Pax Labo コラム〜パブリックアフェアーズと仮想空間の相関性における一考察〜

パブリックアフェアーズの領域では、仮想空間やメタバースの利用が革新的な変化をもたらす可能性があります。今回は、仮想空間が公共政策や市民参加に与える影響についていくつか紹介したいと思います。

まずは、「アクセスの拡大」です。仮想空間は、地理的な制約を取り除き
ます。市民が政策討議や公共サービスに参加する際の物理的な制約が減り、より多くの人々が政治プロセスに参加できるようになります。たとえば、
遠隔地に住む市民でも、仮想会議室での議論に参加できるようになります。

次に、「インタラクティブなエンゲージメント」が挙げられます。
仮想空間は、市民と政策立案者との間でのインタラクティブなやり取りを
可能にします。市民は、オンラインフォーラムやバーチャルリアリティの
シミュレーションを通じて、直接意見を述べたり、政策の影響を体験したりすることができます。

そして、「教育と啓発」も重要な要素です。仮想空間は優れた教育ツール
として活用できます。市民は、政府のプロジェクトや政策に関する情報を
仮想展示会やインタラクティブな教育プログラムを通じて学ぶことが
できます。これにより、より情報に基づいた公共の議論が促進されます。

また、「データビジュアライゼーション」も重要です。複雑なデータや統計を仮想空間で視覚化することにより、市民は政策の影響を直感的に理解
しやすくなります。地域の発展計画や予算配分などを3Dモデルで示す
ことで、より透明で分かりやすい政策コミュニケーションが可能に
なります。仮想空間や制度政策の話とは若干、事を異にしますが、
最近は、３Dオブジェクト専用の生成系AIやMeshGPT（※）なども登場しており、新たな現実の言語空間と仮想空間が近づいてきています。

（※）出典：ARCHETYP Staffing　Magazine
　　　　　　https://staffing.archetyp.jp/magazine/meshgpt/

さらに、「コラボレーションの促進」において、仮想空間は市民、専門家、政策立案者が共同で問題解決を行うためのプラットフォームを提供します。オンラインワークショップや共同設計セッションを通じて、多様な視点を
統合し、包括的な解決策を見つけることができます。こうして、新たな
公共空間を創造することで、市民は自由に集まり、交流し、意見を交換することができます。これは、特にパンデミックなどの非常時において、
市民の社会的なつながりを維持する上で重要な役割を果たしています。

仮想空間の利活用は、パブリックアフェアーズにおいて市民参加の機会を
広げ、政策プロセスをより透明でアクセスしやすいものに変えています。
自治体などでも実験的に仮想空間を活用した催しを行う事例が増えてきて
います。これらの進化は、民主的な議論を推進し、市民の声が政策に反映
される道を開くものです。今後も、仮想空間は公共政策の形成において
重要な役割を果たしていくでしょう。