凡庸”シャッター”雑記「街」
大した内容ではないが、どうしても必要な事があって、久しぶり大阪を訪れた。そして、いつも、重くて嵩張るゆえ、お留守番してもらっているZ6を、今回、意を決して持ってきた。
久しぶりに訪れた、その姿は、味わい深く、写欲が掻き立てられる。想像し創造するにはすこぶる良い街なのだ。
大阪と言っても、いろいろある。日本第二の都会とは思えない古びた民家が並び、その隙間に、肩をすぼめて三階建ての家が座り、これ以上ないほどの、哀愁、郷愁、漂わせる。街写しの愛好家ならば、涎を垂らして、(下品な話)駆け寄ってくるほどの、いい顔をしている。
それが、ちょっと歩くと、(そうでなくとも、電車かバスで数分行くと)寂しい民家の草むらから、華々しいショッピングモールやら、百貨店、シネコン等々、日本第二の大都会が現れる。
通り一つ、スジ一本、ふらりと気の迷いで歩いていると、いろんな風情を見せてくれるのだから、楽しくて仕方がない。カメラ一つぶら下げての、街歩きと、街写しがやめられない。
この時も、本気で写す時間も無く、ほんの小一時間。気の向くまま、足が向くまま、気忙しく歩き撮る。
日頃は何気なく歩いている場所。が、こうして撮るために見つめれば、古びた民家の連なった路地の中へばりついた、珍妙で、小洒落た、店が。面白い。
駅付近はとても人通りが多く、行き交う喧騒も騒がしい。これこそ立派な街の装いをしている。それが、少し外れた通りの商店街は、どの地方にも見かけるシャッター街。最近よく見る光景。なかなか味が濃い。
ぼんやり、どこを撮ってやろうかと、見ていると。
食堂のおっちゃんが声をかけてきた。
「シャッター街を写しているんか。おもろいんか」なんて。そこで、すかさず答える。
「そりゃ、おもろいなぁ。古びたシャッター街ほど、いい味してるもんは無い。撮っていとおもしろい」と。
おっちゃん。笑いながら、そんなもんかいなぁ。と、呆れ顔半分、愉快さ半分、店に消えた。つまらない我が人生だけど、あのおっちゃんを、ちょっぴり笑わかせたかいなと思ったら、気持ちが妙に満足した。
そんな感じで、うろうろ数分続けて、撮り歩いた。が、用事の時間が来たので、もっと撮りたい気持ちはあったけれど、あわれおしまい。
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