「魅惑の心理」マガジンvol.124(「代替報酬」で人を動かす)
自動車メーカーのフォルクス・ワーゲン社は「人はどうしたら動く」ということを考え、つまらないことを楽しくして行動を変えるファンセオリーというプロジェクトを実施してきました。たとえばスウェーデンのストックホルムにある地下鉄の階段。多くの人は階段に併設したエスカレーターを使っていました。「どうしたら。みんなが階段を使ってもらえるだろうか」そこで階段をピアノの盤面のようなデザインに変え、一段ごとに音が出る仕組みにしました。すると、階段を使用する人が66%も増えたのです。「楽しい」という感情は、人の行動を変えるのです。これは代替報酬という考え方です。階段を上がるという大変な行動に、楽しいという報酬を付けたのです。
代替報酬はより良い結果を導くために、別の報酬を用意して人の選択を変えていく方法です。規制や強制ではなく、より良い選択に誘導する考え方である「ナッジ」にもよく似たものですが、代わりの「報酬」によって人を変えていく意図が強調されています。ナッジの中のひとつの例が代替報酬と考えられるかもしれません。
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