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企画において大事なもの

前回、「企画とは何か」という話をまとめました。今回は企画において大事なものの話をします。

通る企画の作り方のポイントは実にたくさんあるが、大事なものは3つである。たったの3つである。この3つがしっかりできていれば、企画は格段に通るようになる。こう書くと「3つなら読んでみよう」と思った人は多いかもしれない。実際には478個もあったのだが、そう書くときっと誰も読んでくれなくなる。そこで精査して吟味に吟味を重ねて1年寝かせてみたら、ひとつも残らなかった。これはまずいと焦り、とりあえず、最初に書き出した3個を紹介していきたいと思う。

1.思考の道筋を作る

ひとつ目は企画の「ロジック」である。ここでいうロジックとは思考の道筋、理論という意味で使っている。なぜこの企画が生まれて、必要なのか、目的は何で、それを実現する方法とは何か、そしてどのように実施し、ゴールはどこなのかを一連の流れとして、目的を達成するための辻褄が合っていること。一連の流れが合理的に成立していることが大事なのである。
 
なぜロジックが大事かというと、それは響きがかっこいいから、違う。企画は一般的に複数の人の手を通して決定権者に渡る。決定権者の前でプレゼンをできるケースはむしろ少ないと考えたほうが良い。企業の担当者、その上司に「この企画は御社のために有益な結果をもたらす」と理解してもらわなければいけない。ところが多くの企画を説明する本や人はここで話が終わっている。大事なポイントはそこではない。プレゼンをした相手を説得して、これは良い企画だと思わせるのは当たり前であり、そこが完璧でも企画は通らない。大事なのはその企画を担当者と上司が、あなたの説明を受けた後に決定権者(たとえば社長)に説明、同じようにプレゼンができるかに尽きる。このときにロジックがあると担当者と上司は理路整然と説明ができる。ロジックが甘いと後で社長を説得できにくくなる。正直、あなたが考えた企画はあなたに利益をもたらすはずだ。しかし、会社にとって有益であっても、担当者にメリットがあるかは怪しい。担当者が一生懸命にロジックのない企画を通す義理はない。
 
また、直接決定権者にプレゼンができるケースにおいても、プレゼンで相手を納得させても、時間経過と共に相手は後で悩むと考えたほうが良い。人というのは迷うものである。

しばらく経ってから企画書を読んでもロジックがないと魔法が解けたみたいになって、「あれ、なんでこんな企画に心を許していたのか」と気づいてしまうことがある。これは危険である。ロジックがしっかりしていれは魔法が解けにくく、企画実現をしてくれる可能性が高まる。ロジックは基本であり、最も重要なものといえる。

2.イメージが視覚化できる

ロジックが通っていれば、逆に断る理由がなくなる。ロジックが通っていれば企画は格段に通る。しかし、ロジックが通っても通らない企画がある。それは相手がイメージできないものである。人は理屈が通っていても、ものが具体的にイメージできないと、それに投資をしようと思わない。論理的思考が「この企画は大丈夫です」とサインを送っても、「どんな形になるのか」それが見えてこないととても不安になるのだ。本能の叫びである。

人は未知のものを恐れて、遠ざけようとする心理がある。そこのリスクを軽減するために、相手のイメージを活性化させる表現が求められる。もっともわかりやすいのは、完成品を視覚的に見せてしまうことである。商品などはこれがもっとも良い。ところが、イベント、サービスなど完成品がイラストや写真で表現できにくいものは厄介である。人には視覚でイメージを作りやすい人と、言語イでメージを作りやすい人がいる。ポーポーが調べたところ視覚イメージを持つ人のほうが多い一方で、言語イメージが優位の人も2、3割いる。こうした人に完成形を視覚的に想像してもらうのは難解であり、なかなか難しい。これから先そうした人も納得してもらえるような表現について解説していきたいと思う(いいねを押してくださると、よし継続して書こうと気合が入ります)

3.心にある思いが人を動かす

最後のひとつは、えっそんなこと?と思うかもしれないが、それは間違いなく大事なものであり、ポーポーが現場で強く感じるものである。それは「情熱」である。これは精神論ではなく、本当に必要なものなのだ。プレゼンを受けた側はお金や時間を使って企画を実現させるのには不安がある。近年の高まる損失回避性を考えると、何かをしないといけないのはわかるけれども、挑戦ができにくくなっている。そういう意味でも強い説得効果があるロジックは重要なのであるが、ここに情熱が加わることで、相手は安心する効果がある。「あの人があそこまで言っていたのだから」という不安の逃げ道にもなるのだ。
 
