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2022.4.29 @京都・磔磔 「台風クラブ✖️家主」

もう1か月ほど前になるけれど、この日行われた台風クラブ家主のツーマンライブに行ってきた。

ライブのチケットを取ったのは去年の12月。
まず、このライブを観ようと思った経緯から書こう。


台風クラブにハマったのは去年の7月くらいだと思う。
それ以前から名前は知っていて、一度ライブも見ている。そのライブは、2020年1月堺ファンダンゴで行われたキイチビール&ホーリーティッツ主催の新年会と題して、他に曽我部恵一さんと台風クラブが出ていた。僕は曽我部さんを見にきた感じだった。
一番目に出てきた彼らを初めて見た印象は、演奏はカッコいいけどピンとこない、歌がなんか抜けてこないな…という感じだった。
それが去年7月のある日、たまたまSpotifyで他のバンドの曲を聴いていて、おすすめで彼らの曲がかかった。「!!これ、誰?」と思って見てみると、彼らの「ついのすみかという曲だった。

キャッチーな「パラッパッパッパーラー」というコーラスに、弾んだベースライン、タイトなドラム。そしてJ-POPのおいしい所を煮詰めたような耳に残るメロディと対照的なぶっきらぼうなボーカル、歌詞は日常を歌っていながら少しひねりが効いていてフレーズが耳に残るし、ギターはカッティングと短いフレーズが混在する巧みなもの。コードも一聴して分かりづらいし、曲の展開も変わった転調をして、下道から高速にワープしたような感覚になる。
(曽我部恵一さんのpink moon radio にボーカルの石塚さんが出演した時、その不思議な転調について聞かれて「高い声が出ないからそう(出るキーに転調する)なってしまう」と話されていたが。)

よくTheピーズやサニーデイサービスが引き合いに出されているけど、他にマーシー(真島昌利)ぽさも感じるし、楽器隊の演奏の跳ね具合は初期のザ・スミスっぽい感じもする(ちなみに今あげた人たちはみんな好きである)。とにかく色んなツボを押さえまくってる感じ。

元々は大学のサークルでガレージサウンドを志向したバンドをやっていたが行き詰まり、ジャンルに縛られずにやろうと新しくバンドを組んで、今のサウンドになったようである。

CDを入手しようとしたが、CD屋に行っても見つからない。アルバムは数枚出ているものと思っていたが、『初期の台風クラブ』1枚しか出ていない。このタイトルはRCサクセションの1stアルバム『初期のRCサクセション』のオマージュであると思われる。


そんなこんなで彼らの音源を聴き、ライブを見たくなったがなかなか見る機会がなく、ようやくチケットをおさえたのがこのライブだった。


そして、対バン(というか彼らのツアーなのだが)の家主


こちらはあまり音源は聞いたことがないのだが、中心人物の田中ヤコブ氏の曲は地元のFMラジオ局・αステーションでよくかかっていていいなと思い、ソロアルバム『お先にどうぞ』を買って一時期よく聴いていた。
彼は色んなバンドで客演していて、その浮世離れしたような独特のキャラ・ルックスと弾きまくりのギタープレイで存在感を放っていた。
去年配信で見たカーネーションとのツーマンライブではカーネーションのゲストギタリストとしても登場し、原曲に忠実でありつつ更に感情を上乗せしギターの弦を2本も切るという熱い演奏をして、印象に残っている。

このバンドには3人のソングライターがいて、さながらアグレッシブなTeenage Fanclubと呼びたくなる(本家はベースのジェリーが脱退してしまったけど)。

今回のライブは、彼らのセカンドアルバム『DOOM』リリースツアーの京都公演なのである。しかし台風クラブ、後輩の家主にアルバム数であっさり抜かれるとは…(1枚と2枚だけど)

2バンドとも、今や数少ない?紛れもないギターロックを鳴らすバンドでチケットが結構取れないようだったので、これは取っとかないとと思いながら発売日にはすっかり忘れていて、夜になってツイッターを開いて発売日と気付き、慌ててチケットサイトに行くと「残席僅か」となっていたのですぐさまチケットを押さえた。


そして、4月29日。この日はゴールデンウイークの初日であったが、週間天気予報では荒れた天気となる予報だった。

予報は当たり、朝から大雨であった。少し早めに出て少し街中をぶらつこうかと思っていたが止め、雨が小降りになるのを願いながら出かける準備を始めた。
そして家を出る頃には雨はほぼ止んでいて、駅に向かって自転車を走らせていると大きな虹が出ているのを発見!



