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ビルゲイツによる2023年の総括(和訳)

こんにちは、パトルです。

マイクロソフトの創業者であるビル・ゲイツ氏は毎年年末に「ゲイツノート」という記事を公開します。内容は政治、経済、国際、環境、ヘルスケアなど多岐に渡ります。読書家であり今でも様々な国際会議に参加しているゲイツ氏の知見が集約されています。

ただ実際に見てみるとわかるのですがとにかく分量が多い!英語でこんなに読めないよ!という方が多いのではないでしょうか。そこでClaudeというAIを使って和訳しました。


※以下和訳

私にとって、今年は孫の祖父になった年でした。大切な時間を家族と過ごした年でもありました。ピクルボールコートで遊んだり、激しいカタンの対戦を楽しんだ年でもあります。また2023年は、AIを真剣な用途で使ってみた最初の年でもありました。友人のために風刺的な歌詞を生成するだけでなく、仕事にもAIを使ったのです。

今年はAIが未来をどう形作るのかの手がかりを得た年でした。2023年が終わろうとしている今、私は今日の若者が受け継ぐ世界について、これまで以上に考えております。昨年の手紙では、孫の祖父になるという見通しが、生まれてくる世界について省みる機会になったと書きました。今では、彼女の世代が指導力を握る数十年後の世界がどうなっているか想像できるようになりました。

彼女が使うであろう道具の姿が目に浮かびます。大切な人と交信する方法も想像できます。これらのイノベーションが解決に導く問題も見えてきたと思います。AIがどのような種類の仕事を自力でこなし、どのような仕事でコパイロットとして機能するかについて、私たちはもっとよく理解するようになったと信じております。またAIが、教育、メンタルヘルスなどへのアクセスを改善するためにどのように活用できるかも、これまで以上に明確になってきたと思います。世界に存在するひどい不平等を、AIが削減するのに役立ち、悪化させないことを期待しております。私は常に、イノベーションの力が、全ての子どもに平等なチャンスを生き延び育つ機会を与えると信じてまいりました。AIも例外ではないと思っております。

新しい時代の初期には、多くの変化が起こるものであります。インターネットの始まりを思い起こしていただければと存じます。当初はほとんどの人がそれを利用している人を知らなかったでしょう。しかし徐々に普及していき、ある日気が付けば、多くの人がメールアドレスを持ち、オンラインショッピングをし、検索エンジンで質問に答えを求めていることに気づかれたことと存じます。

私たちは今、その移行期の最初の段階にすぎないと考えております。興奮と戸惑いが入り混じる時期であると感じております。AIを最大限に活用する方法が分からない人は、決して一人ではないだろうと思っております。今年の財団の戦略レビューのために、AIが正確に要約できる数百ページに及ぶ資料を読むつもりでした。しかしながら習慣は断ち切ることが難しく、いつも通りの方法で準備を整えました。

もちろん、AIは2023年を特徴づける唯一の要素ではありませんでした。ロシアによるウクライナ侵攻とその後の戦争の影響下で、計り知れないほどの悲しみに暮れている人々が今も大勢おられます。エチオピアでの戦争の影響も忘れてはならないと考えております。イスラエル人とパレスチナ人の間で続く容認しがたい苦しみを拝見するにつけ、心を痛めております。スーダンの人々の状況も同様であると受け止めております。同時に、気候変動が引き起こすより頻繁な異常気象のために、より多くの人々が困窮することを強いられていると理解しております。世界中の家族は、インフレと緩やかな経済成長の影響を今も受けていると拝聴しております。

確かにこれらは困難な時代であると思いますが、未来について楽観しております。イノベーションのスピードはこれまでになく速いと実感しております。アルツハイマー病、肥満症、鎌状赤血球症など、何百万人もの人々の生活を改善する困難な問題の解決に大きな進展があると認識しております。亡き友人ハンス・ロスリングが言っていたように、「事態が深刻であっても、状況は良くなりつつある」ことがあると思います。毎日、前進が可能で、実際に起きていることを思い起こさせてくれる良い言葉だと感じております。

私の仕事は、世界がどのように良くなりつつあるかの洞察力を与えてくれることに恵まれていると思っております。直面する課題は、それらに対処するのに実際に何が必要かを理解すれば、それほど脅威を感じなくなると信じております。今年の手紙では、楽観すべき理由のほんの一部を共有したいと考えております。少なくとも私は、控えている進歩についてそのほど興奮している次第です。

AIはイノベーションのパイプラインにさらなる推進力を付与しようとしている

私の仕事は常に、イノベーションこそが前進の鍵であるという信念に基づいていると自負しております。それがマイクロソフト設立の理由であり、20年以上前に妻メリンダとゲイツ財団を立ち上げた理由でもあります。

