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雑記

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記事一覧

お前は誰なん。

お前は誰なん。

最近、友人に子供ができた。
バンド界隈の友人で、普段は温厚なのだが酒を飲むと大暴れして脱いで全裸で道の端っこに転がって眠ってしまうような、どうにも危なっかしくて頼りない彼に子供ができた。
送られてきた写真には小猿のような赤ん坊と、きれいに整えられた頭髪でスーツ姿で赤ん坊を抱いて満面の笑みの彼の姿が写っていた。

嬉しいなぁ。と素直に思った。
そのあと、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ。
もうあのな

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晩鐘

中学生の頃、美術の時間がとても好きだった。
特に有名な作品の模写をする時間。

美術の教科書に載っている絵ならなんでもいい。
というテーマで模写をする授業があった。
美術の教科書を眺めるのが好きだったので、なんとなく候補は決まっていたのだけれど、パラパラとページをめくっているとふと目にとまる作品があった。
東山魁夷という人の晩鐘という作品だ。
ドイツにある大聖堂の絵らしいのだが、朝焼けを背景に描か

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愛しているということ

「音楽が好きだ。」
ということは
「人が好きだ。」
と同じくらい主語の大きい言葉だ。

「音が好きだ。」
だったとしたら
「音楽が好きだ」
の大部分をカバーすることができるかもしれない。
俺はどちらかというとかっこいい音が好きなのかもしれないな。

と思う。
でも、それは単により大きな主語で蓋をしただけだろうから
「人が好きだ。」
に当てはめると、多分
「物質が好きだ。」
くらい途方もない話になっ

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右手っしょおじさん

ギターを始めたての頃、よく出現するのが
ギターは右手っしょ派のおっさんである。
通称右手っしょおじさんである。
「いい音出したいんだったらストロークを研究してごらん。」
という言葉を右手っしょ。に集約して叩きつけてくるおっさんのことである。
まだストロークもままならない若者をつかまえては
右手っしょ。を吹き込むのである。そして、ジャガジャガと大きな音でストロークをして見せるのだ。
ただでかい音を聴

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かっこいい許し方の話

俺は人生で記憶に残るようなかっこいい許し方をされたことがある。

小学生の頃、俺はものすごく習い事をさせられている(今思うと本当ありがたい)子供だったのだ。
特にものすごく裕福な家庭だという印象はないのだが、小学生から塾に通わせてもらっていた。
確か、5年生くらいからだったか。
当時のスケジュールは、月水金土が柔道で、土曜日は午後から合唱団。
火木日が塾だったと思う。なんかめっちゃ忙しかったのを覚

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自分のことはわからない。

美味しいお肉を咥えた犬が、池に映る自分の姿を見て敵だと思って吠えて肉を池に落とす話がなんか記憶の中にあるけれど、鏡ができる前は人間だっておんなじようなレベルで自分のことなんかわかってなかったと思うなー。

偉い人とかはさ、
「他人は自分を映す鏡だ。」
みたいなこというけれど、そうだよね。そうそう。ってわかったふりしても
実のところあんま実感としてはわからんよな。
他人は他人やもん。そりゃそう。

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裏切り、復讐、許すというマウント。

こないだ、めっちゃ感じのいい喫茶店を見つけてふらっと入ってみた。
おばあちゃんが一人でむすっとした表情でカウンターの向こうに立っていて、俺はトーストとコーヒーのモーニングセットを頼んだ。
おばあちゃんはむすっとしているがどこか憎めない感じの人で、俺はすぐに店のことを気に入った。

しばらくして、トーストとコーヒーを持ってきてくれたのだけれど、トーストの表面が不思議な質感になっている。
カビが生えて

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霞みゆく比喩の瓶

こびりついて崩れた果実と砂糖はすっかり固まってしまっていてジャムの蓋はびくともしない。
蓋をあけるのをすっかり諦めて差し込む朝日に中身を透かしてみる。
ガラスの瓶を隔てた内側のマーマレードは琥珀のように柔らかく光を屈折させている。

「自分の内側にあって、その時切望している何かがこのジャムの瓶のように固まってしまって開かないのならそれは悲劇だ。」なんて思うと少し憂鬱な気持ちになる。
僕がジャムに求

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かくれんぼ

どんな言葉や行動も、愛が根っこにあってほしいな。
なんてふんわり思う日々。

あなたは今日、どんなことを思いどんな考えに触れ、どんな音楽をきいて、どんな命をいただいて、どんな言葉に思いを巡らせ、どんな夢をみるだろうか。
一つ一つの出来事が素知らぬ顔をしながら実は見つけてもらうのを待っている。
ちょうどかくれんぼしている子供のように。
俺たちが出くわす出来事の一つ一つはじつはその可愛らしい子供達の隠

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峠を越えた話。

端的にいうと、世の中がキモすぎてやってらんないなという気持ち。
じゃあ歌を歌おう!
だなんて、そりゃあ音楽の神様に自分のケツ拭いてもらうようなことだなと思う。
言葉は、言葉でしかない。し、そういう言葉を乗せた音楽なんてものは言葉の注釈にすぎない。
誰がいうか、とか何をいうか、とかそういうことでもない。
実感や温度の伴う、肌の触れ合う暖かさのあるものでないと何かと何かがぶつかりあうものでないと人は安

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30歳になりました

のんべんだらりと日々を過ごしていたら気がついたら30歳になっていました。
驚き。
今年は、本当に足りないパズルのピースのようにぽっかりと4月に穴があいてしまいました。
人前で一ヶ月以上も歌わないなんてことこの10年であったかしら。
そう思うとめっちゃミュージシャンなんだな自分は。とおもいます。
たくさんのおめでとうのメッセージありがとうございました。

今年は一体どんな1年になるのか全く想像つきま

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トラウマ

幼少期のトラウマが与える人格へのなんとやらとか
そういう話をきくたびに、確かにと頷いていた自分なので
誰かの欠落感に触れるたびに、昔なんかあったのだろうか。とか勝手に考えていたりした。
先日、まぁまぁグロテスクな幼少期を過ごして大人になった友人にそういう話の流れで「トラウマとか言ってていい年齢じゃないでしょ。」
と言われ、ハッとした。
なんかわかりやすく「あぁ、私のこういう部分はあの経験によるもの

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春風

みんな普段、俺たちに対して
「ライブがあると思うと頑張れる」旨だったり
生き甲斐だよってことを伝えてくれるんですけれども
それは俺たちもイコールで生き甲斐な訳ですよ。
普段、みんなに生かしてもらってるわけです。
これはどんなにかっこよく言い換えたとしても結局
「みんながいるから生きていける。」と言う事実以外他にないのよね。
ライブが飛びまくって、全くなんの目処もなくてそりゃあみんな不安だ。
ミュー

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おーびっと。

おーびっとツアー、やりたかったなー。

みんなと俺たちの公転周期、たまたま重なり合うこと、そういうことがテーマだった
から、皮肉にも日々が当然ではないということを思い知るとても大切な機会になってしまった。

10年以上音楽を続けていてこんなことはなかった。
だからこそ、なんというか
「あー、あるんだな。こういうことも。」って強く思ってる。
いま、1人でいる時間、心の奥底までちゃんと潜ってまた新しい

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