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歩き続ければ、道になっていく。


この季節になると思い出す風景。


「お店を出すから手伝ってほしい。」


父から聞いた住所を入力しGoogle MAP片手に行き着いたのがこの場所。

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この風景の少し奥まで進むと、一軒の建物が私を出迎えてくれました。


車1台も通れない、遊歩道沿いにあるこのお店。

私の頭の中にあった「店舗の立地」のセオリーと並べると、

「え???」

いくら親子でも、その考えのすべてを理解することはできません。
湧き出るはてなを飲み込みながら、私は理由なき自分のYESに従い、このお店を手伝うことに決めました。



それからほどなくしての開店間近。
そろそろお店の名前を決める頃合。

どんなお店にしたいのかコンセプトを整理していくと、

なぜ、父はこのお店を選んだのだろう。


飲み込んだはてな達が息を吐く度に出てくるように私は悶々と答えを探していました。


ある日。
この遊歩道を歩きながら、初夏を思わせる日差しの眩しさに目を細めると言葉が浮かび上がりました。


『細くて通る人が少なそうな道だったとしても、それが自分の道なら信じて歩け。』


父に言われたようでした。

それまで「普通」や「常識」ができるようになることが大人になることだと思っていました。
そうでない自分はダメなんだと切り捨てた先には、いつもけだるさが一緒にいた。

何かうまくいっても何かがうまくいかない。
エンドレスなもぐらたたきをしているよう。


そんな自分に気付き、大切だったものを手放した後。
これからどこへ行こうかという私の目の前に一本の道が拓かれていくのを感じたのです。

お店の前を通る、この細い道。

「遊歩道」

を辞書で調べると出てきた単語。

『path』

生き方とか指針とか・・・そんな意味もあるんだ。


オシャレだけじゃない「自分らしい生き方」を。
その店をPathCodeと名付けました。


あれから4年。
PathCodeはブランドになってみたり、会社になってみたり。


一人ひとりのPathが気付いたら並んで太い線になって延びている。


未来を約束する確かなものは何もないけれど、
今を積み重ねていけばやがて道になる。


忘れそうになったらまたここに戻って、思い出そうと思います。




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