イノベーションこそが、この100年間で私たちの生活がこれほどまでに改善した理由であると考えております。電気、自動車、医学、航空機に至るまで、イノベーションは世界をより良い場所にしたと信じております。今日、IT革命のおかげで、はるかに高い生産性があると認識しております。最も成功した経済は、変化する世界のニーズに合わせて進化するイノベーティブな産業によって動いていると分析しております。

しかし、私の一番気に入っているイノベーションの話は、私の好きな統計から始まります。2000年以降、世界は5歳未満の子どもの死亡者数を半減させたとのことです。

一体どのようにこの偉業を成し遂げたのでしょうか。大きな理由の一つがイノベーションであると考えております。科学者の方々はワクチンを、同じ安全性を保ちつつ、より迅速かつ低コストで製造する新しい方法を編み出されました。世界最貧国でも使用できる新しい投与メカニズムを開発されました。子どもたちを致命的な疾患から守る新しいワクチンを創り出されたのです。

資源が限られた世界においては、投下した全ての資金を最大限生かす方法を見いださなければなりません。そこでイノベーションが極めて重要な鍵となると考えております。世界の保健分野は、世界で最も深刻な栄養失調率を抱える低所得国で使用されることを確実にするため、こうしたAIプロジェクトのコストを下げる方法を模索していると承知しております。

次のステップは、広範な規制当局の承認と、品質・信頼性・安定性の高い製造の拡大であると考えております。世界保健機関(WHO)はすでに、これらのプロバイオティクスの使用方法に関するガイダンスを発表しており、大きな障壁を取り除いたと評価しております。直接乳児に投与される液体版など、他の剤形での継続研究についても楽観しております。

妊娠中の母親にプロバイオティクスのサプリメントを投与できれば、その子どもの腸内環境を生後間もなく正しい軌道に乗せることができる可能性があると考えております。こうした生体治療薬がどのような形態をとるべきか、あるいはどのように投与されるべきかは、まだ初期研究段階であるため不明確ですが、健全なマイクロバイオームが妊娠後期に1日当たり追加で5グラムの体重増加を子どもにもたらすことを研究は示していると理解しております。

この10年間で、小児医療分野は私の想像を超える速さと距離を駆け抜けてきたと実感しております。人生でこれほどまでに迅速かつ劇的な進展を目の当たりにできるとは思ってもみませんでした。マイクロバイオームという完全に見えないものが、世界で最大の健康格差の一つに対処する主要な戦略であることが明らかになったことに驚嘆させられております。来年にわたしたちがさらにどれほど学び、その知見を使って命を救うことができるのかを、楽しみにしております。

気候変動に関する会話は、新たな局面に入った

国家元首、学生活動家、企業トップ、慈善家を一堂に会し、気候危機に取り組むことを要請したらどうなるでしょうか。驚くほどの前進が実現することが分かりました。

今月上旬、ドバイで開催されましたCOP28会議に数日間参加させていただきました。これが私にとって3度目のCOP参加となります。パリとグラスゴーで開催された会議にも伺ったことがあります。

こうした会合は、気候変動対策が時の経過とともにどのように進化しているかを追跡するのに適していると考えております。常に若い気候活動家の皆様からの情熱に圧倒されております。特に今回のCOPでは、緩和策、とりわけクリーンエネルギーに対する議論の高まりに注目しました。

過去のCOPでは、風力発電と太陽光発電の拡大に焦点が置かれていました。今回のCOPでは、農業や製造業など、大量の排出源となっているその他の分野に関する議論が大変多かったと受け止めております。気候変動の原因となる二酸化炭素の排出量を増加させているのは、こうしたセクターであると考えられます。各国の指導者が、多様な源からエネルギーを確保する方法を真剣に検討していることも明確だと感じ取りました。風力と太陽光はその未来の重要な一部を占めますが、指導者の方々は太陽が隠れたり風が止んだときの補完的なさらに信頼できるエネルギー源が必要であると今では認識されていると拝察しております。

それにはますます原子力が含まれるようになってきたと実感しております。

「原子力は、夜間も昼間同様、四季を通じて、地球上のほとんど全ての場所で、大規模に機能することが実証された唯一の二酸化炭素を排出しないエネルギー源です」

この1年で、原子力に対する全体的な受容の大きな移行が見られたと認識しております。過去に原子力について議論を交わすと、多くの人が抱いている脅威ではない理由を説明する必要があったと記憶しております。しかしながら最近は、なぜ原子力が必要なのかを説明するよりも、この技術をどのように拡大していくかを説明する時間を大幅に費やしていると実感しております。2050年までに原子力発電容量を3倍増加させるとCOPで20数カ国が表明したことを嬉しく思っております。

