パストライヴス Past Lives/前世紀においてきた自分
地味ながら私のような海外住まいには刺さる映画。
特に海外(欧米で)でアジア人以外の配偶者のいるアジア女性にはまんまなのでかなり刺さるのではないかな。
Farewellのあのおじいちゃんおばあちゃん家族の関係からの分断を描いたのと違いこの作品は個人のLIFEである「前世」の話。さすがA24はずしませんね。
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冒頭シーンで男女が
二人の男女のアジア人一人の白人が座って喋っている。
このシーンをテーブルの隣人が「あの人らどういう関係だと思う?」みたいな噂話をしている。。
「あの東洋人たちは夫婦?」
「そしてあの白人はツアーガイド?」
「え?それでも彼らはそんなに仲がいいわけでもなさそうよ」
他人から見たらそう見えるだろう。
本当は彼女の旦那がこの白人で、この韓国人男性は彼女の幼馴染が訪ねてきたのが正解である。
彼女が韓国人の彼のことを旦那に話す時に「彼はリアル韓国人、私達みたいなアメリカにいる韓国人じゃない」というくだり、
は私達でもよく言う。
彼と彼女の昔の関係をなんとなく感づいた白人旦那の不安そうな顔。彼女もこうやって生きてきて旦那を捨てて戻ることはまた違うし、その中でも彼女が選んだ人生を生きるしかない。
アジア人らしい人との距離感が良い。
そして最後のUBERのシーン。
日の名残りのアンソニー・ホプキンスとエマ・トンプソンの雨の中のバスでの分かれの最終シーンを思い出ささせた。
これが永遠の分かれになるかもしれないという不安もUberが拾っていく。
今目の前にみえる将来と、過去に生きてた自分特に断絶して生きてきた自分。空白期を探し求めるわけでもない。言葉が違う、空気が違う。その中でどちらでも生きられる自分。でもどちらにも属さない自分。
しかしこのGreta Leeがいい感じの役だねぇ。ほんとうにニューヨーカーって感じで。おしゃれだし。彼らの生活の質素さもなんか良かった。韓国彼は水泳の入江選手にそっくりの男前。旦那役の俳優がいい加減な感じで賢そうに見えないところもよかった。普通のアメリカ人。インテリだけどで自分に自信がある風でもない。固い職についてるわけでものない。
まるで惑星のOrbitで二人があってそして離れる感じがよくでていたね。
この映画はもしかしたらすべての根無し草な人に刺さる映画かも。幼い頃の思い出、家族、すべて過去はあったのだが今目の前の頼りない旦那や今の頼りない生活がすべてでもある。確実なことなんて一つもない。
故郷を離れてそして今の刹那を生きているすべての人へ。私の年末に刺さるすごいい映画だった。
ある程度の年齢にならないとこの映画はすんごいしんきくさい映画なので、、好き嫌いが分かれるかも。
でも前世紀においてきた自分をどこかで出会いたい時に。
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