海外のAI教育を紹介します
教育関係者や保護者の多くは子どもにどうAIを使わせたらよいか迷っているのではないでしょうか。実は、米国では5年ほど前からAI教育が盛んに行われています。つまり、ChatGPTが出てくるよりもずっと前からです。
米国のAI教育ではChatGPTを宿題で使わせていいか、といったことよりも根本的な教育を施します(最近ではChatGPTの教育もありますが、基本はその他のAI教育と同じです)。AIの本質を理解すれば、ChatGPT、ディープフェイク、SNS中毒などAIに関する問題すべてに対応ができます。
誰が教えるか
米国では、基本的に学校の教師がAI教育を行うことが想定されています。学校の教師に対してはNPO団体がオンラインの教育プログラムを提供しています。米国での主な団体はDay of AIとaiEDUです。aiEDUは高校生向けのAI教育に特化しています。Day of AIはMITメディアラボの関連団体であり小学生から高校生まで教育プログラムを用意しています。
日本では「AIみらいの冒険家」が教育プログラムを日本語で紹介しています。実は海外のAIカリキュラムの調査と基本的な記事の作成は私がボランティアで行いました(編集は別の方がされています)。
ここからは海外のAI教育がどのようなものなのか簡単に説明したいと思います。具体的な内容に関しては是非上記の記事をご覧ください。
技術的な知識は必要か
必要ありません。ほとんどの内容が技術に疎い中学生でも理解できるレベルになっています。むしろ技術がわからない子にもわかるようにAIをお料理に例えたり、ChatGPTを物語作成に例えてイメージがわくように工夫されています。
なぜAI教育が必要か
米国のAI教育を俯瞰してみた上で感じることは、AI教育の目的は「AIの仕組みを知る」ことであるといえます。AIの仕組みとは、①データを学習する、②データがAIシステムに組み込まれる、③AIシステムからデータを取り出す、ということに収斂されます。これをお料理などで例示して理解を深めます。①材料を用意する、②料理をする、③食べる、といったイメージです。
AIの仕組みを理解していると、現在、AIで問題視されている、個人情報の問題、AIが間違えたことを出力したり、バイアスが発生する理由が実感としてわかるようになり、AIリテラシーが高まります。
教育内容
教育内容を考える上で、まずAIの問題点を理解する必要があります。AIでよくいわれる問題点は大体以下の通りです。
SNSで個人情報が抜かれて広告やリコメンドに利用される
ChatGPTなどで間違えた情報が出力される
AIの偏見(バイアス)による差別が行われる
ディープフェイクで虚偽の情報が流布される
生成AIによる著作権無断使用
顔認証で特定の人種で認証がされない
AI教育で行うことは上記の問題に惑わされない教育を施すことです。具体的には以下の内容です。下2つには答えはなくディスカッションをリードします。また、単なる座学ではなく動画やワークを通じて理解を深めていきます。
AIとそうでないものの見分け方
AIの仕組み
ディープフェイクの仕組み
SNS、検索エンジンの仕組み
ChatGPTの仕組み
ChatGPTの使用ルールを作ろう
個人情報の収集をどこまで許すべきか
これらを学ぶことで、ChatGPTではなぜ誤った情報が出力される可能性があるのかを理解して、ChatGPTの仕様にあった使い方をすることができるようになります。また、SNSでリコメンドされる情報は、世界中の人が興味があるから表示されるのではなく、自分の閲覧情報を元に表示されたものであり、情報には偏りがあることを知ることができます。
所感
日本でもAI教育の重要性がいわれていますが、メディアの報道を見る限りそれぞれの教育現場で手探りで活動をされていると感じます。また、ある程度ノウハウがある先生が主導されているため、多くの学校では教育が困難であるとも感じます。日本でもNPOを作るなど組織的に対応できる体制が必要だと思います。また、学校の先生がキャパオーバーになっているという問題もあります。外部講師を使ったり、オンラインレッスンも視野に入れる必要もあるでしょう。
※教育関係者で詳しく話を聞かれたい方は個別にご連絡頂ければ対応します。
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