生成AIの導入事例を業種別に紹介。傾向が明らかに。
こんにちは。
生成AIって儲かるの?という視点で業界を追っている、パトルです。
今回は一般企業がどの程度生成AIを導入しており、業種別にどのように活用しているのかを紹介します。
日本での生成AI導入状況
令和5年8月7日経産省の資料によると、日本では、大企業の24%、中小企業の9.1%が生成AIを活用しています。また、2023年7月28日東京商工会議所の資料では、生成AIを活用していると回答した中小企業は5.7%でした。
この数字にはChatGPTを無料で使っている企業も含まれているにも関わらず、ほとんどの企業では生成AIが使われていないというのが実態です。
業種別動向
それでは、お金をかけて生成AIを導入している会社はどういう会社か見ていきましょう。それらの企業は投資対効果が見合うと考えたのでしょうか。お金をかけるといってもOpenAIのChatGPT Plusを契約するだけであれば月額20ドルなので、システム構築をした企業を対象としました。これは業種によって傾向が出ました。
※引用元 日経XTECH『ChatGPT産業革命』
金融業
三菱UFJフィナンシャル・グループ
行内の文書検索や企画書の作成補助、支店業務での顧客対応支援
三井住友フィナンシャルグループ
AIアシスタントツール「SMBC-GPT」を今秋全行員へ展開
みずほフィナンシャルグループ
稟議書や契約書作成支援、社員からの照会対応、データ収集、コード生成
東京海上日動火災保険
保険代理店からの照会対応
損害保険ジャパン
プログラミング支援。約款の要約
金融業は、コールセンターや窓口業務があるため、チャットボットのニーズが高いためChatGPTとの親和性は高いです。
商社・製造業
伊藤忠商事
生成AIを用いて企業変革を行う
日清食品ホールディングス
3600人にChatGPTを活用したAIサービスを公開
パナソニックホールディングス
9万人にChatGPTを活用したAIサービスを公開
ベネッセホールディングス
1万5000人にChatGPTを活用したAIサービスを公開
金融業より導入目的の抽象度が高い印象です。業務効率をあげるために検証的な用途で導入しているケースが多いようです。それだけであれば無料のChatGPTで良さそうですが、大手企業は情報漏洩やセキュリティの問題を懸念するため、Azure OpenAI Serviceなどのプラットフォームサービスを経由して導入しています。
建築業
大成建設
Azure OpenAI Serviceを導入
大林組
生成AIで建物の外観をデザイン
燈
議事録や鵜面データを対話形式で検索したり仕様書を自動生成する
mign
画像生成で建物のイメージを生成する
VUILD
生成AIでデザインした家具をユーザーが製作できる
建設業に関しては様々なサービスが出ているのでベンダーも列挙しました。
バックエンドの業務効率化だけでなく画像生成によってデザインの叩き台を作成するといったサービスも出てきています。
広告業
サイバーエージェント
自社LLM構築。広告効果測定、キャッチコピー生成
博報堂DYホールディングス
キャッチコピー生成、広告効果測定
電通デジタル
全社員にChatGPTの利用アカウント配布、キャッチコピー生成
オプト
コピー文の作成業務支援、デジタル広告の効果予測
広告業はもっとも生成AIの影響が大きい業界の一つです。サイバーエージェントはAI活用を効率化するために10億円近くかけて自社LLMを構築しています。業務が効率化だけでなく広告の質を向上させる取り組みがされています。
生成AIは、金融業、建築業、広告業などすごくはまる業界があります。その他の業界では、AIアシスタントとしてどう活用するかを検証している段階といえるでしょう。セキュリティをそこまで気にしないのであれば、無料のChatGPTを使いながら検証していくのでも良さそうです。
(参考)導入コスト
Azure OpenAI Serviceを導入する場合の概算コストをご紹介します。システム構築はそれなりのコストがかかります。以下の金額に加えて使用量によってAzureの利用料が発生します。(使用量にも寄りますが大体一人2千円~3千円/月)
※以下の業者をオススメしているわけではありません。各自の責任にてご確認ください。自社で対応するのが一番理想です。
株式会社インターネットイニシアティブ
初期費用:1,500,000円
運用費用:200,000円
富士ソフト
初期費用:1,500,000円~
運用費用:50,000円~
株式会社システムサポート
イニシャルプラン:1,500,000円
月額プラン:50,000円
結論
今後、生成AIは世の中に普及していくことが予想されるため、生成AIの使用を推進しなくても、勝手に業務で使う社員も出てくると思われます。そのため、まずは社内ガイドラインを策定して社員に周知するのはリスク管理上も重要です。また、実務で少しずつ検証をしていくことでコストをかけて環境構築をする必要があるのか判断ができるようになってくると思います。
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