この変化に対する理由の一つが実利的なものであると分析しております。原子力は、二酸化炭素排出量ゼロを達成しつつ、地球上のほぼ全ての場所で、昼夜を問わず、四季を通じてエネルギーを安定的かつ大量に供給できることが実証された唯一の炭素フリーなエネルギー源なのです。各国が気候変動対策の計画を達成していくにつれ、より多くの方々が、二酸化炭素排出量ゼロと世界の増大するエネルギー需要に対処するためには原子力発電が必要であることを認識しつつあると考えております。

原子力エネルギーの経済性について懐疑的な方もまだ多いと思料いたします。新しい原子力発電所の建設費は極めて高額だからです。ケマラーの発電所がそうした疑念の一部を払拭してくれることを願っております。建設ピーク時には1,600人の工事関係者が雇用される見込みです。完工後は200~250人の方々を恒常的に雇用する計画だと拝聴しております。近々閉鎖されることになっている現地の石炭火力発電所の労働者の方々も含まれるとのことでした。

2024年にはケマラーで、ナトリウム試験施設の建設が始まる予定です。これはTerraPower社が原子力発電施設建設に向けた作業を進めるNext Stepとして大変重要な一歩であると位置づけております。

TerraPower社は核分裂炉を利用していると理解しております。ほとんどの方が原子力発電所を想起したときにイメージするもので、原子核を割ることでエネルギーを生成する仕組みです。一方で科学者の方々は、原子核を融合させてエネルギーを発生させる全く新しい種類の炉も研究されています。このプロセスを核融合と呼び、太陽の原動力と同じプロセスなのです。

ほぼまさに1年前のことですが、ローレンス・リバモア国立研究所の科学者の方々が、投入したエネルギーよりも多くのエネルギーを生成する初の核融合反応を成功させられました。これは極めて偉大な成果であり、大きな一歩であると評価しております。この技術はまだ研究開発段階にあるものの、楽観視する理由が十分にあると考えております。

問題の複雑な分野であっても着想から現実のものへ移行していく様子を拝見するのは、常にワクワクするものであります。COP訪問のハイライトの一つは、技術系スタートアップのゾーンを見学できたことでした。そこの企業の多くは、世界が8年前のパリCOPで気候変動対策へのコミットメントを宣言したときにはまだ存在していなかったと拝察しております。

2024年以降、新しいイノベーションが市場に次々登場してくるものと予測しております。極めて複雑な分野、例えば原子力分野でさえも増えていくことでしょう。気候危機は時として圧倒的に思えますが、なされつつある進展に焦点を合わせることで楽観的でいることができると実感しております。世界がイノベーションへの資金提供を引き続き最重要課題とし続ければ、気候変動対策の目標達成に向けて良好な進展を遂げられるものと期待しております。

2024年の選挙は、世界の保健と気候の未来を形作る

最近ある統計を拝見して驚かされました。2024年は史上最多の有権者が投票する年になるかもしれないとのことです。

来年にはほぼ60カ国の市民の方々が、あらゆるレベルの政府指導者を選出するために投票所に参ります。それらの国々には世界人口の半数以上にあたる40億人以上の方々が生活されているとのことです。圧倒的な数だと思料しております。

アメリカ、インド、南アフリカなどの国政選挙が最も注目を集めることでしょう。しかし、世界中で何十億人もの方々が、知事、市長、地方議会議員などを選出されます。あらゆるレベルの政府が投票の対象となります。毎年の選挙が重要であることに変わりないものの、2024年の有権者数の大きさゆえに、その結果がこれまでになく強い影響力を世界の未来に与えることでしょう。

来年投票権を行使なさる全ての方々に向けた一つの願いということであれば、国境を越えて人々に支援と助力を差し伸べる重要性を認識し解除を守る指導者を選出していただきたいと思っております。歴史が繰り返し証明しているとおり、一国の政府が国外の人々とかかわり支援することを選択したとき、全世界が利益を得ることになるのです。

その先見の明の素晴らしい実例である計画が20周年を迎えた今年まさに好例であると受け止めています。正式名称を「米国大統領エイズ救援緊急計画」というその計画は、ジョージ・W・ブッシュ元大統領によって始動しました。それ以来、この計画によって2500万人の方の命が救われ、1000億ドル超の資金がエイズ予防と治療のために投入されたと理解しています。

アフリカ諸国の経済に対する負担を軽減することで、2003年以降アフリカの貧困率は3分の1以上低下したと分析しております。

これが各国政府が支援すべき施策の好例であると考えます。しかしながら、経済危機の影響で、世界の保健優先課題への国際的な資金提供が削減され、気候危機という新たな課題への世界的な支援が求められる状況が生まれていると認識しています。

保健と気候の両面において、2024年の選挙は分岐点となる重要な一年になると見ています。選出された各国の指導者の決定が、これらの分野で今後どの程度の前進を遂げられるかを左右するからです。

