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「笑顔の意味は?」~2019 J1 リーグ第32節 vs 湘南ベルマーレ~【レビュー】

皆さんこんにちは、太古の森と漆黒の獣です。

湘南戦のレビューになります、厳しい試合になりましたね。

こちらはこの試合のプレビュー↓

長女のレビュー(?)です↓


この試合の振り返りキャスです!↓


スタメンはこちらです↓

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【東京】
・前節からのスタメン変更は3人
・復帰の小川が久し振りのスタメン
・前節負傷交代をした渡辺はベンチ、岡崎がスタメンに
・三田に替えて大森がスタメン
【湘南】
・前節からのスタメン変更は2人
・指宿→山崎、大野→山根


■前半① ~重圧と疲労~

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長い異例のアウェイ連戦から帰ってきての8月以来、首位で迎える久々のホームゲーム。
生憎の天候、FC東京としては始めて実施した事前抽選入場での喧騒、優勝争いという事で雰囲気を作ろうと普段はしない入場前からのチャント、普段通りには程遠い環境の中でFC東京の選手たちがどう振舞うのか注目の立ち上がりだった。

選手の変化はキックオフの笛がなる直前にいきなり現れた、何名かの選手がスタンドのファンサポーターを煽ったのだ。
試合中は記憶にあるのだが、試合前というのは記憶に無い。
観客の後押しを選手が必要とする特別な試合と捉えているというのが露になったシーンだった。

立ち上がり、大方の予想通り東京湘南の激しいプレスに晒される、前節のC大阪戦以上に激しかったかも知れない、カードも厭わない激しいプレッシャーを立ち上がりからかけてきていた。
東京がこの湘南のプレスを掻い潜る解決策としては次の2つが予想された。

①意地でも繋いでプレスを躱す
②最終ラインから長いボールでプレス回避

結論から言うとこの試合ではどちらも上手く機能しなかった。
①に関しては、湘南はディフェンスラインを高くして中盤をコンパクトにしていて、ビルドアップの要になる橋本高萩がボールを受けると直ぐに数人囲まれて激しいプレッシャーに晒された。
となれば②である、湘南のWBは高い位置を取るので、東京はその裏のスペースを何度か使う事で何回かチャンスを作れてはいたのだが、これも段々と難しくなる。
起点となるディエゴは当然警戒されており、彼に後方からボールが入った瞬間にこちらも複数の選手に取り囲まれてしまい、流石の彼でも中々前を楽には向かせてもらえなかった。
更に室屋永井といった代表組はコンディションは良くなかったのかも知れない、スペースを使うには彼らの動きがかなり重要になってくるのだが、スプリント頻度や上下動に精彩を欠いている印象があった。

前半20分位から徐々に湘南の動きの量と質に押され始めて、繋ぐのも苦しい状況になる、雨という重馬場のピッチコンディションも湘南のスタイルを後押しになったのかも知れない。

そして目に見えぬ重圧(プレッシャー)である。

[ 長谷川 健太監督 ]
東(慶悟)にも聞いたけど、「硬かったです」と。
ひさびさのホームで「やってやるぞ」という気持ちが空回りになったことは否めない。試合の入りは悪くなかった。
攻守の切り替えとその後の精度、湘南のほうがそのあたりが上回っていたので、この展開も仕方ないと前半は見ていた。
パスミスで点を取られた苦しい展開。

口には平常心を口にしていても無理からぬ事である。
こればかりは経験(場数)を積まなければ中々克服し得ない問題であると個人的に思う。

■前半② ~プランA失敗~

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前半は苦しいながらもせめてスコアレスで終われたらと思っていた矢先、湘南に先制ゴールを許してしまう。

長いボールから起点作りが上手くいかない、蹴っても直ぐに湘南のボールになってしまうというので、少しでも自分達のボール保持の時間を長くしたいと考えたのかも知れない。
前半の中頃から東京は繋ぐ形をとる事が多くなった、湘南のプレッシングをギリギリで躱す展開が続いていた。
失点の場面では遂にミスが出てしまう、左サイドの小川の戻りが叱責されていたが、そもそもボール保持に備えて高い位置をとっていたところで、自陣深い位置で引っ掛けられたのはチーム全体のミスであろう。
湘南の狙っていた形は明らかであって、その形から先制を許してしまったのは非常に試合の展開からしても心理的にダメージが大きいゴールである。


前半は得意としてる形からの決定機は少なく、湘南のペースにのせられてしまった感は否めなかった。
いつもの東京であれば個人の質、ハードワークで上回って挽回もするのだが、この日の湘南のプレイ強度は6連敗しているチームとは思えないものだった。
更には見えない重圧と疲労からのパワー不足が露になった前半だったとも言える。
最近の好調を支えてきたプランA(先制逃げ切り)に失敗した。

