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恭庵書房のオススメ書籍 2022/4

笹生 浩樹『房総の頼朝伝説』

鋸南町を歩いていてもそこかしこに見つけられる源頼朝の足跡を、わかりやすく解説した本。鋸南の竜島海岸に上陸してから鎌倉へ行くまでの、頼朝の辿ったであろうルートを示してくれている。この本を元に、頼朝の道を走ってみようと思う。

南房総地域を旅する人に、ぜひ目を通して欲しい一冊。


『地球の果ての歩き方〜一度は行きたい世界の「端っこ」を景観&旅の雑学とともに解説』

#地球の歩き方#地球の迷い方 とも揶揄されつつ使われている名シリーズだが、僕自身は初めての一人海外旅の韓国で迷いまくってとあるバスターミナルで衝動的に捨てて以来、このシリーズを27年以上買ったことがない。今回はタイトルだけで手に取ったが、これは正解。行き方とか時刻表はいらないんだよ。端に特化して読ませてくれてありがとう。これはいつも手元に置いておく価値のある一冊だと思う。

ちなみに僕が行ったことがあったのは、タクラマカン砂漠(中国 2002)・ロカ岬(ポルトガル 2004)・軍艦島(長崎 2013)・サハラ砂漠(モロッコ 2015)・キャンプバルネオ(北極 2018)ぐらいだった。


大澤真美、中村一浩、植田順、野底稔『ことばの焚き火 ダイアローグ・イン・デイリーライフ』

この本は対話の本なのか、いや対話の本ではない。では対話とはなんだ?? この本で、対話はキャッチボールではなく、焚き火の薪をくべるようにめいめいが言葉を置いていくと書かれていた。相手に向かって言葉を発出しなくてもよい、黙ったり保留してもよい。自分が思い込んでいる対話の概念とは違うことが書かれていた。そこには他者への思いやりや余白もある。

対話によって何を得たいのか。それを純粋に追求したら、言葉のやり取りではないということが、対話を普及させる著者グループが行き着いたところなのだろう。実は約1年前から彼らから「対話」のことを聞き、なんとなく居心地が良いから場で適当に過ごさせてもらっていたが、この本を通して彼らがそれにのめり込んでいることの意味が分かった。

世界を動かしているコミュニケーションの法則は間違っていた。一人ひとりが無理をしないで「対話」することは、世界平和につながる。


柳沢 高志『孤独の宰相 菅義偉とは何者だったのか』

実績と評価がここまで食い違うのはなぜだろう。菅前首相に近い記者による、本人の心情描写はとても興味深い。そして、日和見的な議員と官僚の姿が浮き彫りにされている。

政治や政治家について書いた本であるが、日本の現状を招くに至った政治とメディアの問題点を読み解くこともできる。政治に限らず、社会的な仕事をしたい人は、読んでおくと良いと思う。


オイゲン・ヘリゲル『新訳 弓と禅』

20世紀初頭にドイツ人が弓道を通じて禅を知った。現代日本の典型的な一人としてうわついた知識としてしか禅のことを知らない自分を恥じつつ、著作を通じてもっと禅に向き合ってみたいと思った。

「考えるのをやめなさい」、自我でなく「それ」が狙い「それ」が当てる。


ERIKO『ジョージア旅暮らし20景』

定住旅行家のERIKOさん、観光地の列挙でなく人や家族、習俗を通じてジョージアの暮らしを浮き彫りにする。学生時代にイランでビザを取り損ねて行けなかった場所で、その後ちゃんと調べたことはない。ジョージアワインはここ数年よく飲んでいる。

ジョージアの魅力が体験から分かりやすく書かれている。これを読んで旅に出よう。


蘭 信三・小倉 康嗣・ 今野 日出晴(編)『なぜ戦争体験を継承するのか: ポスト体験時代の歴史実践』

戦争を体験した人がいなくなる中、どのように記憶を残し、平和の尊さをつなげるかを、さまざまな実践を通してまとめた平和学の本。悲惨な歴史をも繰り返してしまう人類の、意志ある人のチャレンジだ。

特に第1章の、被爆者と向き合って体験を高校生が描くという試みは秀逸。単に自治体が式典を繰り返したり、被爆者の証言を聞かせるだけでなく、対話をさせ他人の体験を自分の身の中に取り込んでいく。挿絵も掲載されており、目を通してほしい。

突然18世紀ぐらいのことだと思っていた軍事侵攻が起き、各国のプロパガンダが跋扈する昨今。平和を自分ごととして自ら掴み取る意志が絶対に必要だ。


三浦 展 『コロナが加速する格差消費 分断される階層の真実』

コロナ騒動が始まって数カ月後に出た本。巻末の日本郊外改造計画にはかなり賛同する。4年前に都内での店舗運営をやめたときに考えていたことにかなり近い。詳しくは本書を参照してもらいたいが、通勤や会議等による日本の生産性の低さ、寄生地主による都市の崩壊などなど。文科省不要論には笑った。御意。


パクチー(P)コワーキング(C)ランニング(R)を愛する、PCR+ な旅人です。 鋸南(千葉県安房郡)と東京(主に世田谷と有楽町)を行き来しています。