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恭庵書房のオススメ書籍 2021/4

田中 宏暁 『ランニングする前に読む本 最短で結果を出す科学的トレーニング』

息の切れないランニングと称してずっと走っている。疲れないし、全くイヤにならない。景色を見ながら移動することは昔から好きだが、歩くより少し早いペースでそれができる。
準備運動もしない。動物が突然の襲撃に準備運動をするか?というのが根拠で、日常的に運動していればそれは必要ないと考えている。そして、過度な負荷がかからない程度に身体を動かしている。
本書は、ランニングに関してまことしかやにささやかれつつ、根拠のない言い方を、科学的にまたは実体験に基づいて丁寧に修正/解説している。なにより、今の僕と同じ46歳から走り始めて、「計算通り」フルマラソンを2時間38分で「無理なく」走っているのだから説得力がある。走っている人はもちろん、走ることなどとんでもないという人は、これを読んで、その後一緒に走ろう。

治部れんげ『「男女格差後進国」の衝撃 ~無意識のジェンダー・バイアスを克服する~』

ジェンダーについて著者の体験と豊富な事例で、平等の必要性が大変よくわかる良著。ジェンダー問題は男性と女性との対立ではない。日本が後進国になったのは、世界の潮流についていけなかったということが良くわかる。自分がされてきたことを次の世代に押し付けないというのは極めて貴重な提案。
PTA会長が終わり、サポーターリーダーとしてやろうとしていることにPTAボランティアの参加率を男女比1:1にするということがある。本部役員はかろうじてそうなったが、全体でどうすれば実現できるかは全く見えない。しかし、この本を読んでそれを働きかける価値が、親だけでなく子供と地域に対してもあると感じた。

デービッド・アトキンソン『国運の分岐点 中小企業改革で再び輝くか、中国の属国になるか』

経済成長のカギは生産性の向上。中小企業が諸悪の根源という物言いは、読み始めた当初はアナリストの単なる大企業礼賛かと思って不快感すら感じたが、読み進めて納得した。
規模の大きいところで効率的に業務が進むことよりも、できるだけ多くの人が独立(自立)して生産性を高めるべきだと僕は考えている。しかし、各人の活動は各人の自由として、政府が中小企業優遇策を続け短期的な利益を追うより、氏の言うような最低賃金の向上(他の先進国並み化)がもたらす影響は大きいと感じた。
そして個人的には、この本を読んで事業意欲が湧いた。平易ですぐ読めるので、超オススメです。

まさやん『黄昏時のラクガキ: TwilightGraffiti』

縄文アーティストの青春。
ただのアル中じゃない。スマホに忍ばせろ。

佐谷恭『砂を噛んだらうまかった: サハラマラソン250kmのひみつ』


ヘレン・ジェファーソン・レンスキー『オリンピックという名の虚構』

オリンピックをはじめ、メガスポーツイベントと政治、カネの動き。きな臭い話がよく聞こえるが、これほどきちんとまとめたものがあるとは。圧巻。
スポーツの爽やかなイメージと、金メダリストの腹黒い末期と、読むとジェットコースターというかお化け屋敷というか、なんだか遊園地みたいな本。緊急事態宣言再々発からの東京オリンピックまでに読むと楽しい一冊。

オリンピックの聖火リレーの起源は古代にはなく、1936年のベルリンオリンピックにある。つまり、ヒトラーが始めた。(p.33参照)
独裁国家のように、民主主義国家もスポーツウォッシングを使って国内問題から注意をそらしている。独裁者はどんな問題でも市民の心をつかむ必要はないが、民主主義の選挙で選ばれた代表はより難しい評価にさらされており、スポーツウォッシングは有用な戦略となるのだ。(pp.62-3)

東 浩紀『ゲンロン0 観光客の哲学』

国際社会が「ならずもの国家」を指定し、テロリストを生み出している裏側で、世界は膨大な数の観光客を送り出してもいる。彼ら観光客は必ずしも「共和国」から来るとはかぎらない。中国もロシアも中東諸国も、西欧の基準では成熟した国家とはいえないかもしれず、それゆえ国家としては、永遠平和設立のための国家連合には加えてもらえないかもしれない。
けれども、それらの国の市民も、観光客としては世界中を闊歩しており、おっしてそのかぎりで祖国の体制とは無関係に平和に貢献している。


亀口 まか『河田嗣郎の男女平等思想: 近代日本の婦人問題論とジェンダー』

2年間のPTA会長を終え、サポーターリーダーとしてPTA活動の男女比について考えてみようと思ったところで見つけた本。100年も前にジェンダー論に関してこんな先進的な発想をしている人がいるんだと驚いた。
論文なので表現がくどいけど、時代背景もよくわかり、大変興味深かった。


パクチー(P)コワーキング(C)ランニング(R)を愛する、PCR+ な旅人です。 鋸南(千葉県安房郡)と東京(主に世田谷と有楽町)を行き来しています。