見出し画像

【絵本日記】くまさんのくま

ある日、くまさんが鏡をみると
目のしたが、まっくろになっていた。

「くまだぁ!!くまができちゃった!!」

くまさんは、あわてて戸棚のひきだしから
はちみつのパックをとりだし、顔にあてた。

「たいへん、たいへん。ピチピチにしなきゃ」

その上から、どんぐりがたくさんついた枝で
小顔ローラーをした。

「お顔をちっちゃくしなきゃ!」

鏡をのぞいてみる。
それでも、くまさんのくまは、とれていない。

「よぉし!」

くまさんは、桐の箱から
ラベンダーのお花であんだアイマスクをつけた。

「わぁ。きもちいい。いい香り〜」


くまさんは気づけば、
ぐっすりとねむってしまっていた。


「………しよ。………しよ!」
「……ねぇ。……目をさまして!」

耳元でなにやら声がする。
くまさんはアイマスクをはずし
明るいひざしにめをほそめながら、あけてみた。

すると、涙でお目目がまっかになった
うさぎくんが、こちらをのぞきこんでいる。

「どうしたの?」

「どうしたのじゃないよ!
てっきり死んじゃったのかとおもっちゃった
じゃないか!」

うさぎくんは、わぁーんとなきだした。

「なんで、そう思っちゃったの?」

くまさんは、うさぎくんの背中をさすりながら
いった。

「だって、そんなにぬるぬるのお顔で、
ほっぺには、なにやらまるい跡がたくさん。
おまけに、目には布をかぶせて。
声をかけてもちっとも返事をしないんだから!」

くまさんは、鏡をみると、そのなかには、
はちみつでベットベトになり、
ほっぺにはどんぐりの跡がついたお顔があった。

「あぁ、そうだ、くまをとってたんだった」

お顔をゴシゴシとあらいもう一度鏡をみた。
すると、ピッカピカなお顔があらわれた。

「みてー!くまがきえたよ!!」

くまさんは、ニッコニコのえがおで、
うさぎくんをだきしめた。

「くまさん、よかった〜。
ほんとうによかったよ〜」

うざきくんは泣きながら
くまさんをだきしめかえした。

くまさんのくまは、きえさった。
そのかわりに、目のはしには、
小さなしあわせのしわができていた。

「くまさん、目のはしが
くしゃくしゃになっちゃったよ?」

うさぎくんは、心配そうにいった。

「いいの。これはしあわせを刻んでいるの。
だから、これはそのままでいいんだ」

くまさんとうさぎさんは、
なかよくほっぺをスリスリとしながら、
だきしめあっていた。


🐼Instagramにても公開中!
ぜひ、フォローお願いします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?