キャピタルゲイン)を選好する動きが強くなりやすいです。

超低金利政策自体は、株高を誘発しますし、米バイデン政権は大型な財政出動を実施し、米景気を後押しするのですから、なおさらです。
しかし、長期金利が上昇し、預金金利が上昇すると、債券投資からのインカムゲインの増加が期待できるため、リスクを取って株式投資しなくても、確実に金利収入を求めようと考える向きも増えてきます。
このため、投資資金が株式市場から債券市場に流れることがあります。よって、金利が上昇すると、株価が下落しやすくなります。

ポイントは、投資家が、どの程度の金利水準で株式投資より債券投資が有利と判断するかです。

これは、金利上昇のスピード、世界情勢、ポジションの片寄りなど、様々な要因があり、一概には言えません。ただ、ひとつの目安としては、S&P500の過去10年間の配当利回り(株価に対し、1年間でいくらの配当をもらうことができるかを示す数値)である約1.97%が挙げられます。
FRBが物価目標としているのは2%ですし、米長期金利(10年債)が2%に接近した際は、注意した方がいいと考えています。

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【成長株と割安株】

また、長期金利が上昇すると、ハイテクなどの成長株(グロース株)が売られやすくなります。
なぜ、このような現象が起きるかというと、成長株とは、その名前が示すように、毎年、売上高や利益が伸びて会社が大きくなっている企業です。

投資家は、会社の将来性の高さを見込んでその会社の株を買うので、株価は何年も先の成長を先取りした値となる傾向があります。

たとえば、代表的な成長株であるAmazonの4月6日の終値は3,223.82ドルです。
これを会社の収益性を示す指標、「年間の一株当たり純利益(高ければ高いほど高収益)」で割ります。
Amazonの年間の一株当たり利益は41.75ドル(参考:ブルームバーグ)ですので、株価を41.75で割ると77.18になります。
(※この株価を1株あたり利益で割った数値を株価収益率(PER)と言います。)
この数値は、Amazonが1株当たり純利益41.75を出し続けると仮定し、1株のあたり利益だけで投資資金を回収しようとすると、77.18年掛かるという意味です。

また、投資資金の回収に掛かる77.18年を利回りに換算すると、1.29%となります。
(※この利回りに換算したものを株式益利回りといいます。)

おなじように、割安株(バリュー株)の代表選手であるコカ・コーラをみると、4月6日の終値が53.19ドル、これを一株当たり利益1.95ドル(参考:ブルームバーグ)で割ると株価収益率(PER)が27.3、株式益利回りは3.66%です。

このようにしてみると、成長株の株式益利回りの低さが分かります。
長期金利が上昇すると、成長株は、銀行にお金を預けて受取利息(インカムゲイン)を得る利回りに対する株式益利回りの相対的な低さが嫌気されて売られやすくなります。これが長期金利上昇で、成長株が売られる要因です。
一方、割安株は株式益利回りの高さが好感され、買いが入りやすい傾向があります。

グロース株バリュー株

このように、金利と株価には、密接な関係があります。
また、景気拡大期と景気後退期では、金利上昇は違った意味を持ちます。株式市場全体としては、景気拡大期ならば、金利が上昇しても、それ以上に企業業績の拡大への期待が強く、金利上昇と株価上昇が同時におきます。

一方、景気が伸び悩み始めると、金利上昇は企業の借り入れコストの上昇につながりますので、企業業績への不安から株価下落を招くことがあります。
景気の局面を考えながら、金利動向をみれば、株式取引のヒントになりそうです。

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記事作成:2021年4月12日

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