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サヨナラを選んだ私


 AAAのメンバーでもある、
宇野実彩子さんのソロアーティストとしての楽曲に、とても好きな歌がある。


「サヨナラを選んだ私」


 彼と別れた2019年末から2021年。
失恋の後の恒例で、ひたすら失恋曲を聴いていた中で1番しっくりきて泣けたのがこれだった。



 自分から別れを告げた時の決意、
決意したはずなのに揺れる心、
思い出す彼のこと、いつか逢えるかなと淡い期待を消せない私、
 自分から別れると決意させてくれた親愛なる友人、
 その友人から自立しようともがく私、甘えたい私、彼に逢いたくて何度も彼との思い出をさまざまな言葉でなぞる私、


 彼と最後にあってからもうすぐ1年半経つ。彼の顔も匂いも感触も、だんだんどんなだったか、思い出してもそれが本当にそうだったのか、確信できなくなってきた。


 それでも手放せない。悔しい気持ちも溢れてくる。


  そして、Swish!のモザイクカケラを聴くたびに、AerosmithのI Don't Want To Miss A Thingを聴くたびに、ポルノグラフィティのジョバイロを聴くたびに、身体の中で流血していたはずなのに、知らぬ間に自分でカサブタを抉るようになって、カサブタもだんだん消えてしまって、気づけば全然傷の痛みがわからなくなってきてしまっている。


 最近は仕事があまりにも忙しすぎて、自分の過去の傷を眺める余裕すらなくて、そんな忙しさに、心を削られている間に、どこを怪我していたのかわからなくなってしまった。


 もう、モザイクカケラを聴いても
泣かなくなってしまったし、もうジョバイロを聴いても、彼の車の中から見た風景がどんなだったか思い出せなくなってしまって。

 ただ、Aerosmithを聴いた五日市街道の道を通った時の光景が一瞬だけよぎる程度になってしまった。彼と聴いた曲を一人になってから何度も聴くたびに、私はその曲を聴いた思い出を塗り替えてしまっていた。


そんなことに気づいて、寂しさを感じているところに、流れてきた宇野実彩子ソロ曲。


 この歌は、彼と聴いた曲じゃない。
彼と別れてから聴いた曲。いつの間にか、彼と別れてから聴いた失恋曲の方が私の恋愛ソングになってしまっている。


 そもそも、彼とは、ドライブで聴いた思い出曲が、

 モザイクカケラにしても、ジョバイロにしても、失恋曲なのが、何か、示唆していたのかもしれない。


 結局、一人になってからもう1年4ヶ月半。彼のことを引きずったまま今も失恋曲を聴いている。


 26歳の失恋の私にピタッときたのは、どうも宇野実彩子ソロ曲だったらしい。

 サヨナラを選んだ私という題名も、
その歌い出し、


ー サヨナラを選んだ私間違いかな。ー


 も、ピターっと、ハマりすぎて、
失恋後の私に、モールドのように重なった。

歌詞全文


サヨナラを選んだ私、間違いかな。
胸が痛むたびに 愛は目を覚まして


 今さらどこまで、夢を見ているんだろう…


 光差す あの空は君の様で
優しい眼差しで守って
 見上げるの 涙降り止まない日
憶えた温もりで通り過ぎて


また歩き出せばいい 君に、もう会えないけど
今信じてみるよ 明日への道


振り返るほどまだ私、強くなんかない。
手放した思いに心追いつかずに


誰かと比べて、幸せを迷うんだろう… 


 光差す あの空は君の様で 
優しい眼差しで守って
 見上げるの 涙降り止まない日
憶えた温もりで通り過ぎて


また歩き出せばいい 君に、
もう会えないけど
今信じてみるよ 明日への道


光差す「同じ空を見てます。」
浮かぶ言葉 許して
輝いて涙滲む世界も時に悪くないと、
笑ってみせて
一人で立ち上がるわ 
遅いことなんてないの
好きになれそうだよ 私の道


