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理系は黙々と研究に没頭していると言うのは本当か

黙々と頑張るタイプは研究職に向いていると言われることが多いですが、現に理系の研究職(開発職)をしていた身からすると、理系の研究職は決して黙々と研究に没頭する場所ではなかったと言うのが真相です。

研究職といっても「職」なのですから、必ず他人との関係は出てきますし、研究用機器も安いものではないので実験室は複数のグループの相部屋、分析装置もみんなで共用というのが現実です。

大家族のトイレの順番の如く、スケジュール調整や時間を守る守らないでいざこざが生じたり、少ししか必要ない薬品をそれを持っているグループの人にお願いして少しだけ分けてもらうとか、自分ではできない計算を別のグループのシステムを拝借して答えだけ出してもらうとか、そういう人間対人間の関わりが日常茶飯事で生じ続けるのが「黙々と頑張るタイプが向いている」と言われる研究職の実態です。

このコミュ力試練場に耐えきれずおかしくなってしまう人は意外と多く、離職率も普通の企業に比べて多いのも研究職の特徴ですし、その受け皿として弁理士になる人も少なからずいらっしゃいます。

残念ながら、その弁理士の業界も黙々と書類を作成するだけの仕事は斜陽産業と化してもはや人余りが進行しています。コミュ力は大切とは言われますが、ここで言うコミュ力というのは「弁理士という肩書きがなくても通用する他人と適切な距離と関係性を構築できる力」と捉えていただけると正確でしょう。

先生先生と呼ばれて悦に入ったその先生を送り出した後、みんなになんと言われているか、そういう嫌な想像もしつつ最適な距離感を構築していく力があれば、どこでもなんでも大丈夫です。

フィラー特許事務所(https://filler.jp)
弁理士・中川真人