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エブスとエビス追記 フェニキアの民が我々にもたらしたもの

TOLAND VLOGの動画を見て興奮し、エブス人とエビス様の再考察を記事にしましたが、前回書ききれないことがあったので、追記とします。

古代エジプトでは様々な動物を神と崇めました。

ホルス MIHO MUSEUM蔵
トト神 エジプト カイロ博物館蔵
セト エジプト考古学博物館蔵
イビス メトロポリタン博物館蔵

紹介したのは一例ですが、このほかにもヒヒやワニ、牛やジャッカルなど様々な動物が神となっています。

なかでも僕が一番好きな神様がバステトという女神です。
この神は雌ライオンの頭を持つセクメトと同一視され、「太陽神ラーの目」という異名を持ちます。
当初バステトはラーが人間を罰するために自らの片目をえぐって地上に送り出し、大殺戮を行なった女神と捉えられていました。
しかし後世になると「王の乳母」としてファラオの守護者といった役割を持つようになり、人間を病気や悪霊から守護する女神にその性格を変えました。

そのバステトの像が大英博物館に残っています。

バステト 大英博物館蔵

なんとも愛らしい殺戮の女神です。見ての通り、猫の神様です。
猫は古代エジプトで神聖な動物とされ、とても大切にされてきました。
カイロ近郊の遺跡では多くの猫のミイラが発掘されています。
また猫は古代エジプト人が初めて家畜化した動物と言われています。
エジプト先王朝時代の紀元前6000年頃、ヒエラコンポリスの貴族の墓より猫の骨が発見されており、紀元前4000年紀後半には家畜化されていたと考えられているそうです。
つまり人類史で初めて猫をペットとして飼ったのが、古代エジプト人ということになります。

さきほど「ラーの目」の話をしましたが、ラーの目といえば、有名なホルスの目がありますね。

ホルスの目

このホルスの目とはラーの右目を象徴します。古代エジプト神話において、ラーが世界を統治する際に、自らの目を用いて全てを監視していました。しかし、ある時ラーの目は盗まれます。目を失ったラーは弱まり、息子のホルスが彼を助けるために自分の右目を提供しました。そしてもう片方のラーの目が猫神バステトと同一視されるセクメトを生みます。

つまり古代エジプト人は猫神バステトや雌ライオンの神セクメトをとても重要視していたことがわかります。
遺跡からたくさんの猫のミイラが発見されていることからも分かるように、古代エジプトで猫は人々からとても愛されていました。
人々は飼い猫をとても可愛がり、その猫が亡くなると眉毛をそって喪に服す風習があったそうです。

そんな猫大好き古代エジプト人。それを裏付けるエピソードとして、こんな話があります。

紀元前525年ペルシャ帝国がエジプトに攻め入ります。この戦いでペルシャ軍はとても奇抜な作戦を展開します。
「それが猫を盾にする作戦です」
一説ではペルシャ軍は猫を盾に縛り付け、それを見たエジプト軍は神と崇める動物を攻撃できないと戦意喪失し、結果なすすべもなくペルシャ軍に敗北したとされています。
この話に信憑性があるのかどうかわかりませんが、エジプト人の猫愛を象徴するエピソードとして好きな話です。

さて、そんな古代エジプトから始まる飼い猫の歴史ですが、その文化を世界中に広めたのは、やはり古代海洋民族です。
海洋民族とは遠洋航海を主とします。そのため船にたくさんの食料を積み込みます。その食料をネズミが狙います。ネズミは食料だけでなく、船自体も傷つけます。それを退治してくれるのが猫だった。

こういう理由から、エジプト人だけでなく古代の海洋民族も猫を重宝したと思います。
遠洋航海において、猫は欠かせない動物だったことでしょう。

ならば古代エジプトにいた人に懐く飼い猫を世界中に伝播させたのは、フェニキアの民のような古代の海洋民族であったことは容易に想像できると思います。
僕の考察ではこのフェニキア人の一部にエブス人と呼ばれる民族がいて、その人たちが日本に恵比寿信仰をもたらしたと考えています。
それを踏まえれば日本の飼い猫の歴史は、恵比寿様と一緒にこの島に到来したのかもしれません。

猫を祀る場合、この島でその信仰は多くの場合、金運にまつわるものが多いような気がします。招き猫など、その代表例です。

商売繁盛、先客万来の縁起物とされるこの信仰は、江戸の町人文化から始まったとされていますが、その源流ははるか昔、恵比寿様の到来の頃から人々の心の中に根付いていたのではないでしょうか?
なぜならフェニキア人やエブス人は海洋交易で莫大な財を成した民族でした。
いわゆる商才にたけた集団です。
それを裏付けるかのように、恵比寿様も商売繁盛の神ですし。

日本人には猫好きが多いように思います。
かくいう僕も猫好きで過去に野良猫を3匹飼っていました。
ぽーるそんというハンドルネームも今は亡きその飼い猫からとったものです。

もしみなさんの中に猫好きの方がいらっしゃるとすれば、
そんなあなたには古代エジプト、フェニキアやエブス。
それら古代民族の血が受け継がれているのかもしれません。

古代エジプトのバステトから連なる日本の招き猫。
その文化を伝播する古代海洋民族。
遺伝子の旅は時間も空間も超えて、我々が繋がっていることを証明します。


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