デンジャーゾーンからの脱出②
窓から見える空は青々として、画角的にも程よいバランスで白い雲が停まってる。
ちゅんちゅん。
ぶぉーん。
わんわん。
守り続けたい朝の音。
自分の手とは関係のないところにある音。
子ども達はすでに学校に出たようだ。
妊娠中の妻もどこか買い物に出掛けたのか、リビングからは物音はしない。
さぁ、今日か。
今日は何をすればいいのだ。
とりあえず、モーニングルーティンをこなそう。
冷たいシャワーを浴びる。
最近は冷水MAXにしているのに、水温がそれほど冷たくなくなっている。
ぬるまコールドシャワーを終え、インスタントコーヒーの粒を瓶のクチから雑に入れる。もうそろそろホットコーヒーが飲みづらいからアイスコーヒーにする。
闇雲にカラダと手を動かすのはよくない、まずは戦略からだと考えて、机の上に本とノート、コーヒーを並べ出してから早くも3ヶ月以上が経過しようとしていた、5月。
素人がYouTubeを参考に見よう見まねで作った戦略は、創業支援の担当者にボロクソに言われてから立て直せていない。
誰に課された訳でもなく、自分で決めて自分で勝手に飛び降りた闇。
計画など立てている間に、日々に忙殺されてしまうのが怖かった。そうなるに決まっていた。
20年間の社会人生活を思い返しても、自分の行動パターン的に、何かを思い切り変えるためには、衝動的に飛び降りるしか出来ない。飛び降りるので、それまでいた場所の景色も人間模様もすべて失う。
結果それの積み重ねが、今の自分の居場所に運んで来ている。
今までと違うのは、自分の船に乗組員、家族が4人も乗っていて巻き添えにした。
ワンピースのルフィのように、明るく意志高く、みなを先導しなければいけない。強く守らなければいけない。
空は青いが、もうあの頃の青とは違うのはそういう事だ。
「クレープ ぺいやん」
という店名にしようとしていたが、ほんとうにしっくり来ていなくて、どうしよう…となやんだあげく、「クレープ ロク」にした。した、というか、そうさせていただけませんか?と妻に承諾を得に行った。
妻の、亡くなった弟の名前から取ったものだったからだ。
妻は二言三言、僕に苦言を言ったが承諾してくれた。
結果として妻も、妻の兄姉も、全力で応援、協力してくれている。
「コンセンサス(共通認識)を得る」とは、こういうことかもしれない。
『クレープ ぺいやん』にしようとしていた時は、全く事業に対しては非協力で皆、遠巻きから「ほんまに大丈夫なんか?」と陰口を言うだけだった。
『名乗る』ことは、非常に難しい選択が必要になるのだと知った。
-続-
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