特許法第2条

●条文:
1 この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。
2 この法律で「特許発明」とは、特許を受けている発明をいう。
3 この法律で発明について「実施」とは、次に掲げる行為をいう。
一 物(プログラム等を含む。以下同じ。)の発明にあつては、その物の生産、使用、譲渡等(譲渡及び貸渡しをいい、その物がプログラム等である場合には、電気通信回線を通じた提供を含む。以下同じ。)、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出(譲渡等のための展示を含む。以下同じ。)をする行為
二 方法の発明にあつては、その方法の使用をする行為
三 物を生産する方法の発明にあつては、前号に掲げるもののほか、その方法により生産した物の使用、譲渡等、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
4 この法律で「プログラム等」とは、プログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下この項において同じ。)その他電子計算機による処理の用に供する情報であつてプログラムに準ずるものをいう。

●法律としての概要:
この条は、他の法律と同様に特許法において最も重要な文言の定義を規定しています。この条で初めて特許法における「特許権」という権利が与えられる「発明」はどのようなものかが規定されることになります。

また、この条から、条文の中にローマ数字や漢字の数字が出てきますが、これらは「項」番号や「号」番号を示すものです。例えば、この条の3項では、発明の「実施」とはどのような行為を言うのかを示しており、「一」で始まる1号では「物」についての「発明」について大まかに6つの行為が発明の実施に当たると規定しています。なお、上記の条文では理解を助けるために、「1項」について「1」と記載していますが、下記リンクの実際の条文では記載が省略されています。

●マーケティング視点で見ると:

この条でもとりわけ重要なのが1項の「発明」の定義なわけですが、第1条と合わせてみることで、「技術思想の創作」である「発明」について「保護」と「利用」することで、産業(企業)の発展に役立てましょうということを言っているわけです。その他の要件については重要度が下がるため、ここでは説明を割愛します。

日本が技術立国と呼ばれて久しいわけですが、日本企業には大小に関わらず技術を売りにした企業が多く存在します。これらの企業においても業務の中で発案されたアイデア(創作)については特許が認められる可能性が十分にあり、これらの企業は「特許制度」を利用することで、自らの技術を保護することで参入障壁として利用したり、技術移転やライセンスを与えて他人に技術を利用させたりすることでアライアンスを構築したりすることが可能となります。保護や利用の形態については、対応する個別の条文が存在するので、それらの条文で細かく説明します。

また、昨今巷を賑わしている「IoT(Internet of Things)」と呼ばれるセンサー技術や人工知能などを利用した制御を主眼に置いた技術についても適切に表現することができれば、特許法において「発明」として認められる可能性があります。


●条文の参照元(e-gov)は:
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=334AC0000000121&openerCode=1
●各条文の特許庁の公式解説(いわゆる青本)は:
https://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/shiryou/hourei/kakokai/cikujyoukaisetu.htm

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