幸先いいなー、と思いながら阪急電車に乗って磔磔へ。
皆さんご存じと思うけど、ここは酒蔵を改造したライブハウスで建物自体に独特の雰囲気がある。
コロナ禍ということで、連絡先を書いてからチケットを店員さんに渡し、ドリンク代を払ってドリンクを選ぶ。去年も一度磔磔に来たが、その時はアルコールはなかった。今回はアルコールもあり、僕はビールにした。
当然マスクは着用・会話や歓声も控えて、ということではあったが、少しコロナ以前の雰囲気が戻ってきた気がする。

缶ビールをプシュッと開けて、開演を待つ。
やがて場内が暗くなり、「傷だらけの天使」のテーマが流れた。この曲がオープニングSE(出囃子?)だったのか。

そして、台風クラブ登場

2年前に観た時とはこちらの気持ちの入りようが違うので、やっと聴けた!と1曲目が始まった時点で感無量(笑)
セットリストは、割と新しめの曲が多かった印象。ファーストが出たのが2017年だからもう5年ほど前になる。その間に彼らはシングル(EP)をいくつか出していて、それらもやってくれた。ちなみにEPは、サブスクでの配信と7インチ(レコード)のみのようだ。このリリースの仕方にもこだわりを感じる。

そして一つのハイライトと言えたのが、ギルバート・オサリバンの「アローン・アゲイン」を日本語でカバーしたホーム・アローン。レゲエ調のリズムにアレンジしてあって途中までわからなかったが、「あれ、このメロディ知ってる!」と思ったのだった。歌詞はあまり聞き取れなかったが、コロナ禍のステイホーム期間に感じたことが歌われているようだった。


そして終盤、ようやくこの夏あたりからセカンドアルバムの録音に入るという発表が!うれしい知らせに場内が沸くも、「2020年代の間に出せれば…」って、どこまでマイペースなバンドなんだ(笑) そのぶれないスタンスも音楽ファンの信頼が厚い理由だと思う。けど来年ぐらいには出てほしいな。

「火の玉ロック」を演奏する前には、「いずれ解散してしまう台風クラブのロックを聴いてください」というようなMCを(この曲は、解散したかつての名バンド達に捧げられた曲のようだ)。いやいや、ずっと続けてくださいよ!

ラストはファーストの最後に入っている「まつりのあと」。結局ファーストからはこの曲と「相棒」だけだったな。「ついのすみか」も「飛・び・た・い」も他にも聴きたかったけど…また観に行こう!


そして、しばらくインターバル(セッティング)があって、このライブのホストである家主が登場!

登場していきなり曲に入らずに田中ヤコブ氏がトークを始める。彼らはシンガーソングライターが集まったバンドなのだが、最初のうちはただライブをやっていたようで、お客さんに「音源はないのか」と言われてようやく音源を作ったらしい。なんかガツガツしてない所が共通している感じの二組である。

ひとたび演奏が始まると、ハードにギターを弾きまくるヤコブ氏。台風クラブの石塚さんと共に現代のギターヒーローと言えると思う。
他の二人のソングライターの曲もそれぞれカラーがあって、センターに立つ谷江氏は佇まいも歌声も朴訥とした感じがあり、ベースの田中悠平氏の曲もポップでメロディアスで安定感がある(この人の曲が一番好きかもしれない)。事前にあまり曲を聴いていなかったけれど、十分楽しめた。


終演後は、台風クラブのTシャツとEPを一枚購入。このTシャツも石塚さんの手製らしい。物販に本人がいらしたけど、なんか緊張して何も言えなかった…。

終わった後も会場で飲食できるということだったけれど、一人で来ていたし久しぶりに3時間近く立ちっぱなしだったので、店を後にした。

休みに入ったマクドナルドで、そういやロックバンド!という感じの音をスタンディングで観たのってかなり久しぶりだな〜と思った。どちらかと言うとポップス寄りのバンドを聴くことが多いのもあるんだけど。
ギターソロが若い音楽リスナーの間であまり人気がないというような話もあるけど、それでも「ジャ~~~~ン」とギターが鳴った時の高揚感は何にも代えがたいものがあるし、このライブを観て刺激を受けて、また自分も音楽やるぞ〜と思ったのだった。現代のギターヒーロー(二回目)である彼らとバンドの音を、これからも追っていきたい。


・・・途中まで書いてたんだけど、なかなか仕上げられずに今日アップとなりました。読んでくれてありがとうございます!

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