転職は年収アップの手段?年収アップに必要な3つの原則
転職をするなら年収アップをしたい!多くの人がそう考えます。その考えを否定するわけではありません。私だってもし転職をするのなら、自分を高く評価してくれる会社に行きたいと思っています。
一方で、年収アップに関して安易に考えている人が多いという印象を受けています。
では、年収について重要なポイント、年収アップに必要な原則について現役転職エージェント勤務の私が解説します。
年収について重要なポイント
まずは、年収について語る上で重要なポイントをお話します。
採用は企業にとっての投資
企業がなぜ、採用をするのかというと、自社を成長させるために必要な投資をするためです。
自社の成長を何で測るのか、これに関しては色んな議論がありますが、資本主義経済の観点で言えばどれだけ「儲けられた」ということに尽きます。
つまり、会社が人材を採用するのは、投資家が不動産屋や株を購入してお金を生み出す感覚に近いと考えて良いでしょう。
そして、一般的には投資をする人は「安く」て「いい物」を買いたいと考えます。少なくとも何のメリットもなしでバカ高いものを買う人はいないです。
何を当たり前のことを言っているのかと思うかもしれませんが、今世間では「転職すれば年収が上がる」という理論がまかり通っており、この投資の原則とかけ離れた人材会社の宣伝文句が浸透している現実があります。
もし、転職で年収アップを目指している人がいるのなら、採用は企業にとっての投資(買い物)であり、できる限り安いコストで採用したいのだから年収アップの転職は本来理にかなっていないということを理解してください。
採用は市場価値と採用企業の予算が全て
そんなこと言っても、年収アップして転職している人は沢山いるんじゃない?って思っている方もいます。それも正解ですが、実はほとんどの人は年収が変わらないか、下がっているのかのどちらかです。
平成30年の厚生労働省の調査結果を見ると、転職で年収が上がっている人は全体の37%にしか過ぎません。残りの63%の人は、転職で年収が下がっているのか、上がりも下がりもしない人なのです。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/19-2/dl/kekka_gaiyo-04.pdf
では、年収が上がる人はどういう人なのかというと、大きく以下の3点に分類されると考えて良いです。
・ 市場価格から考えたら今の給料が明らかに安い人
・ 市場価格通りの年収だが会社の予算上の都合コストを上乗せができる
・ 希少価値が高く、お金を積まないと採用(購入)できない
結局、年収は市場価値と採用企業の予算で決まります。年収を上げたいのなら、自身がそれ相応の価値があると客観的に証明できる材料が必要です。
お金は後でついてくる
会社にとって利益を出した働きをする人には、昇給という仕組みで給料を上乗せしてくれます。
仮に正当な働きを認めてくれないで給料を出し渋る会社にいたとしても、成果を出すことで市場価値が上がり、転職することで自然と年収が上がります。
転職した直後に年収が上がらなかったとしても、働きを正当に評価してくれる会社へ転職することができたなら、そこから得られる給料は増えます。(もし、増えないなら転職する会社を間違ったということになります。)
なぜなら、会社の成長は「お金」である以上、利益を生み出す社員に出ていってほしくないと考えるため、利益の分配率を増やしてでも残って欲しいと考えているからです。
さらに言えば、会社に利益を出す人材には多く分配をしたいけど、利益を生み出さない人間には利益の分配を下げたいと思っています。(だからこそ会社は人事評価制度構築に高いコンサル料を払うのです。)
つまりは、今いる会社でも転職した会社でも利益を生み出せる人間になれば自然とお金が増えるというのが世の中の仕組みだと言えます。
年収アップをするために必要な3つの原則
では、年収アップをするためには何が必要なのかということについて論じていきます。
① 仕事ができる人になる
仕事ができる人、会社にとって多くの利益を出す人には高いお金を払いたいというのは10中8~9の経営者が考えることでしょう。
