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【ラボ五島ベース運営責任者対談】長崎県五島市のシェアハウスで見つける自分にちょうどいい生き方とは?

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峯上良平
ニュータイプ・ラボ五島ベース 運営責任者

一般社団法人Gifted Creative代表理事
新卒入社後に鬱やひきこもり経験から、生きづらさを抱えた方たちにテレワーク就労、一歩進むための仲間、居場所を五島で提供したい。
出来る出来ないではなく、まずはやってみるが信条。

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北村尚弘
ニュータイプ・ラボ事業責任者
4bunnno3.com 代表

経営コンサルタント時代に障がい者雇用に出会い、その支援を天職に設定。独自の就労定着やセルフケアの手法を全国の福祉施設や企業に導入。その支援を天職に設定。独自の就労定着やセルフ座右の銘は「足りないくらいがちょうどいい」ケアの手法を全国の福祉施設や企業に導入。
座右の銘は「足りないくらいがちょうどいい」

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北村:僕自身も心に不安のある方の支援を手掛け、多くの企業や福祉支援者、行政にノウハウを提供してきましたが、ラボベースを立ち上げるときに「これは難易度が高い」と感じました。

峯上:確かに簡単ではないですよね。

北村:お住まい頂く方に五島という恐らく多くの方は行ったことのない離島に移住していただくこと、さらにシェアハウスという共同生活の中で、それぞれの困りに寄り添いながらも、ご本人たちがめざす方向に伴走しなければなりません。

峯上:はい、いろいろ想定外の問題が起こることもあります。

北村:だから立ち上げる際には、峯上さんも含めて責任者たちで膝を突き合わせて話をしましたよね。

峯上:その時、Giftedのある和歌山に来てくれましたね。

北村:お魚本当においしかったです(笑) で、峯上さんが手掛けるGiftedのシェアハウスを拝見し、そこに集う方々と話をして、僕が確信したのは、峯上さんが本プロジェクトの責任者になってくだされば、実現できる!というものでした。

峯上:すごく熱心に説得してくださいました。

北村:だって、峯上さんなしだと成功確率が大幅に下がると思ったんです。ところで峯上さんがGiftedを立ち上げたときのことを伺っても良いでしょうか。

峯上:では簡単に。僕には発達特性や昔から他人に良く思われたい、いい顔をしたいというところがありました。自分では無理なほど仕事を抱え込み、人に相談できずにいたところ、ある日仕事中にPC画面がまったく読めないという状況に陥りました。

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北村:なるほど。それでどうされました?

峯上:明らかにおかしいと感じたので、自分で精神科を受診しました。診断はうつで、その日から休職をします。時折産業医との面談をし、処方された薬も飲み続けていましたが、一向に回復する様子はなく、それどころか生活は乱れ、お酒に走ることも多かったです。

北村:休職はどのくらいされたのですか?

峯上:1年半です。残り半年くらいから、なんとか復職しようと無理をし、医師への報告も嘘を交えながら、なんとか1年3か月ほどで復職しましたが、そんなことでうまくいくはずもなく、また1か月で休職となりました。

北村:休職者のあるあるパターンですね。

峯上:そうなんです(苦笑)。その後会社からの勧めもあり入院もしましたが、ただ辛かったので懇願して2週間で退院しました。処方される薬の影響で何もできなくなり、逃げ帰るように実家に戻り、仕事も辞め、さらに1年間引きこもりました。生活リズムも昼夜逆転し、食事もまともに取れず、夜中になると冷蔵庫を漁り、シャワーも時々しか浴びないような生活をしていました。

北村:本当にお辛い経験をされたのですね。その後ターニングポイントがあるのでしょうか?

峯上:実家が農家なので、親から少し手伝わないかと言われました。最初はいやいやだったのですが、体を動かしているうちに、失われていた感覚がもどってくるのを感じました。食事をおいしいと思うようになったり、風呂が気持ち良いと感じるようになったりですね。

北村:なるほど、回復に大切な要素がこの中に隠れているように感じますね。自分では仕方ないと思いながらも、心のどこかでは悔しさや何もできていない後ろめたさから自己評価が下がっていたのかもしれませんね。働くことは自分を認める行為にもなりやすいと感じます。

峯上:すっかり回復すると、今度は実家の手伝いだけでは収入が少ないことが次の課題になりました。そこで自分で興味のあった時計の修理業を始めます。さらに自分の状態にも興味がわいたのでメンタル疾患のことを勉強し、コーピング技術(ストレスを回避する手法)を高めることなどにも取り組みました。

北村:まさに峯上さんがよくおっしゃる、最初にライスワーク(生活をするためのお金を稼ぐ活動)から始め、次にライフワーク(自分を満たすための活動)ですね。Giftedを始めるのは自分の体験や培ったノウハウを、ほかの方にも提供したいという思いがあったのでしょうか。

峯上:それもありますが、実は大切な友人が過労ストレスから自殺を選んだときに何もしてあげられなかったという経験も、僕がGiftedを立ち上げる大きな理由です。

北村:ご友人を救うことはできなかったけれど、大きすぎる心の不安で苦しむ方はまだまだ多いはずだから、適切な対処を提供することでお役に立ちたいと考えているわけですね。いま峯上さんは実現したいことのどのくらいまで到達したと思いますか?

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峯上:和歌山で4つのシェアハウスを運営していますので、和歌山ではこれ以上拡大はせず、全都道府県に1つ以上の同様の居場所を立ち上げたいです。ですからまだ10%もできていません。

北村:そんな折に以前からつながりのあった当社から、長崎県の五島でシェアハウスを運営するので少し力を貸してほしいと依頼があったわけですね。

峯上:はい、その時はここまでガッツリ入り込むとは思っていませんでしたが、タイミング的にはチャンスだと思いました。生きづらさを抱えた仲間達と共に作り上げたGiftedですが、今後全国に拡大するには、仕組み化が必要だと考えています。今でも仲間が運営の一端を担ってくれて、私がいなくても基本運営されるようになってはいますが、ゼロから仕組みを作ることは僕しかできていません。私としてはラボベースを運営する中で、まずは和歌山以外での成功体験をつくり、私と同じことをしたい方を増やしていく活動をしたいと思っています。

北村:なるほど、素敵ですね。障がいのある方の仕事は清掃や、農園という考えが進んでいる現状があります。もちろんご本人がそれを望むのなら構いませんが、ステレオタイプになっている部分がありますね。

峯上:はい、本来もっと個人の考え方で選択肢はたくさんあったほうがよいと思います。

北村:僕は自分の娘が将来もし同じような症状になった時に、そのステレオタイプに従わなけばならないという価値観を好きになれません。誰もが一時的に心が苦しくなって足踏みしても、素直に助けてと言える社会であって欲しいですし、お手伝いできるノウハウにあふれていて欲しいと思っています。お互いの経験をラボベースに注いで、素晴らしい社会を実現する一歩にしていきましょう。

峯上:はい!

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