■後半 ~ 一瞬の隙 ~

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後半も流れは変わらない、特に相手は湘南である、体力は勿論、最後まで脚が止まるチームでは無い。
やや、ラインは下げ始めたものの、湘南の速い切り替え(トランジション)の前に東京は中々ペースを握れないままに時間は過ぎてゆく。

これはシーズン通して変わらないのだが、長谷川東京はプランAで勝つ事に特化したスカッド(編成)である、プランBといえば選手の入れ替えで攻撃に変化を付けるくらいしか無い。
善し悪しの問題では無く、それで勝ち点を積んできて優勝争いをしている訳だから今更どうのこうの言っても仕方が無いのである。
そして前半戦は久保、ジャエル、ナサンホといった選手が変化を付けてくれていたのだが、久保は移籍、ジャエルとナサンホに関してはここにきて序列を下げているので、必然的に手札は限られてくる。

ここで長谷川監督は大森→三田、永井→田川、東→インスと交代カードを切ってくる。
狙いとしては運動量、ハードワークが出来る選手を入れて局地戦で湘南の勢いを上回ろうという意図であったろうか。
徐々にではあるが3選手が広範囲に動き回る事で、湘南も僅かながら前後の距離が空いて来るようになり、東京の選手が湘南陣内で少しづつ余裕が持てるようになってきた。
それでもこの日の湘南の頑張りは素晴らしかった、堅く閉ざされたゴールをこじ開けるのは難しいと思われたが、アディショナルタイムに唐突なゴールが生まれる。


ゴラッソである、森重らしいCBらしからぬ攻撃センスから放たれたシュートが土壇場で決まり、東京は遂に同点に追いつく。

前線に殺到する東京の選手に対して一瞬湘南の選手は後ろに重たくなり、ロングボールを入れた岡崎、後方から駆け上がる森重を見る湘南の選手はいなかった。
ある意味では交代カードによって湘南を後ろへ押し込む事に成功したとも言える。

そしてこのまま試合は終了、東京は厳しいゲームで何とか勝ち点1を得る結果となった。
湘南は逆に自分達のペースでほぼ試合を展開出来ていたのに、最後の一瞬で勝ち点2が掌から零れ落ちる悔しい結果となった。

■スタッツ比較 ~数字に現れる苦戦~

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スプリント、走行距離を比較すればどちらがよりエネルギッシュに動けていたかは一目瞭然である。
3連勝中は全て対戦相手を上回っていたのだが…湘南からすると自分達の強みを出せた証とも言えるかもしれない。

■ PICK UP PLAYERS ~森重&ユ・インス~


ゴールシーンの森重はそこにボールが零れて来る事を予感している様に、スムーズにポジションに入ってきた。
嗅覚ともいうのだろうか、極めて自然体なフォームから放たれた一撃は京の窮地を救う一撃になった。

森重のゴールを呼び込んだといえば、ユ・インスの働きは絶対に見逃せないだろう。
今期は中々トップでの出場機会が巡ってこない中で掴んだチャンスだったが、腐らずにしっかりと準備してきた事を証明した。
分かりやすく貪欲な姿勢とアグレッシヴな姿勢は消極的になりつつあったチームにエネルギーを作り出し、東京に勝ち点をもたらしたと言っても過言では無いだろう。
U-23からまたもトップに貢献する働きをみせてくれたのは大きい。



■まとめ

試合内容としては芳しく無く、湘南の良いようにされてしまったのではあるが、結果的には最低の最低限の結果は得た。
首位こそ明け渡したものの、残り2試合を勝利で自力優勝というのは変わらないのである、結果に関しては悲観し過ぎる事は無いだろう。

同点ゴールの直後、試合直後、笑顔を見せる選手達に違和感を覚える様な記述を見かけた。
要は喜んでいる暇があるなら自陣に戻って逆転を狙うべきだし、引き分けで満足している様なメンタルでは優勝は狙えないという事とだ、然りである。

だが試合直後の選手の笑顔から、僕はそれだけの重圧を感じていたのだと理解した。
要するに重圧から解放された笑みである、負けであれば確かに笑ってはいられなかっただろう、しかし森重の一撃により何とか踏みとどまった、故に「ホッ」とした笑みである。
大上段から「そんなの優勝するチームのメンタルじゃない」そう言うのは簡単である。
でも僕も本当の優勝争いは未経験である、故に彼らの安堵は理解出来るし、この重圧を乗り越えて可能性を残せたのはやはりポジティブに感じるべきじゃないかと思った。

残り2試合、最初の重圧は乗り越えた。
浦和戦、横浜戦と更なる重圧がかかってくる事だろう、それでもこの重圧を跳ね除けて優勝してくれるチームであると信じている。

「もっていないチーム」であれば森重のゴールは決まっていなかっただろう。

1つ1つ乗り越えていこう、最後の1秒まで。


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