何を当たり前のことを言っているのかと思うかもしれませんが、結構この原則を忘れている人が多いように思います。
給料が安いと嘆く前に、まずは高い給料をもらうのにふさわしい人になっているのか、もしもなっていないのなら仕事で高い成果を出すために何をしなければならないのかということを考えるところから始めましょう。
② 何を変えたら仕事で成果を残せるのかを考える
頑張っているのに成果が出せない人は成果を出すためのボトルネックがあるから成果が出ないのです。その要因を分析しましょう。
その要因を分析すると、以下のような結論に行きつくのではないでしょうか。
・ 環境要因:市場環境が適さないので会社に利益が出ない
・ 能力的な要因:仕事に適性がない
・ 戦略・戦術的な要因:努力の仕方、仕事の進め方がダメ
つまり、市場環境、能力、戦略・戦術のいずれかに問題があるのか、複合的な問題があるのか、それに尽きます。年収を上げたいのに、成果が出ていない人は何に原因があるのかを認めそれを解消すれば成果が出るのです。
適性がないなら、自分の適性が何かを客観的に見つめ直して適性のある仕事に就く、市場環境が悪いなら、市場環境の良い業界・領域に行けばいい、戦略、戦術がダメなら仕事の仕方を見つめ直して実行すればいいのです。
簡単なことではないのは私も重々理解していますが、自分を客観視することの重要さを理解してください。
③ 年収アップには人物面で評価される必要がある
では、年収アップの転職を実現するためにはどうすればいいのかですが、市場価値や会社の予算などが複合的に絡むため絶対的な年収アップの方法はありません。
ただし、年収が上がりやすい人は能力×戦略・戦術×人物の総合評価が高い人だと私は感じています。
年収が上がる人というのは、当たり前ですが仕事ができて、会社に利益をもたらす人です。しかし、仕事ができる人=会社に利益を出せるのかというとそういう訳でもありません。
上述といったことと矛盾していないか?と思うかもしれませんが、会社は人の集合体である以上、現社員と一緒に働いて良い影響を生み出す人を採用したいというニーズもあります。
そのため、面接面で有能な人が面接で見送りになる場合、「人物的に社風と合わない」など非常に曖昧で納得しがたい理由が伝えられることがあります。
仕事ができることは重要ですが、人間力の向上も年収アップに必要なことなのです。
人間力のアップと一言で言われても難しいと思いますが、私はいかが人間力を構成する要素ではないかと考えています。
・ 地頭
・ 意欲
・ 明るさ
・ 人情
ビジネスはお金だと言いましたが、お金を生み出すためには信用があって初めて会社にお金を出してくれます。この信用を生み出すものが「人間力」ではないでしょうか。
仕事ができる人になることに加え、一緒に働きたい人に慣れることが年収アップにおいて重要なのです。
まとめ
・ 会社の採用は投資
・ 投資価値のある人に対し、予算と適正価格をベースに年収が決まる
・ 仕事さえしっかりしていれば年収は後からついてくる
・ 年収アップのためには仕事ができる人になることが大事
・ 仕事ができる人になるためには、仕事ができない要因を解消する
・ 仕事ができるだけでは年収アップはできない、人間力も評価されている
こんなことを言いながらも、私は採用企業に年収アップの交渉をしていますし、転職エージェントである以上、必要なビジネスプロセスだと考えています。
しかし、年収アップ交渉をする場合、大事にしていることは「根拠」です。そして、その根拠とは、市場価値、適正年収であり、良い人材だと自分が評価した人にだけすると決めています。
年収アップって転職希望者の方は簡単に言いますが、そんなに簡単なことじゃないです。逆に言えば、お金を出す価値のある人に対しては何も言わなくてもそれ相応のお金を積みます。
給料面での不満は沢山あると思います。私自身も自分の給料で会社の不満をお酒を飲みながら話すことは0ではありません。
ただ、自分の生活を守ることにばかり目を向けるのではなく、ビジネスパーソンとして自信を客観的に評価し、年収を上げるためには何をしなければいけないのか真摯に向き合って頂きたいと考え、本記事を作成いたしました。
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