保健面では、COVID-19パンデミックによる後退を取り戻すだけでなく、さらなる前進を遂げる必要があると考えます。

評価する最良の方法は、5歳未満の子どもの死亡率を分析することだと思われます。1990年以降、5歳未満児死亡率は年間1200万人から500万人へと減少したと理解しています。これは驚くべき成果であり、世界保健機関(WHO)の様々な計画やワクチン同盟のような組織の成果でもあると考えられます。残念ながら、COVID-19の影響やその他の要因により、2030年までに5歳未満児死亡率を再び半減させるという国連の目標を達成することは不可能であると思われます。しかしながら、各国政府が対外援助の公約を堅持または増額することができれば、達成は次の10年以内には可能になるでしょう。

また、次のパンデミックに対する準備が、私が想定していたほどには進んでいないことに失望している次第です。これについては過去の手紙でも繰り返し述べさせていただいた通りです。世界がすべき事項に変更はなく、引き続き必要不可欠な課題です。政策立案者の方にとって、後悔するに時期尚早である前に、パンデミックへの準備を最優先課題とするときが来ていると信じています。

以上が保健分野における見解であり、気候変動分野では前章で述べたように全体的な進展について楽観しております。しかしながら、2050年までの脱炭素社会実現に向けた次の5年間が極めて重要であることに変わりありません。

COPにおいては、多くの世界指導者が気候変動対策イノベーションへの支援を表明されていたことを嬉しく思っておりました。すでにその一部が新たなブレークスルーの開発に充てられているものの、コミットされた資金の多くがまだ投入されていない状況です。例えば、米国の場合、歳出削減法や両党インフラ投資法に基づく資金は今後5年間で各地のコミュニティに配分される計画と理解しています。世界の多くの国も同様の状況にあると考えられ、こうした投資の遅延や中断が起こってはならないと危惧しています。

この10年間は、送配電網の改良と電力伝送ネットワークの拡充にとっても極めて重要な時期であり、クリーンエネルギーの発電で世界は信じられない進歩を遂げましたが、適切なインフラ抜きにはその可能性を十分に生かすことができません。これには、特に地方の指導者の皆様からの支援が不可欠であると考えています。

我々が直面している課題は確かに大きなものである一方、政策立案者には可能な限り多くの選択肢を検討いただくことが極めて重要だと考えています。過激主義や分断が選択肢を制限することがあってはならないと思います。

以下の点を考えていただきたいと思います。脱炭素社会の実現には、気候変動対策としての様々な技術的ブレークスルーを組み合わせる必要がありますが、その最適な組み合わせが何であるかは現時点では分かりません。世界が現在、大きな賭けをしているイノベーションの一部が結果的に機能しない可能性があります。しかし、他の選択肢が利用可能であれば、大きな問題にはならないと考えます。直面する大きな課題に対して先を見越した対策を立て、時間経過とともに最大のインパクトを持ち得るものは何かを考えることが必要です。

先ほど申し上げたように、イノベーションこそが前進の鍵を握ると信じております。イノベーションを加速化させるには、政治の指導力と民間企業の指導力が均等に必要であると考えます。来年、世界中の有権者の皆様が国政・地方選挙で立候補される方を選択なさるに当たり、必要なイノベーションを推進できる指導者を選出していただきたいと考えております。それらの成果が最も支援を必要としている人々のもとに確実に届くことが極めて重要だと信じています。

2024年に向けての準備

今年10月に亡くなられた友人のチャック・フィーニー氏を最近しばしば想い出しています。フィーニー氏は「生前に施す」という概念の大きな支持者でした。別の年が終わろうとしている今、その理念を真に体現することの意味を省みているところです。

私にとってそれは、自分自身に絶えずある質問を投げかけることを意味します。最大限の人々に利益をもたらすために、現在及び未来において、自分の資産をどう生かせるかという点です。答えが明確なときもあれば、そうでないときには自分のすばらしい同僚や家族、友人の洞察力、道義的明晰さ、データを頼りにすることにしています。

子どもたちが成長し、自分で信頼できる知恵の源となっていくのを見守るのは特別な喜びでした。今年のハイライトの一つは、末っ子のフィービーとゲイツ財団のゴールキーパーズ・イベントのステージを共有できたことでした。3人の子どもたちは常に、若者が世界をどう見ているか、最新のTikTokトレンドが何なのかを教えてくれます。

年末年始の休暇を彼らと過ごし、少しリフレッシュできるのを楽しみにしています。子どものころの私には、休暇や週末の概念がまったくなかったのですが、特に父親になってから、仕事だけが人生というわけではないことに気づきました。 閣下にも年末年始には楽しいひとときを過ごし、リラックスした上で2024年を迎えていただければと思います。

以上

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※画像はすべて上記の記事から引用。
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