もちろん情熱の作り方にも技術があるが、そもそも最初から情熱がないと企画作りは全くうまくいかないだろう。仕方なく企画を作らなくてはいけないと思わないで、楽しみながら作ることである。企画作りほど面白いことはない。自分の描いたものが形になるのを一回見たらきっとやめられなくなる。

個人的な話になるが、私は新卒で入った会社を含めて2回転職し、3社で会社員をしていた。ポーポーのように社会不適応な変人が会社員をしていた時期があるのだ。

最初に入った企業では企画室に配属されていた。新人なのに営業に指名されて、同行してプレゼンをやらされた。なぜ新人の自分を毎回連れ出すのかを営業の責任者に聞いたことがある。そのときに言われたのが「専門的な知識よりも、最終的に人を動かすのは企画を通したいという強い気持ちで、君にはそれがあるから」と言われた。実際に企画室では今まで難攻不落だったプレゼンをいくつも通して、会社からも表彰された。才能よりも情熱はときには効果がある。

次の企業では店舗企画を立案と立ち上げを担当する部署にいた。ここでも社内の役員たちにプレゼンをして新しい企画をいくつも通してきた。「やりたい」「実現したい」という思いが最終的に役員の首を縦に降ったと思う。

3社目の企業では最初に企画室にいたのだが、社長にやたらと企画書を作らされた。ロジックがあり、企画書等説得力があり、プレゼンの熱意が良いと言われて、社長が新事業を投資家や証券会社にプレゼンするときには私をいつも連れ出した。(厳密には社長は運転手とベンツで、私は資料をキャスターで引いて電車を乗り継いで現地集合だった。途中、車に轢かれそうになったこともあるけれど、それは社長のベンツだった。おい!)。つまりどの会社でも未熟な自分の技術を超えてお釣りがもらえたのは「情熱」なのである。

企画の道を作る「ロジック」、完成形が「イメージできる」そしてそれを実現したいという「情熱」が大事と仮説を持って挑戦し、何度もそれを立証してきた。他にも企画にはその一部である「ニーズ」「目的」「実現方法」などが大事などともいう話を聞くので、仮説を立てて検証してみたが、もちろん大事であるが、結局はロジックが機能していないとニーズや目的が良くても通りにくく、情熱が最終的に決め手だったとクライアントから評価されたことが何度もあった。この3つの重要度は間違いないと思う。もちろん業種や企画内容になっては、大事なものが変わってくるが、この普遍的なものとして理解していただきたい。
 
最初はまだ漠然と「そうなんだ」と思っていただければ良い。この仕組みとやり方はこれからの後で詳しく丁寧に解説したいと思う。
 
 最後にみなさんに実践的な力をつけていただきたく、ワークを展開したいと思う。

レッスン1

身近な存在としてあるコンビニエンスストアは1969年に日本で始まり、一気に普及しました。コンビニはなぜ普及したか、消費者の視点から成功した理屈を考えてみてほしい。
 
 
(ポイント・答え合わせ)
何が正解で、何が間違いなのかを検証しない。思考の練習である。たとえば「住宅地の近くにあって便利」「なんでもそろうから」などとサービス面の特徴を出すと思う。ここでは、消費者の利用思考の視点で考えてみたい。

導入時には消費者の行動パターンはたとえばこんな感じ
 
・遠くからでも見えるロゴ、サインに興味がわく(興味を持つ、認知される)
・入ってみたくなる店のイメージ、明るい店内(店舗に入りたくなる)
・雑誌、日用品、飲み物、お弁当があると知る(コンパクトでありながら豊富なラインナップ)
・ポイントカードでお得感(また来たくなる)
 
目立つロゴマークを作り、認知を普及させて、ガラス張りの店内で明るく入りやすく、雑誌からお弁当まで揃う利便性と店舗内導線で売上促進、そしてポイントカードを貯める楽しみ。これは「見つかる→入りたくなる→買いたくなる→また行きたくなる」というロジックが出来上がっている。
 
 
成熟期になると消費者の行動パターンはたとえばこんな感じ
 
・朝の通勤にお茶を買う(朝利用)
・昼にお弁当を買う(昼利用)
・夕方に ATMでお金を下ろせる(夕利用)
・帰宅の途中にお酒とおつまみを買う(夜利用)
 
1日に複数回利用する店舗になり、平均客単価が500〜600円でも一人の1日単価で考えるともっと上昇する。飲食物が多いので約3000点が陳列されていると言われているが、売上の7割は飲食品。こんなのが見えてくると、お弁当やスイーツの競争が激化している現状が見えてくる。また、即時消費性の高さがウリであることがわかる。スーパーより並ばないで変えるのはポイントが高い。そのためコンビニは並ばない施策が求められているわけで、無人化の強化などはその一つだと思われる。
 
どうだろう。思考の道筋、ロジックが見えてこないだろうか?

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