パラサイト 半地下の家族を見てきた。

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2020年、記念すべき1本目!!「パラサイト 半地下の家族」

ポンジュノ監督の最新作で、カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作品ということもあり、注目していた本作。

めーちゃめちゃ面白かったです!!パンフレットも買いました。(写真)

誰が見ても純粋に面白いと言えるエンタメ作品となっています。

前半部は、コメディタッチで描かれていて、どこか笑いながら見ていましたが、ある瞬間、あの場面から、一瞬で物語が一変して結末まで向かっていきます。

色々な側面を持ちながら話が展開していき、エンターテイメントとして観客を楽しませながら最終的には韓国の格差社会の現状をメッセージとして忍ばせている、ここにポンジュノ監督の凄さがあるのではないかと感じました。最高傑作です!

---------以下、ネタバレ含みます。まだ見ていない人は、まずは劇場へ--------









まずは冒頭、半地下の家のシーン。wifiを探す兄弟や、床よりも高い位置にあるトイレ、窓から見える景色が、路上と一続きの窓、そして害虫駆除のスプレーをわざと家の中に入れる、、、我々では想像できない生活環境が冒頭から描かれます。実際に韓ソウルでは半地下の家が現在でも数多く存在しているらしいです。北朝鮮の攻撃に備えた防空壕が、ソウルの人口増加に伴って、住居として利用されるようになったそうです。(パンフレットの町山さんの解説より)

ここで、描かれるピザというモチーフ(後々のケチャップの伏線)も出てきますが、何より素晴らしいのが、「ソンガンホの表情」。害虫駆除のスプレーを浴びてる時のソンガンホのどこか覚悟を決めたような表情のアップ。これが後々、あるいは結末の表情と非常にリンクしてくる、、、実によくできています。

構図も非常に良くできています。水平の画角が非常に多く、「地上と半地下」の格差の構図を象徴的に描いています。半地下と豪邸の窓の景色の対比であったり、豪邸のリビングの階段を移す風景であったり、ソファの上での情事と、机の下で息を潜める場面であったり、色々なところで随所に、「地上と地下という格差」を画角で表現しています。実は、これも劇的に物語が進むシーンの伏線でしかない。(実は、もう一つの地下が潜んでいる、、、)

あとは、脚本もすごく良いです。序盤、チェ・ウシク演じるギウが、パク家のダへの家庭教師として雇われる時のダヘに向けたセリフ、「試験は、勢いが大事なんだ。」この「勢い」というメッセージも、終盤のソンガンホ演じるギテクが、「無計画が最も良い。計画を立てるから失敗する。」というセリフとどこかリンクしている気がします。「半地下の匂い」を忌み嫌うパク家の些細な言動から、衝動的にドンイクを襲撃してしまう。。その時のソンガンホの表情も、冒頭の表情とリンクしていって、本当に最高です。

でも、何と言ってもあの雷雨のシーンからの元家政婦の侵入からの、地下の「三番目の家族の存在」からの、パク一家の帰宅、あの怒涛の流れ。これが素晴らしいです。ここから一気に物語はクライマックスへと向かっていきます。

キム家が、雷雨の中、パク家のリビングで豪遊しているときは、「絶対、キャンプから帰ってくるやん、、、」って思いながら見ていましたが、、そんな杞憂も打ちのめされ、まさかの家政婦が帰ってくるという、、、笑 

まぁ、他にも素晴らしいところ、伏線の数々、(桃、石、北朝鮮、モールス信号、、、など)多々ありますが、(キャストも素晴らしい)

最後に、無計画でなく、計画的にお金を貯め、自立したギウ。そして、父親との再開。最後の窓を映すカットの淡い色彩(この映画は、ほぼノワール的な色彩で描かれるので)で終わる感じもよかったです。


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