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【絵本日記】ひとやすみ明けのらくださん

らくださんは、砂漠の中をいっしょうけんめい
毎日あるく。
雨の日も、風の日も、いやなことがあっても、
うれしいことがあっても、立ち止まらず
あるきつづける。

だけど時々、こぶのエネルギー切れを
起こしちゃうから、ひとやすみをしないと、
らくださんはがんばれない。

「ふー」

ある日、らくださんはひとやすみをはじめた。

ウトウト。
ウトウト。
ウトウト。

「あー。おやすみってなんてすてきなんだろう」

ゆっくり、雲がフワフワとうかんでいるのを
ながめるらくださん。

「おいしそうな雲だなぁ。
 あぁ、ずっとこのままだったらいいのに……」

だけど、たのしいことは
いつだってあっという間。

ひとやすみの5日目がたったころ、
らくださんは、そろそろあるきださないと
いけないことに気がついた。

「やだなー。
 あしたなんて、ずっと来なきゃいいのに」

夜がきた。
らくださんは、いつもならねむる時間になっても
目をぱっちりとあけている。

ともだちのらくだくんが、聞いた。

「どうして、ねないの?」
「だって、ねたら明日になっちゃうでしょ。
 だから、こうして目をあけていれば、
 ずっとずっと明日はこないんだよ」


朝になった。

「あー。ねてしまった!!なんてこった!
 明日が今日になっちゃった!」


立ちあがろうとしても、
らくださんは、立ちあがれない。
らくださんは、らくだくんに言った。

「もう、おいていっていいよ。
  お尻に根っこはえちゃったし、
  なんだかねむくてからだが動きやしない。
  あー、おなかがいたくなって気がするよ。
  いや。あたまもいたい気がする」

らくだくんは、
らくださんのお尻を鼻のさきでツンとついた。

「また、そんなこと言って。
  こぶはエネルギーパンパンだよ。ほら行くよ」

「エネルギーはパンパンでも、
  また減るのがいやで、あるきたくないの!」

だだをこねはじめた、らくださん。
それでも、なんとかおもいおもい
お尻を上げてあるきだした。

らくださんとらくだくんは、また、
何日も何日もあるきつづけた。
少しつかれたらくだくんは、
らくださんに言った。

「そろそろ、ひとやすみしないかい?」

らくださんは言った。

「ひとやすみしたいなって思ってるころが
  いちばんのひとやすみだよ。
  始まっちゃえば、もう終わり。
 だから、もう始めないことにきめたの」


だいすきな、ひとやすみ。
なのに、ひとやすみのおわりは、だいっきらい。

そんならくださんが、街中にあふれている。


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