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モチベーションとマルチタスクに関するパラドックス

▼ 文献情報 と 抄録和訳

タスクに関係のないメディアのマルチタスクとタスク関連のモチベーションとの関係

Ralph BCW, Smith AC, Seli P, et al.: The relation between task-unrelated media multitasking and task-related motivation. Psychol Res. 2021;85(1):408-422.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[目的]
2つの実験で、参加者の(a)タスクを完了するためのモチベーションレベルと、(b)タスクとは無関係なメディアのマルチタスクとの関係を調べた。
[方法] 実験1
実験1では、タスクを完了させたいというモチベーションの高さが、タスクとは関係のないメディアのマルチタスクを行う傾向にどの程度影響するかを調べた。実験1では、参加者が1-back課題を遂行する際に、課題とは関係のない任意の映像をオン/オフする機会が与えらた。
[結果] 実験1
十分な成績を上げれば実験を早く終わらせると言われた参加者(動機づけ群)は、早く終わらせる機会を与えられなかった参加者(対照条件)に比べて、1バック課題中に任意のビデオを再生する確率が有意に低いことがわかった。
[方法] 実験2
実験2では、課題とは関係のないメディアのマルチタスクを行うことが、課題に関連した動機付けにどの程度影響するかを調べた。実験1と同様に、(a)動画を提示しない、(b)動画を継続的に再生する、(c)動画を自由にオン・オフできる、という条件で、3つのグループの参加者が1バック課題を行った。また、実験2の最初と最後に、被験者に課題に対するモチベーションの高さを尋ねた。
[結果] 実験2
興味深いことに、映像を再生し続けることで、課題に対するモチベーションが維持されることがわかった。
[結論]
このように、課題に対するモチベーションが高ければ、課題とは関係のないメディア・マルチタスクを行う可能性は低くなるが、メディア・マルチタスクはモチベーションのレベルを高めるようだ

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

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ポイント
今現在、モチベーションが高まっている場合は、自然とメディア・マルチタスクを行わなくなる
一方で、メディア・マルチタスクは使い方によってはモチベーションを高めるツールになる
面白いと感じた理由
マルチタスクとモチベーション関する調査、という着眼点が面白い。「テレビ見ながらでもいいので自主トレやってみてください」と臨床上言うことがあるが、モチベーションを保つ・高めるという意味ではよいかもしれない。

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マルチタスクの弊害に関しては、以下の記事が分かりやすい。

今回の論文で大切な点は、集中力・正確性ではなく、あくまでモチベーションに着目しているところだ。特に自主練習の定着にはモチベーションの維持が重要であるから、メディア・マルチタスクを有効活用していくのもありだと感じた。

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最後まで読んで頂きありがとうございます。今日も一歩ずつ、進んでいきましょう。

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