凡庸”庭園”雑記「六義園」
文京区をフラフラ歩いていたら、なんだか趣のある庭園と出会った。
周りは、オフィスビルや、民家が立ち並ぶなんの変哲もない都内の風景。そこに、降って湧いたような、豊かな歴史を感じる庭園。意外な喜びを感じた。
庭園の名は、「六義園」友人に聞いたら、かなり有名なところみたい。無知な僕は、なるほど、あのただものではない風格は、それ相応の内容があってのことかと、感心した。
元は、お大名の庭園。その後、三菱創始者の岩崎弥太郎の別邸となったと、立て看板に書いていた。明治維新の一人と縁があった事に、幕末好きとしては、妙な親近感を覚えた。
見事な庭園だけあって、ただでは入れない。あたり前田のクラッカー。（こんなん、知っている人おるんかいな？）ありがたく、ポケットから財布を取り出し、料金表を眺めると、案外安く大人３百円。とても助かる。
一歩、足を踏み入れると、世界有数の大都会、東京とは思えぬほどの異世界ぶり。
喧騒が新緑の木々や、履き清められた砂利道。そして、風流を絵に描いて、それをそのまま組み上げたような、渓流の様相に、この身と心が癒される。
少し残念だったのが、川の流れや、池の佇まいが、澱み止まり、期待とは違っていた。真夏の暑い日々のせいと、大目に見る。偉そうに。
もちろん、友とするのは、我が相棒のNikon Z6と、 NIKKOR Z 50mm f/1.8S。最近は、この組み合わせ以外、地球上には存在していないのではないかとばかりに、持ち歩いている。
あれほど、嫌だった50mmだったのに、高校生の時に、標準レンズとして、付いてきたそれを、それしか買えなかったそいつを、腹立ちながら、使い倒しつつ、今後一生、50mmなんぞ使うもんかと、固く決意していたのに、結局は、今だ、人生あと数年で終わろうかという歳になって、50mmなんぞ使っているだなんて、それが、精一杯の有り様なんて、気分は、お釈迦さまの手のひらの上で、筋斗雲（きんとうん）に乗って飛び回り、気がついたら、手のひらから一片も出ていなかった、哀れな、孫悟空の気分である。（グダグタ長文書いてしまう）
そんな思いが頭に浮かぶ。だけど、哀れな男の野暮で野鄙な想いを、美しくも威厳がある庭園は、瑣末なことと忘れさせる。
一瞬で、全体を覆う緑の荘厳な風情に身を包まれ、心地よい木々の影と、木漏れ日に満たされて、無心に写真機のシャッターを切った。
許されるならば、事務所を庭園の中に設えて、ここで、これからの未来の方向を思案したり、厄介で、胸具合が悪くなる人との対応に、答えを見つけたい。
いつも思うなだけど、だだっ広い庭園を、そのままオフィススペースにしてくれるなら、毎日でも訪れるのにと。（お金のことはさておき）
実は、仕事の休憩のわずかな時間で訪れたので、だいたい1時間しかいられなかった。名残惜しいが、一応、全体は写すことができたので、また訪れることを、心に約束して、厄介極まりない現実世界へ戻ることに。
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