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【再びペンを取る。アナログの威力】もう一度漫画を書こうと思った理由・その6

少し遡るが、コミケ人口はコロナ前に最好潮を迎えた。

が、実のところかなりの新陳代謝が進んでおり会場に行ってみると、サークル参加は既に高齢者が減ってきている。
それにちなんでジャンルもどんどんと変化してきていた。
我々が昭和に見てきたものは縮小されていく。
ジャンルにすら載らなくなってきている…

体感的な話だが実は2013年の酷暑を機に新陳代謝がはじまった感がある。
古参がこれを機に引退、という感じを受け、次回開催から見なくなった方々がかなりいた印象だ。
もちろん、それとクロスするようにコスプレも増えて印象があり、そういう意味でも新陳代謝があったのでは?と推測する。

そもそも、イベントというのは非常に脆弱だ。
天候によってもそうだが、通い詰めていると習慣のように参加するが一度息が切れると足が遠のく。
コロナ後に完全復活できないイベントも多くあると思う。
また、コロナ明けに今まで鬱屈した状況から解放されてコロナ明け特需として1度目のイベントは盛況だったが、実際鬱屈した状況で夢見た良い部分が、参加してみることで『ああ、こんなもんだった』と夢から覚めめ、2度目の開催では人が減った。
というものもあると感じる。

そんな中、いわゆる『二次創作』がほとんどを占めているコミックマーケットだが、コロナ禍は自粛。
またオリンピックでの縮小開催と不遇な状況を余儀なくされた。

その間、盛り上がったのはコミックスだ。
当たり前だが、皆が二次創作を読むことにあてていた時間が一般誌に向けられる。
これも至極当然だが、当たり前のように1次創作の方が面白い。

二次創作の主流はシチュエーション漫画やイラストが主流だ。
ストーリー漫画はやはり一般漫画の方が面白い。
そういうことに気づかせてしまった。

この変化がのちに大きく『漫画ってなんだ?』と考えさせられることとなった。

話を戻して、ミリペンとボールペンで60年代風漫画を書こうとしたシルバークロスだが

『やはりちゃんと描きたい』

『時間がない』

というせめぎ合いで悶々としていた。
が、やはりストーリーが波のように押し寄せてくる…
そして高嶋先生とセッションするとまたお話が締まる。
ものつくりはこんなに楽しいんだ…
なのになぜこんないい加減なものを描くのだろうか?
とにかく、今できる最大限の作業で最大編の表現はできないだろうか?
そのようなことを考えながら溢れる展開をぶつけるようにシルバークロス二巻を描く。


しかし、その不満は解消されなかった…
本気で描き方を再考した。

まず、デジタルという作業は自分にとって、早いようで遅いツールだった。
というのを漫画家アシスタントの時に気づいた。
デジタルは拡大して細かいところまでできてしまう分時間がかかるのだ。
またやり直しもできるのでいつまでも直してしまう。

そして、画面が足りない気がしてどんどんとディティールを追加してしまう。
『写実的』というには言葉は良いが実際は『絵の特徴』というものからかけ離れていく。

やはり人の手で書いた方が早いし引き算の美学も表現できる。
何より、一筆に入魂するために迷いなく、そして早い。

実はミリペンでも同じことを感じた。
やはりペンの入り抜きがないと重ね描きをするために何度も修正し、その上ペンで描くよりも雑に見えてしまう…
ミリペンで上手く描ける作家が本当に羨ましい、と思いながらも

『これは自分のやり方ではない』

と確信。

ちょうど、『人形作って生きてます』というソフビ製作コラムを描いてみたが…
とにかく、デジタル彩色が合わない。
ただ、トーン作業が嫌だ。
トーン作業をパソコンで行うと意識を失うくらい眠くなる。
それ以上に、カラーで描きたい。

そこで道具を探したが、コピックと出会う。
色々とカラーマーカーを試したが、コピックが性に合っていた。

『これは良い!』

となり、『漫画に使えないか?』と考え始めた。

今や、印刷はグレースケールでも問題なく印刷ができる。
今までモノクロ二階調(白と黒のみで再現)と上質紙印刷、というセオリーから光沢のコート紙にフレースケール印刷が可能になったのである。

『じゃあ漫画をコピックで書けばいい!』

となってからが早かった。
とにかく、紙に直接ペンをつけ・筆を走らせる。
この作業はどんなデジタル作業よりも速かったし、自分にとって再考に楽だった!

シルバークロス三巻はこれで行こう…
と思い筆を滑らすと、1〜2巻で再現しようと思った『60年代』というものが全く異質なものになってしまった。

『ああ、これは全部書き直さなければ話にならない。
演出も絵も。
そうでなければ三巻にならない』

となり、1〜2巻を全て描く直すことに…

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