株価はどうなる? 米中間選挙と米国株の関係
この記事でわかること
11月8日火曜日、米国中間選挙が実施されます。
中間選挙とは、4年ごとに実施される米国大統領選挙の「中間の年」に行われる米連邦議会などの選挙です。2年間の大統領の評価を見定めるものとして注目されています。
今回は米国中間選挙の特徴と中間選挙後は米国株が上昇しやすいというアノマリー(理論的には説明できないが、よく当たる相場での経験則)について検証をします。
中間選挙、現職大統領の所属政党が苦戦?
今回の中間選挙では、上院の議席の100議席中35議席(※+補欠1議席で35議席)、下院は全議席の435議席が改選されます。
現在、米国の議会は、上院、下院ともにバイデン米大統領の所属政党の民主党が実質的に過半数を握っています。しかし、過去の中間選挙をみると、大統領が所属する政党が議席を減らす傾向があります。
10月25日ロイター/イプソスがまとめた米世論調査では、バイデン大統領の支持率は前週から1%低下し39%と、就任以来最低となった36%に近づいています。今回の中間選挙でも民主党は上院では過半数を維持できても、下院は共和党が過半数を占めることになるとの見方が強まっています。一部では、両院ともに共和党が過半数を獲得するとの予想もあります。
いずれの場合にしても、中間選挙で当選した議員が登院する2023年からの2年間は、バイデン大統領の政権運営は厳しさを増すことが予想されます。ただ、そのことが株式市場では、大統領は再選に向けて積極的な政策を打ち出してくるとの思惑を強める場合もあるようです。
中間選挙後は、株価が上昇する傾向が
中間選挙の米国株関係には、理論的根拠があるわけではないですが、経験則としての株価の動き「アノマリー」が存在します。それは、中間選挙後は株価が上昇する傾向がみられることです。まず、下のグラフをご覧ください。
このグラフは、中間選挙が実施された年の10月末の株価を100(中間選挙の実施日は11月の第1月曜日を含む週の火曜日と定められているため)として、その年の4月末から翌年12月末までの米国の代表的な株価指数S&P500の値動きを1970年から13回分、指数化したものです。
このグラフをみると、中間選挙のある11月に向けては、株価は小動き、もしくは軟調に推移する傾向が見受けられます。その一方で、過去13回の中間選挙の年では、いずれも翌年12月末の株価が、中間選挙の年の10月末の株価を上回っています。1986年と2014年のケースでは、わずか約1%上回っただけですが、1990年のケースでは約37%上昇し、13回の平均上昇率は18.87%となっています。
中間選挙が転換点になる可能性
この現象を理論的に説明することはできません。ただ、株式市場の一部では、中間選挙で苦杯をなめた大統領が、再選に向けて積極的な経済政策や株価対策を打ち出すとの期待が高まるためと考えられています。
今年の米国株市場は、S&P500が高値から一時25%超も下落するなど、米連邦準備制度理事会(FRB)の早急な金融引き締めなどを背景に、大きく水準を引き下げています。あくまでアノマリーではありますが、米中間選挙が相場の転換点となり、上昇相場に転じる可能性もありそうです。
記事作成:2022年10月26日
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ライター:佐藤 隆司(プロフィールはこちら)
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