 彼と別れてから私は少しだけ弱くなって少しだけ強くなった。


 彼が、私にこびりついていると思っていたのに、知らぬ間に彼の匂いも彼の体格も、彼の手の感触もわからなくなっちゃったし、
彼が今誰かと付き合ってるとか、
そんなことまで頭回らなかったのに、もう別の誰かの彼になっているのかもしれないって考えられるほどに距離が開いてしまったの。


 私はとても強くなったし、いや
元々とても強かったみたい。
 すごく強いんだって。いろんな人に言われるの。彼の前では強い私を脱ぎたかった。でも私、自分の仕事が忙しくなる間に武装したままあなたと接してたみたい。武器も持ってたのかな。


 でもね、私、好きな人に好きになってもらえたことないし、愛されてるって感覚ももてたことなくて、だから余計に失うのも、離れるのもいつも怖かったよ。


 でも、あなたが私のことを軽んじるようになって苦しくなってから、私は親愛なる友人、あなたと出会うきっかけになった友人にあなたのこと話しちゃった。親愛なる友人は、あなたより私のこと考えてくれた。親愛なる友人は、「俺があの人と出会わせちゃったから…」って、言ってた。親愛なる友人は、恋人だったあなたより、私のこと知ってるよ。私の体調変化も、私が無理してる時の顔も、気付くんだよ。


 あなた、わたしのこと、
わかってなかったでしょ?


 あなた、面倒だなって
わかりあう努力もしてくれなかったでしょ。私、ずっと気づいてたよ。


 あなたと私、たぶん、
あのまま付き合っててもすぐに崩壊してた。そして、わたしはきっともっと壊れてた。でも、

このnoteを書いている間に、
花*花の「さよなら大好きな人」もながれてきた。小さい頃からこの歌が好きだった。昔から、大切な人を失う人間の曲が沁みる身体みたい。



それに、aikoの
「気付かれないように」が流れてきて
やっぱり、あなたとまだ逢いたいって思っちゃう。悔しいな。


 今の私はまだ、たぶん、久しぶりにあなたにあったら、思い出蘇ってきて
泣きそうになるの堪えながらあなたと話をすることになりそうだし、
あなたが左の薬指に指輪なんかしてたら、たぶん吹っ切れるんじゃなくて後悔して苦しくなっちゃうと思う。


 消えない後悔をちゃんと飲み込んで生きてきたはずだけれど、あなたが私じゃない誰かと一緒にいるっていう想像は、全然できなくて、きっとその現実にぶつかったら、やっぱり私苦しいと思う。


 こんなこと思うの、悔しいな。



彼のことも、

何もかも忘れられなくて
何もかも捨てきれない


のに、何もかも忘れていってしまいそうで怖いの。


 嫌なところたくさんあったのに好きで、好きなのに自分から別れを告げるなんて、そして別れてからも結局今も好きなんて、

 私、彼と出会った時彼のこと好きになるなんて思ってなかったのに、彼と付き合い始めた時彼のことこんなに好きになると思わなかったのに、彼と別れた時こんなに引きずるなんて思わなかったのに。


 私、あなたのこと置いて前に進めるのか、まだ全然わからないの。


 わかってる。他人からしたら
こんなのただ前の恋愛にしがみついているって、いや、残像にしがみついているだけって。

 わかってるの。友人たちが、
呆れるって。それでも、握りしめていたいのまだ。治りかける傷を抉ってまだ、血が出るんだって、まだあなたのこと想ったら痛いんだって、そう思いたいの。


 もう、27歳も終わりが近いのにね。
最近は仕事が忙しすぎて、あなたのこと思い出す時間も少なくて、あなたのことたくさん忘れちゃった。あなたのこと思い出すとまだ痛い気もするけど、あなたと聴いた曲聴いても涙出なくなってきちゃったし。


 仕事で無双しすぎて、私、鎧だけがすごく強くなっちゃった。鎧のなかはまだ脆いところだってあるのに、
あなたにも、武装してからは、鎧のなか、見せられなかったし、あなたは
鎧を脱いでいいって言ってくれなかった。所詮、私たちは武装し合わないといられない仲だったのよ。


 また、ね。いつか、ね。


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