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草鞋(わらじ)を作ってみました

稲を刈り、茎の部分を干してあげると藁ができます。藁はいろんな使いみちがあります。野菜を育てるときに首回り(苗が土に刺さってるところの辺り)に敷いて土の保温や水分を貯める役割に使われたり、現代のストローのように飲み物を飲むときに使ったり(英語のstrawは麦わらが語源)、ほかにも様々な用途があります。

この藁は何本かを編んでひとつにまとめる(〈綯う〉、なうと読みます)と、藁縄になります。藁縄は藁と同じく日常生活の中でよく使われました。

そのひとつ、草鞋を僕は作ってみました。民謡の本を書くぞ!と意気込んでいろいろ調べ物をしているときに、当時の服装が気になって調べていました。その中で、僕は当時の農家や町人の暮らしが好きで(民謡もこういう人たちから出てきたんじゃないかと思っています)、服装もできるなら近づけてみたいなと思っていました。

そのときに見た画像に草鞋が載っていたのでこれならできそう!と思ってチャレンジしました。以前ロープワークの練習をしていたときはゼロからネットで学んだので、今回も同じ要領でやればできるはずだと思いました。

作るに当たって不安もありました。わらでできた靴とかチクチクして痛そう、とか長い距離歩いたら傷だらけになりそう、とかね。でも、その辺りもやってみると何かわかるかなと思ってひとまず挑戦です。それに、これはあとで調べたときに知るんですが、草履は長距離を歩くときにこそ重宝されたようです。さて、やると決まれば材料の準備をします。とはいえ使うのは藁縄と補助に使う細くて短い紐ぐらいです。藁は自分の家で米を育ててるのでそこで手に入れても良かったのですが、初挑戦のハードルは低い方が良いのと、縄綯いでつまずいてしまうと本末転倒に思えたので今回は既製品の縄を買いました。補助の紐は適当に家にあった紐を使うことにして、準備は整いました。ちなみにこの縄、太さ9mm、長さ3.2mのものを2本買ったのですが、合計1500円ほどもしました。た、高い...。

こうして準備は整い、いよいよ制作に入ります。縄を親指にかけて、上下上下、と通し、通したらしっかりと詰める。それを繰り返していきます。僕は手が遅いので30分ぐらいかかるかなと思っていたのですが、単純作業で動画のままに編んでいき、説明されているように20分ほどで完成しました。

できたものがこちらです。白黒だと少し見にくいかもしれませんが、なかなかうまくできたのではないでしょうか?まだまだうまく作れそうですし、反省はいくつかありますが、これはいいですね。

できたわらじ。
なんか時代劇とかで吊るしてるの見たことある!


かつて農家は閑散期の副収入としてよくわらじを編んでいたそうです。わらじ作りは単純作業の繰り返しではありますが、農家の仕事というのは単純作業が多いです。もちろん全てが単純作業ではありませんし計画的に進めていかないと大きな損失になったりするのですが、単純作業も多く、農家は日々の作業で単純作業能力を鍛えられます。

その延長線上にあるわらじ作りは普段の仕事の延長なのでちょうど良かったのかもしれません。それに、材料である藁は米や麦の副産物として手に入ったでしょうから調達も用意で、わらじが副収入になったのは必然といえたのかもしれません。短い時間で簡単に1足作れるので、何人かで分担してたくさん作ったのでしょう。右足用、左足用という区別はありませんので、(作ろうと思えば作れると思いますが)大量に同じ物を作ってそのまま売れますし、本当にちょうどいい工芸品だと思います。農家には民謡ができる土壌があったことを考えると、こういうものを作るときにも何かしら唄を唄っていたのだと思います。そういうときには作付け唄のような、普段仕事で唄っているような唄だったのか、それともお座敷向けのちょっとおしゃれな唄をうたったのかなぁと、また妄想が広がりますね。

さらに妄想を広げると、わらじは売り物ではありましたが、自分で作っているものを履くというのも気持ちよかったんじゃないかなと思います。それは農作物も同じです。自分で作った野菜を食べるのはすごくおいしかったと思います。しかも新鮮な取れたて野菜を食べるとなればこれは贅沢以外に形容のしようがありません。ええ。

これはわらじも同じで、人の手の垢も付いていない作りたてのわらじに足を通す、というかわらじを巻くといった方が適切かもしれませんが、その瞬間はわくわくしたでしょうね。僕はそれがしたくて作ってみたのですが、意外とうまくいってひとり感動していました。

まだ片足しか作れていませんが、作ったのなら歩いてみないといけません。さて歩き味はいかほどか。いや、イカじゃなくてわらj(ry

失礼いたしました。冗談はおなかいっぱいでしょう。履いてみた感じ、なんか痛い。それが感想でした。でもそれはちくちくとした痛みではなく、ツボを押さえていないツボ押しのような、鈍い痛みでした。履いてみたことで、藁のもけもけ自体は痛くないんだということに気付きました。

履いたまま少し歩いてみました。足袋がいるんじゃないかと思ってたのですが、裸足でも案外歩ける。わらじにツボを押さえられていなければ。今度作るときにはもうちょっと細い目の藁縄を使ってやってみようかなと思います。

以上!ぼくの草鞋作り日記でした!



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