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所長日記10:あたりまえ

ファスト&スローという名著があります。著者は、ダニエル・カーネマンという心理学者・行動経済学者で、ノーベル経済学賞を受賞しています。

行動経済学のプロスペクト理論をはじめとした、様々な理論を非常にわかりやすい内容で説明していることはもちろんのこと、タイトルにもあるファスト&スローという脳の2つの思考についての考え方が非常に勉強になります。


なぜこの話を思い出したかというと、よく引用させていただく、管長日記の今日の話からです。

頭が堅くなるという話の中で、次のようなことが言われていました。

頭が堅くなるとどうなるのかというと、和田先生は、

「頭の堅くなったのはどうしてわかるかというと、なんでも“あたりまえ”に見えて少しもおもしろいものがなくなり、勉強のおもしろ味などはむろん真先になくなるのです。」

と書かれていて、なんでもあたりまえに見えるというのです。

これは、「先進国の子どもたちは〜」というニュアンスでしたが、大人になれば尚更、なんでも”あたりまえ”になってしまい、日々の感動は薄れていくものです。

これの何が、先のファスト&スローと重なるのでしょうか。
ファスト&スローで示される脳の2つの思考とは、感情的な「速い思考(システム1)」と意識的、論理的な「遅い思考(システム2)」。正しくこれが、”あたりまえ”を生み出しているのではないかということです。

何かを見て(ここでは「柿の新芽」でしたが)、面白いなぁとかきれいだなぁと感じるのは、感情的な部分です。
これはファスト&スローでは、「速い思考(システム1)」に当たります。

そして、この速い思考は(特に疲弊したときなど)、無意識に安易な選択=当たり前をしがちだと書かれています。

それは、ある意味判断しなくとも、失敗しないだろうと思われる選択。
もちろん、それを一概に悪いというわけではありません。なんでもかんでも、安易な選択ではなく、深く感動していたら、情報過多の我々現代人は、普通に生きていくことさえ難しいでしょう。
それを守るための、脳の働きでもあるのです。


しかし、その中でも、ときにスピードを緩めて、疲弊していない状態のシステム1で、”あたりまえ”のものを見て、感動したい。
そんな一時の余裕を、忙しい中にも持ちたいものです。


では、また。
次回の所長日記で。


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